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コロナで苦しんでいる在日外国人たちのために~情報発信とワクチンへのアクセス改善への取り組み~

新型コロナウイルス感染症パンデミック下での在日外国人への取り組みを開始

シェアは、2021年度から、国立国際医療研究センター国際医療協力局やアジア経済研究所、「みんなのSDGs」外国人との共生タスクフォースのメンバーと、トヨタ財団の助成を受け、「新型コロナウイルス感染症パンデミック下における在日外国人コミュニティへの情報提供体制整備と検査・診療へのアクセスを可能にする道筋づくり」というプロジェクトを実施しています。プロジェクトの名前が長すぎて、わかりにくいので、これら四者の集合体のニックネーム「MINNA(みんなの外国人ネットワーク)」から、MINNAのプロジェクトと呼ばれています。

このプロジェクトは、新型コロナ渦で苦しんでいる在日外国人への検査・診療へのアクセスをよくしようというものです。このプロジェクトで把握した、在日外国人がコロナ禍で直面している課題と解決策については以下(図1)をご覧ください。

SNSを通じて実施したベトナム人コミュニティへの情報発信と実態調査

情報発信に関して、政府や多くの自治体が、ホームページを通じて、文章での情報発信をしていますが、このSNSの時代にマッチしたものではありません。実際MINNAのプロジェクトの調査でも、ほとんどの在日外国人が、Facebook等のSNSからの情報を得ていることがわかりました。ベトナム人コミュニティには、80万人以上のベトナム人がアクセスするFacebookページ「TAIHEN」があります。新型コロナウイルスの変異株について、感染予防、ワクチン、外国人新型コロナワクチン相談センター (COVIC)、感染時の対応(陽性者フローチャート)に関する5つの記事をベトナム語で作成し、「TAIHEN」を通じて発信しました。

また、新型コロナウイルス感染症による日本在住のベトナム人コミュニティへの影響についてもこの「TAIHEN」を経由して匿名のアンケート調査を実施しました。929名の回答があり、分析の結果、情報発信と支援に関する課題が明らかになりました。具体的には、検査やワクチン接種の障壁があり、検査を受けない理由のトップは「費用が心配」、「在留資格によるワクチン接種率の違い」、「生活困窮の実態」があり、4人に1人が「家賃が払えない」状況であること等が判明しました。

相談センターを開設、外国人のワクチン接種状況の改善を目指す

2021年10月から、この調査で明らかになった問題の解決に向けて、活動を実施しました。国際活動市民中心(CINGA)と協力して、「外国人新型コロナワクチン相談センター(COVIC)」を立ち上げ、2021年10月1日から2022年3月31日まで半年間運営しました。COVICの目的は、外国人に役立つワクチン接種に関する情報を、外国人や支援者に提供し、必要に応じて全国の外国人相談につなぎ、自治体ごとの外国人向けワクチン情報が行き渡るように支援することでした。半年間で、計550件の電話に対応し、相談者の出身国は計31か国、在住自治体は20都道府県に渡りました。

COVICには、接種券が自動的に送られて来ない「仮放免」や「短期滞在」の在留資格を持つ方々からの相談も多く寄せられました。厚生労働省が、そのような方達も居住が明らかであれば接種対象とするという事務連絡を発出していることを把握していない自治体が相当数あることも分かってきました。COVICが各自治体に事務連絡の内容を丁寧に説明し、多くの相談者を接種につなげることができました。COVICによる自治体への「つなぎ」件数(ワクチン接種券発行状況(在留資格別))を以下(表1)に示します。接種券の発行に関して、「中長期滞在」の方達はほぼ問題がなく、「短期滞在」や「仮放免」の方達も、つないだ先の自治体とのやりとりで、ほぼ発行可能となりました。しかし、「超過滞在」の方達に関しては、自治体により対応が様々でした。

コロナ禍において、在日外国人コミュニティにおける感染クラスターが出たり、ワクチン接種がされていないことが明らかになり、日本在住の外国人の状況が脚光を浴びることとなりました。しかし、このことは、これまでも課題としてあったことが人に知られるようになっただけです。コロナが過ぎてしまえば、在日外国人が置かれている状況はまた、忘れ去られてしまいます。この機会を活用し、制度の改善や人々の関心の継続性につなげていきたいです。

文責:共同代表理事 仲佐 保

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