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フジロックメモ2023 Day1-Day3

フジロックの感想、アクトが多いので簡単なメモ程度ですが3日分書いていきます!


7/28 Day1

・YONA YONA WEEKENDERS (WHITE STAGE)
会社員バンドとして有名な彼らが金曜に登場。有休使ったのかな。ステージ上に小さな冷蔵庫を持ち込み、そこから冷えたビールを取り出す磯野くんは、金曜朝から集まったフジロッカーに「カンパーイ!」。50分の持ち時間のうち、なんとこれを3回もやっていて、ホワイトステージのハイネケンの売り上げにも一役買ったんではと想像してしまった。
最後、コーラスで紹介した西恵利香という名前を聞いて、えっあの?と思ったら本当にあの西恵利香だった。かつて篠崎愛が所属していたAeLL.というグループでリーダーを務め、現在はソロシンガーとして活動中。アイドル出身者のフジロック出演は例が少ないのだけど、こういう辿り着き方もあるんだなー。

・ラッパ我リヤ (DAY DREAMING)
¥2,000払ってドラゴンドラに乗車して頂上に辿り着かないと観られないデイドリーミングですが、00年代前半のヒップホップシーンを思わせる流れ、興味深くてスルーできなかった。ラッパ我リヤは20年前にWHITE STAGEに出演して以来と語っていたけど(正しくは2001年以来22年振り)、やっぱりヒップホップのオールドスクール的なものをちゃんと通ってきてる世代の人達を観ると今のラッパーとの違いを如実に感じる。Say Ho~ってコール&レスポンスも当たり前過ぎるくらいのヒップホップマナーだったけど、なんだか久々に聴いた気すらした。「Do the GARIYA thing」のような往年のスマッシュヒットをカマしつつ、リリースを控えるニューアルバムからは「ヤバスギルスキル」11作目を披露。「ロード」は全13章なのであと一歩!

・スケボーキング (DAY DREAMING)
スケボーキングは2021年にもこのステージに出ているんですが裏かぶりにより観る事ができなかったため、個人的には2010年の解散ライブ(SHIBUYA-AX)以来。かつては音楽性の変遷が激しかったものの、復活後はどちらかというと初期寄りのユーモラスなヒップホップを展開していて、やんちゃな空気が戻ってきてるのが微笑ましい。猛暑の中、残り少なくなったペットボトルの水を分け合うおじさん2人(SHIGEOとSHUN)の仲の良さにも驚きつつ(その後新しい水を差し入れされていた)、ラッパ我リヤをフィーチャーした新曲も初披露。だからこの流れだったのね...。終盤には原曲よりBPMを上げた「TOKIO LV」に否応なくアガった!

・矢沢永吉 (GREEN STAGE)
昔ROCK IN JAPANで観て以来の永ちゃん、序盤から代表曲連発の大サービス。個人的には「チャイナタウン」が嬉しかったなあ。90年代にシングルリリースされた当時新曲だと思ってたのが、実は古いレパートリーだったのだと後から知った記憶。
「止まらないHa~Ha」では伝統のタオル投げが広がっていくわけですが、もはややらずにはいられない、縁起モンの境地だなーと思ってしまった。60分の持ち時間の中、このピークタイムが開始30分ほどで訪れてしまったため、あと半分どうするの?と思ったらセットリストは残り1曲。アンコールがある訳ではなく、結局37分でライブは終了。その分一切の無駄がなくコンパクトにまとまっていて、ある意味観やすかった。MCでも矢沢節が止まらず、来月74歳になる話をし始めると、70代でも現役のロックンローラーが世界には沢山いるのだから「ストーンズにできてYAZAWAにできないわけない」。わはは。

・ComplianS (GYPSY AVALON)
佐藤タイジとKenKenによるユニット。2ピースだとギターとドラムというケースが1番多い気がしますが、この2人はギターとベース。(必要に応じてKenKenが指ドラムで補ったりはしていた) 一切ごまかしの効かない編成でタイトなグルーヴを作り出す2人の手腕は流石だし、それでいてタイジさんらしいメロウさもきちんと持ち合わせているのがいい。ムッシュかまやつ「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」とYMO「BEHIND THE MASK」カバーも素晴らしかった。
このライブの感想をTwitterに書いたら公式アカから「音楽ライターさんなだけあって 文章が、とてもお上手ですね」とお褒めの言葉を頂いて、ちょっと笑ってしまった。あざーす。

