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注意!相続放棄と相続分放棄は違う

こんちは!副業社労士まさゆきです。
AFPファイナンシャルプランナーの資格も持っていますが、恥ずかしながら相続放棄と相続分放棄の違いを先日初めて知りました。この2つ、“分”一文字で意味が変わります。

奥さんの元へ家庭裁判所から遺産分割調停の申立書が届きました。曽祖父の配偶者が未登記の土地を所有していたらしく、その遺産分割に関する調停です。不動産税の滞納通知が相続人に届き発覚。相続人は他の相続人に相続分放棄を望んでいます。相続人が約30名と多数で調停で解決したいようです。
曽祖父の配偶者と言っても曾祖母と結婚する前の先妻で奥さんには見ず知らずの人、相続人も知らない人です。相続分と言っても1万円に満たず、調停の裁判所は遠く、相続分放棄に同意しようとした所「但し書き」に気になる記載が…

遺産はいらないので相続分を放棄する場合、遺産を受け取ることはできなくなります。しかし、被相続人に債務がある場合、相続分放棄の有無に関わらず、自身の相続に応じた債務を引受けることになります。

書き間違い?裁判所がそんなはずはありません。「相続放棄したら債務も引き受ける必要はないのでは?」FPの教科書にもそう書いてます。裁判所担当書記官に電話しました。

私「遺産分割調停申立書を頂いた〇〇の夫の××です」
書記官「ああ、はいはい。ご質問ですか」
私「相続を放棄したら債務を引受ける必要もなくなるのでは?」
書記官「はあ(溜息)、皆さん勘違いされているのですよね…“相続放棄”ならばそうです。今回お願いしているのは相続“分”の放棄なので債務の引き受け義務は残ります」
私「えっ!債務の放棄と債務“分”の放棄は意味が違うのですか!」

書記官の説明によると…
相続“分”の放棄とは、相続財産の受け取りを放棄することです。相続“分”の放棄は、相続人全員(この場合約30名)に意思表示をすればいいだけ。今回は調停なので、遺産分割協議がまとまったところで、相続“分”を放棄する旨を遺産分割協議書に記載して完了します。ただし、相続人であることに変わりはないので負債負担の責任はそのまま残ります。
それに対し、相続の放棄は「相続人としての立場を放棄し、相続人でなくなる事」です
相続放棄は「相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申述(もうしのべ)」する必要があります。相続放棄をすれば、財産を受け取ることも負債を負担する必要もなくなります。“分”の一文字が入るだけで意味が変わります。

この「但し書き」、皆さん読んでから同意しているのでしょうか?今回は滞納した固定資産税だけで負債は500円未満、大した問題ではありません。もし負債額が大きい場合は…「相続“分”の放棄=相続放棄」と思い、但し書きに気付かず、多額の負債を「相続放棄したから大丈夫」と勘違いしたら…ぞっとしますね。

書記官に「よく解りました」と回答すると、書記官はほっとした声で「解って頂き助かります。ありがとうございました」と仰いました。納得しない人が多いのでしょう。

勉強になりました…ではまた次回


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