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ボカロP同創会

行き場のない思いを、忘れないうちに確かな文章へ書き留め、共有したいと思い立ち、書いている。

昨日、同創会というものがあった。200人弱のVOCALOID周りのクリエイターが一箇所の空間に集結し、各々飲み合うという会だった。

実は、同創会は2回目の試みで、1回目は2018年の今頃に開催されている。

https://twitter.com/buzz_g/status/986623711812792321


この頃のぼくはといえば、色々なことがあって、音楽に対して極度に悩み、その中でなんとか自分という存在を確立させようと必死に藻掻く、デビューで言えば1年にも満たない新米だった。

第一回目のボカロP同創会は、そういうぼくにとってはとても眩しく見えた。クリエイターとしての自己を強固に確立させ、それを放出し、VOCALOIDのカルチャーを1から作り上げてきた人々のサインで埋められたタペストリーがTwitterに次々流れ、溢れ出る覇気に胸を打たれた。

熱心なボカロファンとしては、「神様」的存在のボカロPが一同に介しているという状況そのものに感じるアツさもあった。

そして、いつかこの中に混じっても滲まないぐらい、自分の音楽に確固たるモノを抱えられたら、その時は絶対にこの場所に行きたいとも思った。

しかし、例の流行り病によって、簡単に人と合うことが難しくなって、何かを開催すること自体が難しくなった。以降、会の「伝説性」が増す一方で、繋がりは至る所で薄れていった。


あれから6年経った。すっかり物事が落ち着いたある日、「2回目をやります」とぼくにも声が掛かった。2度見した。この瞬間が実際に訪れるとは、夢にも思わなかった。ただただ嬉しさを噛み締め、ぼくは飛び跳ねながら会に向かった。

受付を通過すると、本当に200人弱が右往左往している。Pには名札がそれぞれ配られ、各々胸に付けていたのだけれど、見かけた中で知らない名はほとんどなかった。ぼくの青春を形作ってきたレジェンドがまず実在することに感動した。

最初の席だけくじ引きで、乾杯の挨拶以降は自由に動き回る形だった。ぼくの席は一二三さんとsohbanaさん、そしてkoyori(電ポルp)さんだった。最初の二人はそれなりに面識があるが、koyoriさんはクリエイターとしては初対面な上、ファンすぎるゆえ手汗が止まらなかった。


そのあとといえば、尊敬する方々に機会があればひたすらご挨拶させて頂き、ちゃっかりサインを頂いたりもした (全然クリエイターらしからぬ振る舞いだったと反省している)。

話していると、ぼくのことを知ってくださっている方も多かった。色々お褒め頂いた場面もあった。シーンのクオリティの上がり方など、最近のボカロ全般に感嘆する古参Pも多くいた。そのどれもこれもが、あなた方レジェンドがいたからこそであるというのを伝えたいと思ったが、あまりに時間が足りなかった。探しても見つからない方もいたし(なんせ200人弱いる)、時間的に話すことができなかった方も多かった。ただ、ぼく(たち)は、巨人の肩の上に立っているのだと、会を通じて再確認した。

古くから聴いているレジェンドに対して、クリエイターとしてこの名前で相対する時の妙な気恥ずかしさは、いつまでたっても消えない

1次会が終わり2次会に突入すると、人数が減って徐々に落ち着きが出始め、ゆっくり話せる場面が増えた。今度は、若干の繋がりがありつつ面識はほぼないという方々を中心に、たくさんお話させて頂いた。2次会から参加した人もそれなりにいた。20歳になって半年ぐらいたったが、はじめてこういう場所でたくさんのお酒を飲んだ。

ごく個人的な話だけれど、続く3-4次会で、あるレジェンドと話した。ボーカロイドの中心にいた一人だった。話の流れで、創作の軌跡について話す場面があって、前述の色々なこと、ぼくが抱えていた後悔について赤裸々に語った。それまでぼくは、後悔を払拭するために、見えない道を、それが正しいかもわからずひたすら走り続けるような創作をしていた。その方は、ぼくが来た道を受け止めつつ、歴史上の事実や、彼視点でのクリエイターという生き物についての考えを織り交ぜながら、丁寧にその存在自体を取り外して、ぼくを肯定してくれた。10年弱の創作人生の中で、その時はじめて救われた気がした。

今回の会は、空間にも、コミュニケーションの節々にも、「VOCALOID文化は人と人の創作の連鎖である」という事実を裏付けるような場面が至る所にあった。ぼくが1月に39chに書き下ろした曲にも、そういった歴史を踏まえた初音ミクの解釈を織り交ぜているが、それを身体を以って体感できたことが何よりも嬉しかった。「あなたの作品を聴いて、VOCALOIDをはじめました」、この言葉に含まれる得も言えぬ尊さを、たくさんの想いが載せられたこの場所を、ぼくはただ美しく思う。

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