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はじめましての人同士をつなぐために、できること【コミュニティ運営のお悩み】

人と人をつなぐ。
コミュニティを運営していて、もっともやりがいを感じる瞬間です。

しかし、いつも理想どおりに行くわけではなく。新しい人同士を引き合わせても、うまく仲が深まらずに終わってしまうことも多々あります。はじめましての人たちは、いかにしてうまく繋げられるのか?

「BBQ」を軸として、人と人のつながりを創る。
川崎ロックヒルズガーデン*1 & 日本橋コネクト*2の店長である、石川勝巳さんとともに、現在直面している課題も交えて考えます。


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川崎ロックヒルズガーデン*1 & 日本橋コネクト*2 店長
石川勝巳 (いしかわ・かつみ) さん

大学4年生を休学し、川崎の屋上BBQ場「ロックヒルズガーデン」と、日本橋の室内鉄板焼きの店舗「日本橋CONNECT」の現場統括リーダーを務める。『ビギニングプレイス』という名前のもと、『始まり』に価値を置いたコミュニティ活動を行っている。

*1 ... 築30年の商業ビルの7階と屋上をリノベーションして作った大人の秘密基地。世界中の人と人、人とコミュニティを繋ぎ、新しい価値とライフスタイルを発信する「場」を目指している。
*2 ... 室内鉄板焼きBBQをコンセプトにしたコミュニティ・スペース。同僚・友人に限らず、BBQの空間を通して人が交流し合い、新たな関係を築いていくことを目的としている。

■学生店長として。新しい人同士をどうつなぐか。

「BBQ」を通したコミュニティづくり。
学生店長としての想いをお聞かせいただけますか。

人生における幸せは、誰と過ごすかによって大きく変わる*3と思っています。
好奇心でつながった先に、自分と同じ価値観を共有し合える人がいれば、より毎日が楽しくなるはず。そういう体験をもっと若い世代にして欲しいと思い、学生ながら店長として場を運営してます。

心が動くきっかけを灯していく。自分が普段出会わない人と遭遇することで、視野が広がっていく。そんな、違うコミュニティとの交わり合いで得られる体験を創り出していきたいです。

*3 ... ハーバード大学の成人発達研究によると、現代社会で幸福につながる最大の要因は、健康、年収、学歴、職業とは直接関係なく、「いい人間関係」にあると公表。ハーバード大卒とボストン育ちの貧しい男性たち、2グループ(約700人)を75年以上追い続けた、世界でも最長の研究に値する。
参考: The Harvard Gazette. (Aprli 11, 2017)
「人と人をつなぐ」上で、今どんな課題があるでしょうか。

新しい人同士をつなげるのが難しいですね。初めてのお客さん同士でも、スタッフからのきっかけづくりも空ぶってしまったり。いざ話しかけても、つながりを求めていないケースもあったり。

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共通の話題が見つかれば、打ち解けていくのだろうけど。それがないとやっぱり厳しいですね。「お客さん」や「スタッフ」等、肩書のフィルターもあり。日本橋コネクトは貸し切り制でもあるため、どうやって話づくりのきっかけを提供していくかが課題となっています。

■ヒント①: 常連さんの存在

現状の課題: スタッフと長らく顔見知りな人が、あまりいない。

新しくやってきた人を、いかに溶け込ませていくか。スタッフの力量も問われてくるところです。ただ、社会学者のレイ・オルデンバーグは、著書「サード・プレイス」にて、「常連でやってくるお客さん」がもたらす影響力も唱えています。

サードプレイスは、しかるべき人がそこにいて活気づけてこその空間であり、その「しかるべき人びと」とは常連である。常連は、その場所に特色を与え、いつ訪れても誰かしら仲間がいることを確約してくれる。
(p.85 サードプレイス----コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」)

安心感やコミュニティの軸を動かしてくれる存在。新たな訪問客を惹きつけ、新参者にも優しい入口の案内人。既存の人たちとも、上手につなぐお世話役でもあります。

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コミュニティに共感を示してくれていそうで、よく来てくれるお客さんがいたら、意識的に関係を紡いでいくこと。長期的に顔を合わせながら、場の中で会話を生んでいき「コミュニティの空気感」が醸成されれば、「つながり」を生む土壌ができていきそうです。

