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2023.6.4 ごごしま音楽プール2023 @しまのテーブルごごしま(旧泊小学校)内屋外プール

このみなさんの笑顔がすべてなので、ぼくのよけいな感想や解説はいらないかもしれませんが、あの日の記憶をのこしておくためにすこしだけ。

前回までのごごプー

2016年、愛媛県松山市の興居島ではじまった、地元密着型のゆる~い音楽フェス「ごごしま音楽プール」。
廃校になった島内の小学校をカフェ・イベント会場としてリノベーションした「しまのテーブルごごしま」が会場となりました。
島へむかうフェリー「しとらす」の客室には、これまでのあゆみを記録した写真がかざられています。

2016年。プールでライブを見るのはもちろん初体験。
2017年。グリーンダカラちゃん&ムギちゃんがゲスト出演。
2018年。悪天候のため体育館が第2プールに。
2019年。途中からの大雨で急遽2度目の体育館ステージへ。

2020年。世界がコロナ禍に突入し、4月に開催中止を決定。

2021年。11月23日、勤労感謝の日にオンラインライブ配信。

2022年。アンチモン赤松隆一郎さんがソロツアーで松山公演。

…という経緯を経て、ついに4年ぶりのリアル開催となったのでした。

ちいさなマルシェ

ふだんはカフェとして営業している「しまのテーブルごごしま」。

校庭では、地元周辺の特産物をつかった食事などが提供されています。
プールに行くまでのあいだに、のんびり昼ごはんの時間をとりました。

島の玉ねぎを使った温玉カレー。ごごしまソーダと一緒に。
海の家・若洲商店さん販売の、ひじきコロッケ。
赤松さんがブランディングを担当した「地元を愛す。アイスクリン」。

12時からオープニング・アクト。
今回も、ごごしま太鼓クラブ奏のみなさんの演奏ではじまりました。
いつもはここの体育館を練習場にして活動されているとのこと。
12時30分、1時間目のチャイムが鳴り、いよいよアンチモンの登場です。

12:30〜 アンチモン

「はい、学級担任の赤松です(笑)。なんか胸いっぱいだなあ」

前日から興居島にはいり、実行委員会スタッフとともに会場準備をしていた赤松さん。
6月になってすぐ、台風2号が各地で猛威を振るいましたが、この土日の興居島はすっかり晴れ模様でたすかったそうです。
ライブではおなじみの楽曲群にくわえて、まもなくリリース予定という3rdアルバムからの曲も。

今年2023年は、アンチモン結成10周年のアニバーサリーイヤー。
新譜をひっさげてのツアーで松山にくることも約束してくれました。
最後にフェリー「しとらす」の曲を演奏し、1時間目終了…とおもわれたその時。

MC「ちょーっと待ったァーッ!」
赤松・井上「!?」
MC「赤松さん、ここは何地区ですか?」
赤松「…泊地区…?」
MC「そう、いま演奏された『しとらす』は、泊から高浜港まで運行するフェリーの曲です。由良地区の方いらっしゃいますか? もう1曲ありますよね、由良から出るフェリーの曲が! 聴きたいですよね!?」

拍手がわきおこる客席。
もうわらうしかないという表情の赤松さん。
そして、機材を撤収しようとしていた手をとめるギター井上さん。

赤松「これシナリオあるみたいな展開ですけど、全然聞いてないんですよ? 井上くん見てください、いま必死に譜面探してますもん」
井上「(譜面を取り出して)ようありましたよ…」

観客の目のまえでうちあわせをして、そのムチャぶりされた曲「ミソラ」をみごとに演奏し、波乱の1時間目は今度こそおわったのでした。
あ、それから、ひさびさに赤松さんのちんすこうが興居島の空を舞ったこともつけくわえておきます(下ネタにあらず)。

13:30〜 奇妙礼太郎

2時間目は、今年で音楽活動25周年となる奇妙礼太郎さん。
奇妙さんといえば、クラブのDJイベントでよく聴いている、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団時代のカバー「オー・シャンゼリゼ」のイメージが強烈で。

今回はじめて生で見る奇妙さんは、ブロンドに染めた髪を風になびかせながら、ちいさな声で淡々とトークをし、しかし歌になると強くエモーションをかきたてる、ほんまにおもろいミュージシャンでした。
「プールで歌うの初めてで。いいもんですね」と、会場も気に入ってくれたようです。

「ふだん使わない言葉ってありますよね。『この紋所が目に入らぬか!』とか。この曲では『お主もワルよのう』という歌詞があるんですが、よかったら一緒に歌ってください」

という話からはじまった「真夜中のランデブー」。
ぼくたちが実際に「♪お主もワルよのうー」と歌いだすと「あ、一緒に歌ってくれるんですね」とすこしおどろいた様子でしたが、その後このシンガロングがどんどんヒートアップし、えらい盛り上がり曲となりました。
なんでしょうこの一体感。
この「真夜中のランデブー」を筆頭に、この日のセットリストの大半は、もうすぐ発売になる新譜『奇妙礼太郎』からの楽曲となりました。

