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「失うものもあるけれど、それによって得るものもある」

本日夜。ふと思い立って、職場から地元のシネコンに直行し、とある映画を観てきた。

「名探偵コナン」目当てで集まる大勢の若者たちを横目にしながら、僕が選んだ作品は、本年度の米国アカデミー賞作品賞や脚本賞にノミネートされた秀作「パスト ライブス/再会」である。(コナンも後日見ます)

れっきとしたアメリカ映画だが、パッケージとしては幼馴染みの韓国人の男女の24年間のお話で、パッと見、地味めな韓国ドラマのようにも思える。

内容としても、全く奇をてらっていない作りで、特にファンタジーがあるわけでもなく、派手な事件も起こらない。極めてシンプルな作りなのだが、見ていくうちにじんわりと心に染み入ってくる、評判通りの名作であった。

オススメなので、是非何らかの手段で見て欲しい。「ONCE ダブリンの街角で」あたりが好きな人なら、きっとハマるものと思う。


この作品は、セリフ回しなどもシンプルで、主人公たちもそれほど饒舌ではない。だが、時おりシンプルゆえの不意打ちのような名言が飛び出し、観客の胸を締め付けてくる。

僕の場合、冒頭の方の「失うものもあるけれど、それによって得るものもある」という何気ないモノローグが、今の気持ちとフィットして、とても印象深いものがあった。

特に捻ったセリフでもないが、「そうそう、人生ってそういうことだよね」と、深く同意できるものだった。


何かを新しいことにチャレンジする時、今の立場を失うのではないか・・・と、少しだけ怯む自分がいる。それは過去に、一歩踏み出したことで、何かを失った経験をしてきたことが影響している。

失うくらいなら現状維持でいいのではないかと、直感的に荒波を避ける傾向が僕の中にあるのだ。

けれど、失うものばかり目を向けるではなく、得るものに着目するべきだと、本作は語る。

本作のテーマでもある、恋愛はもちろんそうだし、多くの人間関係にも当てはまるものだと思う。そして、仕事のことにも援用できる。

新しい仕事に変われば、それまでの仕事は自分の手から離れていく。離れる仕事を懐かしむのではなく、新しく手に入れた仕事に目を向けて、心を込めるべきなのだ。


他にも秀逸なセリフ、言い回しが出てくるので、是非その点なども着目して、「パスト ライブス/再会」をご覧いただきたいと思う。




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