■ヒント②: 連絡先の交換を、運営からサポート

現状の課題: イベント後などの連絡先交換が、個人レベルで終わっている。

個別に連絡先を交換し合うのは、ハードルが高いかもしれません。それができたとしても、同年代の人と一対一でInstagramのアカウントを交換するなどに留まり。個人と個人の関係で終わってしまうことも、珍しくありません。

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そこで、運営のお店側からFacebookグループなどで受け皿をつくり、継続した交流を後押しできそうです。例えばイベント後にグループチャットを作成したり、集合写真やスクリーンショットを交えた投稿をひとつ行い、「今回は皆さんありがとうございました」等のコメントを置いておく。その上で、お互いの連絡先を自然と可視化させ交換できるように促せば、「話しかけやすさ」を演出できそうです。

■ヒント③ : つなげるのが上手な人のノウハウを共有

現状の課題: 話しかけるのが苦手なスタッフさんも。

新しく入ってきたアルバイトの人だと。もしかしたら経験が豊富でない分、お客さんとの関わり方・場のつくり方について、戸惑いを感じてしまう方もおられるかもしれません。

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そこで、特に話が上手だったり、場を盛り上げるのが得意なスタッフの人がいたらノウハウを共有する機会を設けてみるといいかもしれません。どのように話しかけに行ったらいいか。新しいお客さんが来たときに何の話を投げていくか。身近にいる経験者が、普段から意識して実践していることを学ぶことができれば、慣れていないスタッフさんにとっては大きな助けとなり得るでしょう。

■ヒント④: 「広げる」はオンライン、「深める」はリアル

このコロナ禍もあり。イベントやコミュニティをつくる上で、オンライン上で人がつながる影響力も無視できなくなりました。そこで、リアルとオンラインにおけるコミュニケーションスタイルの違いも、戦略的に見極めておいたほうが良さそうです。

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オンラインは、最初のつながりを作る場としては有能に作用しそうです。Zoom上ではブレイクアウト・ルームに分かれて、共通の関心ごとや趣味を共有し合ったり。しかし、イベントの前後において雑談をする機会が限られているため、一歩知り合ってからの、さらにお互い歩み寄るためのアクションが難しいところです。

一方、リアルは関係を深掘りするために有利だと言えるでしょう。そこで、まずはオンライン上のイベントで様々な種類のテーマを企画・実施してみて、その中から温度感の高く感じられた内容については、リアルの集まりへと誘導していく。そんな切り替えの戦法も、ひとつ視野に入れられそうです。

■ヒント⑤: 「非日常性」を取り入れる

お互い見知らぬ人同士で、どう会話を生むか? ひとつのキーが、「非日常性」にありそうです。

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全く新しい状況に直面したとき。例えば、異国で物を盗まれたり、急に服を脱がされたりしたら、どんな人でも知らない人に話しかけるでしょう。普段みんなが体験している「当たり前」の世界だと、その中で起こすべき行動がある程度分かっているため、特別誰かに頼ることもなく、ひとりでこなせてしまったり。

しかし、「どうやってゼロから火を起こすか」のような、多くの人が普段経験しないような状況を導入すると、全員が素人になり会話が生まれやすくなる。非日常の時間を生きる上で、人はコミュニケーションはせざるを得ない。そんな心理的な仕組みを取り入れた、イベント化も戦略に据えられそうです。

■コミュニケーションとは

最後に、新しい人同士をつなぐ心構えとして。コミュニケーションは盛り上げることではない、ということ。運営する側が「こうしたい」と思って話しかけることがあっても、お客さんからは求められていないケースも。

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前提として、相手が求めているニーズに応えていくことがコミュニケーションといえます。そのニーズを先読みしてあげることで、自然と会話を生んでいくこと。その過程で、新しい人たちの間の関係を紡いでいくことが望まれるでしょう。

【コミュニティラボとは】
リアルとオンラインの仮想のまち「シェア街」における住民たちの活動。
Zoom上で毎週月曜日の21時-22時に開催中。コミュニティの主催者・マネージャーを招いて、実践で得たノウハウを学んでいます。参加者はQ&Aで自由に質問したり、自身の抱えるコミュニティづくりの悩みをぶつけてみることも。
(下記写真: 今回のメインスピーカー「石川勝巳」さんも交えてお話しました。)

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シェア街の住民さんも現在募集中なため、ご興味のある方はお待ちしています!
(そもそもシェア街とは何か?は以下のリンクからどうぞ!)



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