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1974年、ツチノコブーム来る!/考察ドラえもん⑩前半

「帰ってきたドラえもん」
(小学四年生1974年4月号/藤子・F・不二雄大全集4巻)
「ツチノコさがそう」
(小学五年生1974年7月号/藤子・F・不二雄大全集3巻)
「ツチノコ見つけた!」
(小学六年生1975年3月号/藤子・F・不二雄大全集2巻)

藤子・F・不二雄先生の作品を読んでいると、UMA(未確認動物)をテーマとした作品が良く出てくる。雪男(イエティ)、ネッシー、そしてツチノコだ。

特に1974年4月~翌75年3月までの間に、なんと「ドラえもん」においてツチノコが3話登場するという珍事が起きている。その内1話は会話のみだが、後の2話は本物が登場している。

そして後ほど説明するが、3話目ではついにある人がツチノコを捕まえることに成功し、それが思わぬ波及効果を生むという、さらなる珍事が発生しているのだ。

このツチノコ現象を追ってみたい。

まず、なぜツチノコがこれほど集中的に出てくるのか。
それは、1974年にツチノコ大ブームが訪れていたからである。

ツチノコエピソードが続出する前年、73年にNHKの銀河テレビ小説という、懐かしいドラマ枠において、田辺聖子原作の『すべってころんで』という作品がOAされた。

本作は、団地住まいの団野一家のファミリードラマなのだが、なぜか物語後半になると、ツチノコ探しに奔走するお話が中心となる。このドラマがきっかけでツチノコブームになったのか、ツチノコブームだったから本作がドラマ化されたのかは今となっては謎だが、ともかく73年のこの頃からツチノコが一躍脚光を浴びたのは間違いない。

時同じくして、釣りキチ三平で知られる矢口高雄がツチノコ探索をテーマとした「幻の怪蛇・バチヘビ」を少年マガジンで連載したり、バラエティ番組でもツチノコが頻繁に取り上げられたりしていった。

この流れの中に、「ドラえもん」のツチノコ三部作(勝手に命名)がある。

ちなみに、この頃短期的に連載していた「ドラミちゃん」の中で、ネス湖のネッシーを題材とした「ネッシーが来る」という作品も書かれている(1974年8月)。こちらは、ネッシーが存在するか否かを細やかなデータや証言を元に議論するという異色の作品となっている。こちらもいずれしっかり紹介したい。

さて、まず初めて「ツチノコ」が登場するのは、有名エピソード「帰ってきたドラえもん」である。ここでは、ドラえもんが未来の世界に帰ってしまったことで落ち込んでいるのび太に対して、スネ夫とジャイアンが、エイプリルフールということで嘘をつく。

ジャイアンの嘘は、ドラえもんが帰ってきた、というのび太にとって最も残酷な嘘だったので、のび太は怒り沸騰し、それが「ウソ800」というひみつ道具登場に繋がっていくお話である。

この時、スネ夫がついた嘘は、ツチノコを見つけたので捕まえるのを手伝ってくれというものだった。この時のび太は、「ツチノコ!?あの幻のヘビ。大発見じゃないか!」と我を忘れたように大騒ぎする。世の中のツチノコブームを大いに感じさせる反応となっている。

残り2作の紹介と、その後ツチノコブームが思わぬ方向に進んでいくことを、次回書きます。

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