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派遣社員の時給が正社員を超える日

こんちは!副業社労士まさゆきです
派遣会社と話をする度、派遣社員の時給上昇に驚くこの頃です。先日、派遣会社が無期派遣社員を「時給1,700円、賞与・住宅手当・扶養手当あり」の待遇で雇用していると聞きました。「市場ニーズの高いスキルを持った人材を確保しないと、派遣会社間の競争に勝てない」からだそうです。賞与・諸手当支給には驚きましたが、時給ではフルタイム派遣時給1,700円は珍しくない状況です。
人材不足が時給に即反映する派遣市場、対して正社員は年1回の昇給です。会社の業績が悪ければ昇給が抑えられる場合もあります。
派遣社員の時給が正社員を超える日が来るかもしれません。直近の状況を見てみました。

《派遣社員募集時時給と有効求人倍率の推移》
2022年4月~2023年9月のデータ推移です。「派遣社員募集時時給」はエン・ジャパン社「『エン派遣』三大都市圏募集時平均時給レポート」データを利用しています。「有効求人倍率」は厚労省データを使用。

2022年4月はコロナ行動制限がなくなって初めての4月でした。経済活動再開により有効求人倍率が上昇しその後高止まりしています。それに伴い派遣社員時給も毎月上昇、2023年9月/2022年4月比では+72円(+4.5%)です。
2023年9月の派遣社員募集時平均賃金は1,683円、時給1,700円は珍しくない事を裏付けています。

《正社員月給と非正規社員月給の推移》
2005年~2022年の厚労省「賃金構造基本統計調査」データを示します。

正社員月給は、2005年318.5万円→2022年328万(+9.5万円、+3.0%)となっています。非正社員は2005年191.4万円→2022年221.3万(+29.8万円、+15.6%)と上昇率が高く、結果「正社員/非正規社員比率」は60.1ポイント→67.5ポイントと大幅に改善しています。同一労働同一賃金(正社員と非正社員間の不合理な待遇差を禁止する制度;2016年閣議決定、2020年施行)が格差是正に影響しているようです。

《男女正社員月給比率の推移》
同じく2005年~2022年の厚労省「賃金構造基本統計調査」データです。

男女格差は縮小しています(2005年60.8ポイント→2022年78.2ポイント)。男女雇用機会均等法が浸透してきた影響でしょう。今後は「管理職男女比率是正」に焦点が移ります。

《派遣会社の時給が正社員を超える日》
DODAの「2021年9月~2022年8月間にDODAに登録した20歳~65歳の56万人の年収データ」を掲載します。平均値は403万円ですが、中央値は350万円です。先に記したフルタイム派遣時給1,700円は年収に換算すると350万(賞与・諸手当無)となり中央値に相当、今後、派遣会社が市場ニーズの高い人材を確保するため賞与・諸手当を支給するようになれば中央値を超え、どちらの働き方が高収入か分からなくなります。

正社員の年収中央値は?年齢別・都道府県別にも解説【2022年版】 |転職ならdoda(デューダ)
①同一労働同一賃金が正社員/非正社員給与格差を縮小」し、②男女雇用機会均等法が男女月給比率を縮小、③人手不足による派遣社員の時給上昇が加わって、派遣社員と正社員の時給格差は今後も縮小し続けるでしょう。
派遣社員の時給は需給バランスで毎月上昇します。他方、正社員の昇給は年1回です。正社員は終身雇用が前提で、昇給=生涯の賃金保証となり経営者は慎重になります。経営状況が悪ければ昇給に影響します。正社員も人手不足ですが、時給上昇に繋がりづらい環境です。

このトレンドが継続すれば、「市場ニーズの高いスキルを持った派遣社員」が正社員の時給を超える日が来るかもしれません。その時、雇用されて働く人はどちらの生き方を選ぶか考えます。

どちらの生き方を選ぶかは自由ですが、対象となるのは「市場ニーズの高い資格・スキルを持った人材」に限定されます。正社員・派遣社員どちらにとっても、資格・スキルの取得はより重要になります。

ではまた次回


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