・THE STROKES (GREEN STAGE)
なんと2006年以来の登場。2020年にブッキングされていたもののコロナで流れてしまったため、渇望感が特に強いのがストロークスだった。いやー、今の時代にはシンプルすぎるぐらいのロックンロール・ショーでお見事。みんなすごいけど特に惹かれたのはファブのドラム。シンプルなビートでも音に記名性がちゃんとあるし、テクニックがあるのに難解な方にいかずに個性を出す素晴らしさってあるよなーと思った。フェスの多ジャンル化が進む時代に、古き良きロックフェスのヘッドライナーといった趣が感じられたのもよかった。

7/29 Day2

・GEZAN with Million Wish Collective (GREEN STAGE)
ステージ上には所狭しと人、人、人。コロナ禍で始まった編成ということもあってか、とにかく人が集まることのパワーを感じさせるステージ。グリーンステージの朝に民族音楽の要素を取り入れたバンドが登場するケースがしばしばあるけど、その系譜でも捉えられそうな気もした。そしてどこまでもインディペンデントなスタンスを貫くGEZANがグリーンに辿り着いた意味も含めて、こちらまで感慨深くなる祝祭空間だった。
ハイライトは終盤。轟音アンサンブルに合わせて代わる代わるボーカリストが現れ、そのラストがなんとTOSHI-LOW。GEZANのステージに合わせて赤パンで現れた。今年出番あったっけ...?と思ったら、そうだELLEGARDENがいるんだった。細美武士のいるフェスにはTOSHI-LOWがほぼセットでついてくるのはファンにはよく知られた話。

・尾崎裕哉 (GYPSY AVALON)
昨年もアトミック・カフェにブッキングされていたものの、喉の不調で直前キャンセル。なんと会場まで来ていたんだとか。「尾崎豊をフジロックに連れてきたかった」という触れ込みで始まった「15の夜」、イメージ通りお父さんに声が似てるけれどもモノマネではなく別モノなのがちゃんとわかったし、そもそもの声量が想像以上にすごい。玉置浩二カバーの選曲もヒット曲ではなく「金持ちさんちの貧乏人」だったのが面白い。前方に熱心なファンの方が5人いた。

・羊文学 (GREEN STAGE)
意外と観た事なかったバンド。勢いある若手の初グリーンにしては簡素!特に拳を上げて盛り上がるわけでもない文系オルタナバンドがグリーンに立つってなんだか夢あるなと思うと同時に、こういうロックバンドが「エモい」という文脈で若者から支持されるあたり、Z世代考察って難しい。大人はあんまり分析し過ぎない方がいい気がする。
あとフクダのドラム、真っ黒な服に長い前髪で目も鼻も隠れているので、横から観ていると謎の黒い物体がドラムを叩いているように見えるの、青空とのコントラストで面白かった。60分もあったのに、1番聴きたかった「あいまいでいいよ」が聴けなかったのがちょっと残念。

・ALANIS MORISSETTE (GREEN STAGE)
鮮やかな黄色いTシャツで登場。疲れていたのでそんなに熱心に観てないけど、かつて普通にヒットチャートど真ん中に入っていた人だしもっとポップスターのイメージだったのでこんなにちゃんとオルタナ枠の人だったというのは意外と今回のフジで知ったなあ。「You Oughta Know」にはなんだかんだアガったので、ヒット曲マジックってやっぱりありますね。

・ELLEGARDEN (GREEN STAGE)
4年振りの登場で、前回と違うのは、復活後の新譜がリリースされていること。4年前も十分よかったはずなのだけど、かつての人気曲と新曲群がシームレスに繋がるセットリストでヒリヒリした感じがないというか、バンドが現役感を取り戻してきているのがより伝わってきた。大好きな「モンスター」が聴けたのが最高。

