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最近見た映画の話・23年3月編

本当は昨日見たばかりのドラえもん映画について語ろうと思っていたのだが、整理に時間がかかってしまい、記事のアップは明日へ見送り。

本稿では、ドラ映画以外で最近見た映画をリストアップするとともに、一言感想を書いてみたい。見た順は不同としたい。


「レジェンド&バタフライ」

今年のドラえもん映画や大河ドラマの脚本を手掛けている古沢良太の脚本、監督は「ハゲタカ」以来信用を置いている大友啓史。

キムタクの信長という点は不安もあったのだが、見てみたら新機軸の信長がきちんと立っていてお見事だった。中盤以降、狂気に魅せられていく展開がやや駆け足に思えたが、寓話的なラストシーンも含めて満足できる一作だった。


「ケイコ 目を澄ませて」

先天的に耳が聞こえないケイコがボクシングと出会い、練習にのめり込み、プロデビューを果たす。ケイコを演じるのは岸井ゆきの。見るたびに違う印象を受けるカメレオン的女優さんである。

まるでドキュメンタリー映画のような主人公へのアプローチが印象的で、劇映画としてはあまりお目に掛かれないほどに、最後まで人生がうまく進んでいかない。

もちろんバッドエンディングとかそういうことではなく、そういう順風ではない人生こそが、リアルな人生なのだ。


「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

MCUが最近押しているマルチバースをテーマとしたアクション(?)映画。人生、様々な分岐点があって、その分岐ごとに宇宙が存在する。そこまではよくある並行世界の考え方だが、本作ではそうしたパラレルワールドの自分から、特技を吸収することができるというアイディアが新しい。

さらにパラレルワールドと結びつくためには、傍目にバカなことをしなくてはならないという謎のルールを設定させて、ひたすら主人公たちにバカなことをさせ続けるという合法的なアホらしさ。

壮大な全宇宙の物語でありながら、とっても身近な家族の話を主軸としている点も感心する。


「日の丸 寺山修司40年目の挑発」

没後40年を迎える寺山修司が構成を手掛けたという「日の丸」というテレビドキュメンタリーを、今の世の中でリブートさせようという試みを描いたドキュメンタリー。

「日の丸」は街行く人に突然「あなたにとって日の丸とは」などと挑発的に、機械的に10個の質問を投げかけていくというインタビューのみで構成されている番組で、この過去の映像部分を見るだけでも本作の価値がある。


「アントマン&ワスプ クアントマニア」

MCU大好きな自分なのだが、少々本作には乗れなかった。というのも、「アントマン」シリーズの醍醐味は、この世界において小さくなることで研究所に忍び込んだり、強敵と戦ったりする部分にある。要はドラえもんにおけるスモールライトの世界である。

しかしながら本作ではほぼ全編量子世界に閉じ込められているので、そこでの冒険や戦いでは、小さくなったり大きくなったりというアントマンならではのギミックを見ることがない。

しかも誰も見たことのない量子世界を描くため、結局は全編CGに頼ったビジュアルとなり、だんだん退屈に思えてしまった。

カーンの存在も原作を知らないと強さがわからず、強いヴィランとのバトルという部分にも魅力を欠くように思えた。


「かがみの孤城」

「パーマン」大好きで知られる辻村深月原作のアニメ化。監督も「エスパー魔美」や「チンプイ」の演出で知られた原恵一。このコンビで面白いアニメができないわけがない。

詳細を述べると記事一本書けるくらいなので、ここでは簡略に述べるが、控えめに言っても大傑作である。

同じクラスの女友だちからの嫌がらせや、全く子供たちの世界が見えていない無神経な先生によって不登校に陥ってしまう主人公。彼女がたどり着いた世界では、同じような境遇にある中学生ばかりだった、というお話。

伏線が散りばめられ、それは全て気持ちよく回収されていく。極めて藤子F的な構成で、正しい人に対する優しい眼差しが込められた作品ではないかと思う。


まだこの他にも見ているが、とりあえず5本ざっと紹介した。さあ、次はドラ映画の記事を頑張ろうっと。



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