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パーマンとブービーの大活躍・夜の動物園編/考察パーマン③中編

本日のテキスト:
『猛獣がいっぱい』

「小学四年生」1967年2月号/藤子・F・不二雄大全集4巻
本稿のポイント:
★ブービーの家庭環境が判明!
★パーゾウ対パーゴリラの戦いの行方は?
★F先生お得意の、縦軸・横軸が絡み合うストーリー構造

本稿では、前回に引き続き、パーマンとブービーの二人だけの活躍を見ていく。前回の雪山遭難救助のお話に続いて、動物園での猛獣脱走事件を描く『猛獣がいっぱい』を取り上げる。​

『猛獣がいっぱい』
本作の舞台は動物園。最近コピーロボットのおかげでいつも勉強をしているように見えるみつ夫に対して、ママが勉強しすぎだと言い始める。それを聞いてパパ、

「君は贅沢だよ。遊んでばかりいると言っては怒り、家にばかりいるとまた心配する」

親心は複雑だ。まあ、そういう流れでパパ、ガン子とみつ夫で動物園に行くことになる。理由は動物園が一番お金が掛からないから。。

動物園に入ると、こちらにウインクをしてくるチンパンジーを見つける。なんとそれはブービー。ブービーは動物園の猿だったのである。まあ言われてみれば、都会で猿がいるのは動物園しかありえない。(後にその設定は変わるが…)

ブービーもまた、コピーロボットを使って、パーマン活動をしていたのである。そして、ブービーのママがしつけに厳しい様子を見て、「どこの家庭でも同じだなあ」とみつ夫は思うのだった。

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その夜。ブービーが見回りに行かないかと、みつ夫を誘いに来る。深夜のパトロールも面白いなと、飛び立つ二人。

その頃、動物園ではブービーのコピーロボットが、ネズミに鼻を押されてロボットに戻ってしまっていた。ブービーがいないことに飼育員が気が付いて、コピーロボットを放り出して探し出す。


そのコピーの鼻を悪賢いゴリラが押して、コピーゴリラが誕生。そして檻のカギを開けさせると、次々と他の動物たちの檻も開け放っていく。夜の町に、猛獣たちが散らばっていってしまうことに。

そこにパトロールに飽きていたパーマンが騒ぎを見つけて登場。大蛇やらライオンやら、次々と動物たちを捕獲して動物園に戻していく。ところが、ゴリラにマスクを奪われ、そのマスクを被った6600倍の怪力を持つパーゴリラが誕生。手が付けられないほどに大暴れを始める。

ブービーはその様子を見て、みつ夫に対してカバを逆さまにして見せる。「バカ」と。ブービーのパントマイムは、初期パーマンのギャグの王道である。

同じ6600倍の力なので、パーゴリラには当然ブービーは歯が立たない。そこで、ブービーの仲良しの象にマスクを被せて、パーゾウにして、パーゴリラと戦わせることにする。

パーゴリラ対パーゾウ。乱闘の末、ゾウがゴリラをなぎ倒して勝利。これで無事全部の動物の回収に成功するのだった。

騒ぎが収まった後、ブービーはこっそりと自分の檻に戻るのだが、ママに見つかり大目玉。お尻をピシャピシャと叩かれ、アキャーアキャーと泣きわめく。

「厳しいなあ。家に帰るのが怖くなっちゃった」というみつ夫であった。

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本作は、パーゴリラとパーゾウの戦いをクライマックスに、猛獣の大脱走事件を解決するお話である。それと同時に、勉強しないのもしすぎるのも駄目という須羽家と、人間並みにしつけに厳しいブービーの家庭環境を描いて、「親心と子供」というテーマも表現している。

つまり、縦軸に猛獣脱走事件という物語、横軸に親心と子供というテーマを置き、縦横絡めて構成するという、F先生お得意の二重構造が織りなすストーリーが構築がされているのだ。全く持ってお見事!


★まだまだ、パーマンとブービーの活躍は続くよ!

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