ひろがる保健教育の輪:地域全体でまもる衛生環境
日本の皆さん、お久しぶりです。私はジョシオです。最近は物価高騰が著しい東ティモールです。日本はいかがでしょうか?
今月は、シェアがおこなった小学校教員への保健教育研修から、健康を守る取り組みが生徒だけでなく地域にまで波及した嬉しい報告をします!
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変化の起きたFatu’u (ファトゥー)小学校ってどんな学校?
Fatu’u小学校はアタウロ島の北側に位置しています。配置されている教員は4名(正職員1名、契約職員2名、ボランティア職員1名)で、現在30名(女生徒16、男生徒14)の生徒が通っています。
この小学校が他の学校と違うのは、アタウロ島の中心地(シェア事務所がある場所)から遠く離れていること。そして、きれいな水へのアクセスが非常に難しいことです。
集落の中に井戸があるのですが、海に近いためにほとんど塩水です。2004年に集落内で下痢が流行し、政府による調査が行われました。井戸の水は料理に不向きであるため、埋めるよう指導されました。現在までに、井戸水は洗濯や掃除のみに使うことを集落内で決め、料理のためには雨水を貯めて使っています。
学校もタンクを2つ設置しています。雨季は雨水が継続的に溜まりますが、乾季に入ると数カ月雨は降りません。タンクの水の量を管理する必要があります。学校では、水の使用を制限し、主に給食と手洗いのみに使用することにしています。トイレは井戸から汲んできた水(塩水)を使います。歯磨きは学校では指導できないため、おこなっていません。
このような厳しい状況にあっても、学びたいという気持ちを持つ生徒たちが毎日学校に通ってきています。
保健教育によって生徒たちの行動が変わった!
Fatu‘u小学校では、第1回目の研修(2022年12月)から、これまでになんと70回も(!)保健教育が行われました。
どのような変化があったでしょうか?
まず、生徒たちの爪が短く切られていました!それから、私たちが贈与したもう一つの水タンクを使い、給食前に生徒たち自らが手洗いをする様子をみることができました。
私が一番驚いたのは、生徒たちが掃除当番表を作成し、それに沿って毎日掃除を行っていることです。まさか毎日続けるなんて!と先生もびっくりしたそうです(笑) 学校を休む生徒の数も減り、これは保健教育がもたらしたものだと学校の先生は言っていました。
学校生徒である子どもたちの変化が、村の住民たちにも影響をもたらす
保健教育を受けた生徒たちは、学校周辺の掃除も毎週土曜日に行うようになりました。生徒たちは家庭の周りや畑に捨てられているプラスチックごみを拾い、分別をして埋めたり燃やしたりしました。
その姿を見た保護者たちは、「自分の子どもが何か学校で悪いことをして、その罰のためにゴミ拾いを“やらされている”のでは…」と思ったため、学校で成績表が配布されるタイミングで教員たちに問いただしたそうです。
学校の先生はそれを聞き、「いつも学校で生徒に教えていることをこの場でやります」と話され、保健教育を親の目の前で実施したといいます。授業を疑似体験した保護者たちは、生徒たちが蚊の発生を防ぐため、そして村の衛生環境を守るために掃除していたことをこのとき初めて知ったそうです。
以降、保護者の中で話し合いが行われ、各家にゴミ箱(米袋を木にぶら下げるだけですが)を設置し、自らがゴミ拾いをして処理するようになったといいます。
保護者に話を聞くと、「先生が私たちに紹介してくれた保健教育の中には、歌や劇がありました。ようやく子どもたちが掃除をしている理由がわかったんです。罰ではなく、健康になるための予防でした!いつも歌をうたいながら掃除していますよ。これからは自分たちも健康な集落を維持する一員になりたいです」と語ってくれました。
今回は、Fatu‘u小学校の教員、生徒だけではなく、保護者の方にもお話を聞くことができました。私たちがおこなった研修で、集落全体が健康になろうと気持ちを変えてくれました。
なんて嬉しいことでしょう…!自分がその一助になれたことも嬉しかったです。今後研修をする際、このような変化のあった集落について研修に参加した先生方にも紹介し、他地域へも波及するといいなと思います。
今年の11月にも教員研修をおこなう予定です!これからもがんばります。
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