そのほか印象にのこったお話いろいろ。
「この曲(ONLY FOOL)は『KISS』という歌詞があるんですが、人の口をなぜ人が吸うのかわからない…」
「よく歌の中で『あの子』とか『あの娘(こ)』とか言うんですが、これはお好み焼きの歌なので『あの粉(こ)』です」
「こんな短い歌(十円の裏)歌ってお金稼いでるんですよ」

裏の山でカラスの鳴き声が聞こえたとき「カラスかな?」とつぶやいて、ビートルズ「Blackbird」を歌いだした瞬間は、鳥肌が立ちました。
あとになって、以前にコンピ・アルバムでカバー録音をしていることを知りましたが、あのタイミングで歌ったのは予定どおりだったのか、それとも即興だったのか。

最後は菅田将暉さんとのコラボ「散る 散る 満ちる」、そして新譜でもラストをかざる「いつのまにか猫」で2時間目終了ニャ―。

14:30〜 高野寛

「いやー晴れてよかった!それがすべて!ごごしま音楽プールはときどき悪天候に見舞われて『音楽体育館』になっちゃうことがあるので。第1回から知っている身としては、最初のコンセプト通りの『音楽プール』になってよかったです」

アンチモンとおなじく、2016年の第1回から皆勤賞の高野寛さん。
直近の6月2日には、出演予定だった「東京蚤の市」初日が強風予想のため中止になっていただけに、この日のよろこびもひとしおだったことでしょう。

「(曲終わりに)お好み焼き〜!←言いたかったので言ってみました」
「次は猫の曲…ではなく犬の曲です」
と、奇妙さんのネタでわらいをとる一幕も。
よっぽどたのしかったようで、こちらもうれしくなります。

こどもたちが手拍子に挑戦してたのしそうな「おさるのナターシャ」。
ひさしぶりに披露したという「グリーンダカラちゃんのうた」(という名の物販紹介コーナー)。
そしておなじみのヒットナンバー連発と、トリにふさわしいステージ。
ソロ、シンライブ、そしてナタリーワイズと、この数年間で高野さんの配信ライブをたくさん見てきましたが、やはり生は格別ですね。

私的に強く心にのこったのが「道標」。
音源やライブで何度も聴いた曲でしたが、この日はいままでになく歌詞が突き刺さりました。

ああ 誰も教えてくれはしなかった
突然 別れの日が来ることを
なくした時に 気がついたんだ
かけがえないものと
自分の弱さに

「道標」(アルバム『Rainbow Magic』より)

空の上で、幸宏さんや教授もこのステージを見てくれているといいな。


エンディング

最後は出演者全員で、イベントのテーマ曲「しまのプールで会いましょう」を演奏。
赤松さんが実行委員会スタッフさんたちに「来年もやるよね?」と確認してからやっと「♪きっとまた来年〜」と歌い、全ステージ終了となりました。

赤松「ごごしま音楽プールを立ち上げた時に『成長しないフェスをやろう』と決めて始めたんです。規模も大きくしない、観客もこのプールに入るくらいのままで続けていこうと。今のところ、その通りになっています。プールはちょっとずつ傷んできてるんですが、スタッフのみなさん、興居島のみなさんのおかげで続けられています。本当にありがとうございます」

全員で記念撮影をし(冒頭の写真)、帰りのフェリーへ。
今回は、はじめて1便で全員がのりきれず、時間差で2便にわけての帰路となりました。
4年間待ちつづけていた人が、こんなにたくさんいたんですね。ぼくもそのひとりです。
フェリーが泊港を出る瞬間、ダッシュで駆けてきて大きく手をふりながらお見送りをする赤松さんの姿が、4年ぶりに見られました。

フェリーから見えた赤松さん。お疲れ様でした。

ありがとうございました。
また来年、しまのプールで会いましょう!

セットリスト

【アンチモン】
1. はじまりの歌
2. 左の耳の水の音
3. あいあい傘
4. 夏休みは地獄
5. ミスターちんすこう
6. 好きでたまらない
7. しとらす
8. ミソラ

【奇妙礼太郎】
1. 竜の落とし子
2. 大事な話
3. 真夜中のランデブー
4. touch my soul
5. ONLY FOOL
6. ほんまにおいしいお好み焼き
7. 十円の裏
8. MOON RIVER
9. Blackbird
10. 散る 散る 満ちる
11. いつのまにか猫

【高野寛】
1. 相変わらずさ
2. 風をあつめて
3. 道標
4. Dog Year, Good Year
5. おさるのナターシャ
6. グリーンダカラちゃんのうた
7. 虹の都へ
8. ベステンダンク
9. 夢の中で会えるでしょう
10. 確かな光

【全員】
1. しまのプールで会いましょう

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