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「ポコニャン」全能力&ひみつ道具を解析する!

1970年7月号~1974年1月号「きぼうのとも ようじえほん」 全42話
1975年4月号~1978年5月号「希望の友」 全38話

ポコニャンというキャラクターをご存じだろうか。

ポコ(たぬき)とニャン(ねこ)を組み合わせたような姿かたちの可愛い動物(?)で、超能力と不思議なひみつ道具を使いこなす。基本的に「ポコニャン」としかしゃべることができないが、不思議とコミュニケーションは可能である。


「ポコニャン」は、雑誌掲載時はほとんど知られていなかった作品で、1980年から始まったTVアニメ「ドラえもん」の原作に取り込まれてしまう程だった。

その後、何と1990年代にNHKでアニメ化されて、認知度がアップ。何となくタイトルは聞いたことあるな・・・程度まではキャラクターが育ったようである。


とは言え、作品の中身はほとんどの方が知らないだろう。概要部分については既に詳しく記事にしているので、まずはこちらを一読いただくのが手っ取り早いかもしれない。

まだ小さかった時に太郎君に拾われて、一緒に暮らすことになった。不思議な能力を使えるところは「ドラえもん」タイプだが、ポコニャンは太郎の成長を促そうといった教育的な立場ではなく、ひたすら太郎と仲の良い友だち関係にある。その点は「オバQ」タイプである。


さて、前回の紹介記事では「ポコニャン」の能力や、ひみつ道具について書き切れなかったので、本稿ではその続編的記事として、ポコニャンの能力の秘密に迫っていくことにしたい。


まずは「ぽこにゃん」(ようじえほん掲載)での超能力について列記していく。並べてみると、何でもありの万能感がある。

家を小さくする(『おもちゃのおうち』)
体を小さくする(『でんしゃごっこ』他)
紐を飛行機型に繋いで、空を飛ばす(『ひこうきごっこ』)
電話の受話器を通じて空間移動させる(『でんわでただいま』)
雪だるまに生命を吹き込む(『ゆきパンダ』)
ミニカーを自動車並みの馬力を与える(『ぽこにゃんとドライブ』)
切り抜きで作った船や魚を自動的に動かす(『へやの中のうみ』)
スケッチブックに写真を撮ることができる(『ふしぎなスケッチブック』)


続けて不思議な道具も列挙する。こちらも、ドラえもんもビックリな便利グッズが続々登場させている。

広げると水面になる紙(『おへやで水あそび』)
光の浮き輪を作ることができる懐中電灯(『ひかりのうきわ』)
物に振りかけると軽くすることのできる薬(『かるくなるくすり』)
春風をそよぐ扇風機(『はるがきた』)
こいのぼりを大きくできるエサ(『そだてこいのぼり』)
小さな雨雲(『あめあめふれふれ』)
果物がたくさん生る種(『たねをまこう』)
こぼれない水(『こぼれないプール』)
*「水加工用ふりかけ」をかけた水のようなもの
一部分の雲を振り払うてるてる坊主(『お月見したいな』)
映し出したスクリーンの中に入ことができる映写機(『えいがに入ろう』)
千里眼望遠鏡(『ふしぎなぼうえんきょう』)
空中移動してくれる座布団(『べんりなざぶとん』)
くくると空中に上げることができる糸(『なんでもたこあげ』)
考えただけで影絵が作れるライト(『かげ絵ライト』)
描いた絵の時間が経過するクレヨン(『絵の中のさくらの木』)
動く折り紙(『うごくおりがみ』)
特定の形を作れるシャボン玉と、それを割ることができるストロー(『しゃぼん玉でボウリング』)
小さいけれど馬力のある船(『ボートにのろう』)
セミと話をする機械(『セミとなかよし』)
風の力をためる風船(『たいふうロケット』)
空気に描けるクレヨン(『クレヨンでやっつけろ』)
ミニ消防車(『小さなしょうぼうしゃ』)
どこでもトランポリンを作れる薬(『トランポリンになるくすり』)
家の絵を描くと中に入ることができるクレヨン『絵の中にかくれんぼ』)
珍しい卵をニワトリに生ませるエサ(『めずらしいたまご』)
音を聞くと優しくなる笛(『やさしいふえのね』)
上に乗ると踊ることができる台(『じょうずにおどろう』)
においがよくわかるようになる付け鼻(『はんにんをさがせ』)
道を教えてくれる矢印(『ひとりでおつかい』)
どんな鳥でもしゃべることができるようになる木の実(『おしゃべりするとり』)
力が強くなる金太郎の腕人形(『金太郎は力持ち』)
絵に塗ると本物になる塗り薬(『きれいなちょうちょ』)