・SLOWDIVE (RED MARQUEE)
ELLEGARDENが少し早めに終わったのもあってか、レッドマーキーがパンパンに。その分せっかくのVJ演出が観づらかったのが残念だったけど、昔ながらのシューゲイザーにこれだけの人が集まるの、なんだか面白い。いや単に年齢層が高いだけか。没入感あるサウンドスケープは確かに酷暑の真昼よりは、少し涼しくなった夜ぐらいが丁度いいかもなあ。
ただ複雑化する今のポップミュージックからするとシューゲイザーは展開が単調に聴こえかねないので、今後新しいバンドだとちょっと成立しにくいのかもしれないなあと思ったりもした。サブスクで飽きたらすぐ次!となってしまう時代だし。

・LOUIS COLE (WHITE STAGE)
なんだこれは!だった。開始早々いきなり「F it Up」でフロアは既にピークタイム。ルイスによるキレ抜群のドラミング、終始楽しそうな女性コーラス、日本人によるホーンズ、その他多数のバカテクミュージシャン達によって、これは現実か?と思ってしまうほどの最強脳トロ生音ダンスミュージックが生み出される。例えば大所帯のファンクバンドを観る時と、クラブでフロアアンセムがかかった時って、どちらがいい悪いとかではなく快感の種類がそもそも違うじゃないですか。そういう交わらないはずの快感が共存して成立しちゃってるような、観た事ない感覚がいきなりきた。
どこまでも圧倒的な"センス"側にありながら、常にユーモラスでチャーミングさも忘れず、尚且つ展開も予測不能で90分ずっと飽きさせない。ミュージシャンじゃなくてよかった。勝てるわけないので。

7/30 Day3

・NIKO NIKO TAN TAN (RED MARQUEE)
序盤はKing GnuとTempalayを彷彿とさせたが、後半ポップミュージックの型から解き放たれてどんどん攻撃的なフロア仕様になっていくのが面白い。こっちの方が好み!

・民謡クルセイダーズ(FIELD OF HEAVEN)
以前ライブを観た時にどう考えてもこれはヘブン向きだろうと思ったので、今回はマスト案件だった。交わるはずのないジャンルが混ざり合って起きる化学反応、こういうのが本当のミクスチャーなのだと思う。そこに民謡らしい振付がつく事で、音楽自体の説得力も相乗効果で上がっていく。どうせならTikTokでこういうダンス動画が流行ったら面白いのに、と思うけれど、この音にインフルエンサーが目をつけるとはどうにも考えにくい。
惜しむらくは、この時間のヘブンがあまりにも灼熱地獄だったこと。もう少し暑さが落ち着いていれば、みんなもっと踊る気力があったんじゃないかなあ。

・スターダスト・レビュー (WHITE STAGE)
大ベテランが初登場。去年でいう鈴木雅之枠か。フジロックっぽくないといえばないが、序盤に代表曲を連発したのが功を奏したのかツカミは上々。根本さんは何度もフジに来ているらしく、まさか自分のバンドで出られると思わなかったんだとか。これで知らなかったら他のステージに行った方がいいと自虐しつつの代表曲「木蘭の涙」の情感たっぷりな歌唱で、一気にフロアを掌握していた。関ジャムのプロが選ぶボーカリスト企画で錚々たる20人の中に根本さんが入っていたけど、なるほど生で観ると納得。ロングトーンが伸びる伸びる。
その後はホーンセクションを迎えてギアを上げていく。演奏しながら時折見られるアクションに絶妙な昭和感があってなんだか微笑ましかった。以前TUBEのライブを観た時も同じ事を思ったなあ。

・世武裕子 (GYPSY AVALON)
アトミック・カフェのトークパートが押して、定刻10分後にスタート。オリジナル曲も多数リリースしている方だが、前半はカバー曲を届ける。シンプルな編成で言葉を丁寧に届け、それがじんわりとオーディエンスに広がっていく。フジロックにいると言ってみれば味の濃いステージばかりを観てしまうところがあるので、こういう鯛ラーメンのスープをシメに味わうような感覚が最後にあってよかった。

ここで諸事情により帰路につく。今年も最高だったー!また来年来られますように。

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