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営業トークに天気の話題は必要か? 少し先行くお天気トーーク!

就職活動の頃。もう20年以上前のこと。当時リクルーターという制度があって(今もあるのかな?)、僕も何社かの若手リクルーターに会ったりました。流れは忘れましたが、ある希望会社のリクルーターとの会話の中で、「営業のやり方」についての話題になりました。

僕はその時、営業職に就きたいなどという気持ちは微塵もなくて、リクルーターの方に「天気の話題から入るような営業マンにはなりたくない」などと生意気なことを言って、ドン引きされた思い出があります。

僕の発言の趣旨は、取り引きの場において仕事と関係ない話はする必要ないのではないか、というものです。リクルーターの方は、「営業とはそういうものではない。天気の話題のような世間話を入り口に、打ち解けてから本題に入っていくものなのだ」と、クソ生意気な若造に対して丁寧に返答をしてくれました。

当然ながら、この会社の就活はここで終了です


僕は結局別の会社に就職して営業職に就き、それを20年以上も続けることになりました。でも、やっぱり他愛のない天気の話題をするつもりはありませんでした。毒にも薬にもならない話題で、営業先と打ち解けることができるとは思えないのです。

そこで僕が考えたのは、同じ天気の話題をするのなら、少しディープな内容から入ったらどうだろうか、ということでした。

「今日は寒い日ですね」ではなく、「今日は南岸低気圧が近づいてますから、雪が降るかもしれませんね。でもこの場合、雪が降るかは気象予報士にも判断しずらいんですよ」、といった感じです。

面倒くさ!と思われる可能性もありつつ、なんかこの人変わっているな、と初対面でも大体一発で覚えて貰えます。不思議なもので、ディープな会話が許される状況を作り出すと、先方からもこだわりの話題が出てきたりして、うまくその話を聞いてあげれば、一気に関係を詰めることができます。


これは地方営業でも有効です。地方ごとに、天気・天候には特徴があります。例えば、内陸の平野では、温度調整弁となる海がないので、冷えやすく温まりやすいという特徴があります。晴れた冬の日などは、放射冷却によって一気に気温が下がります。なので、そういう時には、「朝、氷ができませんでした?」などと聞くと、「そうそう」と一気に盛り上がったりします。

空が見える環境でのやりとりであれば、雲の種類を話題にしてもいいかも知れません。「うろこ雲とひつじ雲の区別しってますか? ひつじ雲は低いところでできる厚めの雲なので、下の方に影がついてまして…、とかなんとか。

春一番や、フェーン現象などの説明もできるようにしておくのもオススメです。日頃耳にするけどその仕組みはよく知らないという現象を簡単に説明できると、そのまま商品説明もすんなり聞いてもらえたりします。

お天気豆知識も喜ばれます。例えば、「冬至は一年で一番日の入りが早くて日の出が遅いと思われがちですが、実際は日の入りは12月頭が一番早くて、日の出は1月頭が一番遅いんです」とか、「新聞に載る天気図って、日本地図が夏には上の方に、冬には下の方に描かれるんですよ。なぜかと言うと、夏は太平洋高気圧、冬は大陸の低気圧が影響が重要なので。」などなど話題にすれば、お客様の耳目を引くこと間違いなし!


・・・と、さすがにここまでくると鬱陶しがられる危険性も高まりますが、要は相手との距離感を縮めるためには、当たり障りのない会話から一歩踏み出した方が良いのでは? という体験談でした。


ちなみに自分とかなり歳の離れた上司がいて、その方と天気図の話をしていたら、「君、日本近郊の天気図ばかり見ててもダメだよ。特に冬は北極の気圧配置が日本に影響してくるんだから、もっと世界を俯瞰して天気図見なくちゃ」と注意され、その後しばらくは気象庁のHPで世界の天気図ばかり見ていました。

一気にこの方との関係性が縮まったのは言うまでもありません。

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