「ぽこにゃん」はたった1ページの作品なので、何か困ったことがおきて、ポコニャンが道具を出して、それで解決する、という極めて単純な構成となっている。

したがって、出てくる超能力や不思議な道具は、役割が単純明快なものばかり。セミと話をする機械などは、「セミだけかい!」と、思わずツッコミを入れたくなるが、その時の太郎はセミを集めたいだけなので、余計な機能は不要という訳だ。


さて続いて、「希望の友」掲載の『ポコニャン』から、不思議な能力と道具を抜粋してみる。

超能力
家具を別の使い方にできる(『シッチャカメッチャカ』)
服に意志をもたせる(『目がさめないよう』)
粘土の人形に命を吹き込む(『ねん土ざいく』)
草原を海のように泳げるようにする(『山でおよいだよ』)
他人の夢をを映し出す(『他人のゆめをみる』)
落ち葉を風で集める(『落ち葉たき』)
寝ている人間を誘導する(『忘れられた贈り物』)
獅子舞自動操縦(『ししがおどった』)
雪雲を連れてきて雪を降らせる(『ドカ雪』)
部屋を広くする(『ひろーくします』)
体を入れ替えさせる(『かあさんっていいな?』)
猫をここ掘れニャンニャンにする(『ここほれニャンニャン』)
分解した物体をくっ付けて動かす(『魔の手がせまる!』)
虫と友だちになれるメガホン(『黒べえをすくえ!』)
体を小さくする(『庭で山のぼり』他)
空き箱などで作った映写機を本物にする(『けっさく映画をつくる』)


不思議な道具
何でも綺麗に写る「おしゃれカメラ」(『美人にとれる!』)
台風エネルギーを吸い込む風袋(『ふくろづめ台風』)
*「ぽこにゃん」の風の力をためる風船と同じようなもの
引力を遮るガス(『お空であそぼう!』)
タイムマシン!(『タイムマシンで早おき』)
家や家具を作れる紙と強力瞬間接着剤(『ぼくたちだけの家』)
お金を入れたくなる電波を発するお年玉箱(『お年玉作戦』)
実物時間逆転機(『逆もどし』)
時間の流れから出ることのできる腕時計(『あとがこわい!』)
パニック機(『パニックがおきた!』)
人間をけむりに変える煙突(『雲になって・・・?』)
ねがい星花火(『ねがい星花火』)
エアコン ジオラマ アルバム(『やせがまん』)
泳げるようになるポンプ(『ぼくだっておよげる!』)
台風の目(『台風でこらしめろ!?』)
こどくガス(『受験生に協力!』)
メモリーキャップ(『きおくをたどれ!』)
マジック・コントロール(『マジ・コンってなんだ?』)
過去へ手紙を出すポスト(『つかなかった年賀状』)
インドア・スノー(『おへやでスキー!?』)
手品ステッキ(『ぼくは手品師だ!』)
地下鉄(『ダイナミック模型鉄道』)
水族館ペンキ(『水ぞくかんをつくれ!』)


『ぽこにゃん』から連載が『ポコニャン』となって新たに分かってきたこととしては、しっぽを振ると能力が働くということである。また、不思議な道具は、幾度か作っている場面が描かれているので、ポコニャンの手作りだったようである。


いずれにせよ、徹頭徹尾、太郎君の欲しいこと、やりたいことを叶えてくれるポコニャン。本当に太郎君のことが好きなんだろうなあと思う次第である。二人の友情がわかるお話がいくつかあるので、また別途記事にしたいと思う。



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