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2022年一番の衝撃。子宮奇形のドチザメ

年末にたくさんサメが入ったとの連絡をもらい、漁港にかけつけました。

成魚サイズのドチザメが25尾。

調べてみるとそのうちオスはわずか2尾。
メス23尾のうち、22尾が妊娠個体でした。

貴重なオスのドチザメ↓

個体番号20221227a 
ドチザメ オス
クラスパー硬い
TL1.11m
BL0.91m
個体番号20221227a 
クラスパー硬め


どんどん解剖をすすめましたが、とあるメス1個体を開腹した際、とても気になるものを発見しました。


開腹画像はこちら


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お腹の中から長さ18cmくらいの腫瘍のようなものが見つかったのです。これは一体全体なんなんだ?


大学時代からサメを解剖してきましたが、このようなものを確認したのは初めてだったので、思わず手がとまりました。

摘出してみました。

右側に尻尾のような突起がある袋状のもの。

こんな臓器はサメには本来ありませんが、尻尾のようなところにある膨らみは、まぎれもなく卵殻腺でした。

ということはこれは…

子宮!?

でも子宮であるならば袋状ではなく、筒状の管になっています。この写真でいう左側に子ザメが生まれてくる、総排出腔につながる出口があるはずです。

つまり、考えられることは総排出腔に繋がらないという子宮の奇形です。

であるならば…

排卵は行われたものの、出口のない子宮に排卵された卵が溜まりに溜まってパンパンになった状態??

ということは

子どもができたのに物理的に産むことができず、行き場のない我が子たちがお腹の中にどんどん増えていくということ!?(一度に複数の排卵が行われる)

あまりサメを擬人化するのは好きではありませんが、サメのお母さん、病院もない自然界ではどうすることもできず、さぞかし苦しかったことでしょう。

奇形子宮の中身はかなり衝撃的な内容だったので、ブログではお見せできません。こちらの解剖動画はサメサメ倶楽部内で配信したいと思います。

2022年1番の衝撃的なサメとの出会い!
忘れられないサンプリングとなりました。


よろシャーク


ドチザメの卵膜。ボンネットに貼り付けて乾かし中。

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