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書けばかくほどアイディアは出てくる!年齢とアイディアの相関関係

今回は1988年に初版刊行された「藤子・F・不二雄のまんがゼミナール」から、F先生の創作姿勢がわかる名言を拾い上げ、日常の仕事に役立てようという企画となります。

まず、今回見ていく「藤子・F・不二雄のまんがゼミナール」ですが、これは藤子F先生による、貴重なまんが制作の指南書で、具体的な技術や創作の考え方などがびっしりと詰まった読み応えのある一冊です。

漫画家を目指さなくとも、noteのような創作活動や日常の仕事にも通じるノウハウや、示唆に富む名文が数多く記されてます。
さっそく年齢とアイディアの相関ついての部分を抜粋してみます。(一部漢字に書き替えたり、太字にしたりしています)

僕の経験では、20代から30代あたりが一番脂の乗りきった時期で、次から次へとアイディアが出てきました。プロ作家になった初めのうちは、描きたい漫画とか、その材料を手帳にメモしておいても、これを描き切ってしまったら、後はどうなるのだろうというような恐怖感が絶えずありました。
ところが、描けばかくほど次々とアイディアは出てくるものです。(中略)30代前半だったのですが、モーレツなスピードでアイディアが出てきて、十数ページの作品が3時間もあればまとまり、次の仕事にかかれたものでした。
今から思えば良い時代だったと思いますが、40歳を過ぎると、今までの経験などが武器になってくれても、アイディアの出方などは衰えていきます。それを補う意味でも、できるだけ精力的に、次々と作品を作り出していかねばならないと思うのです。
これから漫画家になろうとする皆さんには、まだまだ先の話ですが、このことは是非とも覚えておいて欲しいと思います。

がっつり40代となった僕は、いま引用した部分に強く共感を覚えます。マンガ家とサラリーマンとでは全く職種が異なるわけですが、20~30代では手数を出し続けることが大事という点や、40代になっても精力的に仕事に向かわなくてはならない点など、非常に参考になるものと思います。


F先生の文章は軽やかですが、裏を返すと、割りとゾッとすることが書かれているようにも思います。それはつまり…、

20~30代:主体的に行動しないと、次の行動が生まれていかないということ。
40代:経験だけで勝負すると、新しいアイディアの出なくなる人間になってしまうということ。

この部分を改めて読んで、僕自身、20~30代と現場の最前線に立ち続けたことだったり、40代でもその仕事のやり方をなるべくキープさせようとしていることが、間違っていないと思えてきました。


ここで少しだけ、僕自身の話をさせて下さい。

僕は、学生時代から狙っていたエンタメ業界に何とか潜り込んだものの、希望だった「ものづくり」の仕事には直接携えなくて、いわゆる営業職でキャリアをスタートさせました。そして、自分は営業なんて不向きだと思いながら、あれよあれよと20年以上も同じ仕事を続けてしまいました。

この間、部下を持つ管理職になりましたが、あくまでプレイングマネージャーであり、常に現場に出続けました。

今でも営業職が自分に向いていたのか正直わかりませんが、20年間営業の現場で、取引先との交渉や交遊を続けてきたことは、静かな自信となっています。常に最前線で戦ってきた、逃げずに立ち向かってきた、という手応えが今の自分の力の源となっているように思います。


一方、自分と同年代の社員・仲間の中には、後輩や部下ができた途端、自らが現場から引っ込んで、専ら陣頭指揮の役回りを選ぶ人も多くいました。

管理職がいつまでも現場に出ていることで、下の人間が育たない、という言われ方をよくされます。その意味で、後輩に現場を委ねるという仕事のやり方は、先輩・管理職の教科書では正しいのかも知れません。

指南する、アドバイスを与える、指示を出す、相談に乗る、導く、バックアップする、ジャッジする、経験を語る、コンサルタント、教育係、教える、ノウハウを伝える、助言する、説教する・・・。

それも確かに重要な仕事です。


ただ、僕にはずっと、そこに異論がありました。

少なくとも若いうちから、教える側の体質になってしまうと、自らが主体的に動くことが億劫になってしまうのではないかと危惧していました。現場の情報に疎くなり、いつまでも古びた経験だけを語るおじさん(おばさん)になってしまうのではないかと。後輩たちに「また同じ話しているよ」などと陰口を叩かれるようになってからでは取り返しの付かないことになります。

もちろん、感性の部分は、加齢とともにどこかで鈍っていくものです。けれど事業の最前線だったり、ユーザーとの接続面で苦闘を続けることで、加齢のスピードを少しでも落とさなければなりません。

早々に実務から離れてコンサル業務に軸足を移してしまうと、アッという間に古びた感性の人間となってしまうように思うのです。もし状況が許されるのであれば、積極的に現場で戦う道を選んだ方が良いのではないかと考えます。


F先生の名言はまだまだたくさんありますので、折を見て少しずつ取り上げていきたいと思います。

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