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九州の漁師さんから届いたSOS

先日、たまたまデパートに行く機会があり、とても久しぶりにデパ地下に行きました。
デパ地下のお魚コーナーを覗くと、お刺身やお寿司が綺麗に並べられていました。

ここ数年、ポケマルで働き始めてからは特に、ポケマル生産者さんや知り合いの漁師さんから、「海が変化している」という声を聞くことが多くあります。
でも、久しぶりに訪れたデパ地下で、綺麗に陳列されたお刺身やお寿司からは、海の変化なんて全く感じることができなかったし、魚介類ひとつひとつが異なる生命であるなんて全く感じることができませんでした。
デパ地下のお魚コーナーは賑わっていて、これが「良い」「美味しい」とされる社会なのだと突きつけられた気持ちになりました。

あぁ、これでは社会は変わらない。
世界は変わらない。
変えることなんてできない。
考えすぎだとか感じすぎだとか言われそうですが、漠然とそう思わずにはいられないほどに、デパ地下のお魚コーナーを見て絶望しました。

一方で、先日、九州の漁師である山下さんから、ポケマルにSOSが届きました。
山下さんからのSOSには、先日の大雨の影響で、ブリが即死するほどの赤潮が到達する予定であること、一刻を争う中、「一匹でも無駄死にさせたくない」との思いで、急いでブリの水揚げをして、緊急販売をする決断を下したことが書かれていました。

【赤潮到達の危機📢漁師さんからSOS】 大雨の影響もあり九州西部の八代海に赤潮が発生中です。近海の漁師山下さん曰く「ぶりが即死するほどの赤潮が到達予定」とのことで、急ぎ水揚げ作業を実施中ですが、真空冷凍したぶりは賞味期限が約30日。そのため...

Posted by ポケットマルシェ(ポケマル) on Wednesday, July 14, 2021

山下さんのブリはまだ食べたことがないので、「スーパーよりもデパ地下よりも、山下さんのブリは美味しいよ!」なんて言うことはできないし言うつもりもありません。
でも、間違いなく、山下さんからのSOSも含めてこのブリからは、私たちの血肉になってくれるブリの生命と、そして、このブリを生産して私たちに届けてくれる山下さんの想いを感じられるように思いました。
また、ブリの生命感と山下さんの想いは、私たちは誰かや何かに「生かされている」という実感に、SOSを出してくれた山下さんから買うことは、私たちもまた、誰かを「生かしている」という実感につながるようにも思いました。

山下さんが困っているから、かわいそうだから、「山下さんのブリを食べませんか」と伝えているのではありません。
日々自然に働きかけることを生業にしているからこそ、生産者さんの声や想いは「自然からの声」でもあると思っています。
水揚げしなかったら無駄死にしてしまうかもしれなかったブリをいただき、山下さんとブリから「自然からの声」を聞いて、海で起きていることを知って、自分ごとにして、少し近づく、そんな機会になると思ったから、「山下さんのブリを食べませんか」と伝えたくなりました。

山下さんのブリは、生かし生かされている実感を、他者とのつながりを、自然とのつながりを、取り戻す一歩になるような気がしています。
そしてその一歩は、デパ地下に並んだ綺麗なお刺身からは得られない、もっと複雑でもっと面白い、楽しさや幸せに繋がっていると私は確信しています。

ちょっと、熱く書きすぎた感もあるけれど、30日というタイムリミットもあるので、ひとりでも多くの方に届けばいいなぁ、と思い書いてみました。
山下さんのブリ食べてみよう!ってなった方がいれば嬉しいなぁ。

タイムリミットは30日!
山下さんのブリはこちらから買うことができます。


写真:2019年11月23日 @祝島
誰かや何かに「生かされている」ということを、きっと初めて実感したのはこの時。


(おわり)

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