散りゆく季節の飽き桜

あれ？待ってよ。

私はまだ飽きてない

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この桜……いつから散ってたんだろ
ずっと下ばっかり見てたから
踏まれた薄汚い桜しか見ていなかった

たまに上を向いたらいつもこうだ。
いつの間にか散っている。

未練たらしく積もった散り桜の破片を両手いっぱいに集めては
また空へ返してあげた。

頭の上に乗っかった桜の花びらは美しくも馬鹿らしくて愛らしい

「はい、どーぞ」

そう言って差し出された1本のお茶
私の隣に座って平然と吸い出した1本のタバコは
私の大好きな貴方の匂いと混じって少し吐き気がした

「ねぇ、私の事好き？」
「え？うん、好きだよ」
「じゃあさ、いつか結婚の話をさ」
「ごめん まだ考えられないよ だってまだ俺24だし」

そっか、ごめんね。

まるで私がバカみたいで
惨めで情けなくて

非情に愛らしい

いい事を思いついた。

「ねぇ、私。妊娠した」

「……は？？」

それ以降 一切連絡が取れなくなった
分かっていた。告げられてもいた。
責任を取れなんて言わない
せめて誠意を見せて欲しかった

私の好きな貴方は
私の好きな貴方のままだった

私は悪くないよね

貴方の泣きそうな顔が愛おしい
貴方の1本1本凛々しい指が愛おしい
貴方のその私に対する憎悪が愛おしい

その立派な桜は私を魅了すると共に
徐々に散っていった

その散った桜をどれだけ集めても元には戻らないから悲しかった

時間が経つにつれて 汚くなってきた散り桜は何故か少し愛おしい

最後の桜の花びらが
私の頭の上に乗った

あれ？まってよ。

私はまだ飽きてない

この散りゆく季節の飽き桜

愛おしく切なく とても憎たらしい

君はずるいよ
飽きられる前に散っていった君が
私はまた咲いてくれると信じてる。