整理ー捨てるその1

前回、「整理」とは「いらないものを捨てること」と述べました。
では、「いらないもの」とは何かについて、自身の中で決まり事はあるでしょうか?または、組織の中で共有されているでしょうか?

例えば、私の職場では、書類の種類別に「保存年限」が決められていて、その年度を過ぎた書類は無条件で処分(破棄)することとなっています。だいたい年に一回、集中処分日が設けられ、職場内で一斉に段ボール詰めの書類が大量に出され、処分業者に引き取られていきます。
通常、職場内で作成・保管されている書類の量は、特殊な要因がない限り、毎年それほど変動することがないので、上記のサイクルが回っていれば、書類スペースはほぼ一定量で済むことになります。

ところが、現実の場面ではしばしば「書類保管スペースが不足している」との声が聞かれ、執務室内に段ボール詰めの書類が詰まれたり、新たに書類棚を用意したりという光景が見られます。
これを放置すると、書類保管のための直接コストが増えるだけでなく、書類探しに追われたり、作業スペースが不足して作業効率が落ちたりといった間接コストの上昇を招きます。これらは仕事の価値向上に全く寄与しない、まさに「ムダ」そのものですが、たいていは「仕方のないこと」として片付けられてしまいがちです。
しかし、そもそも「スペースが足りない」というのは正しい認識なのでしょうか?「いらないものが多い」のではないか、ということを疑って見る必要があります。

この時に着目してほしいのは、以下の二点です。
(1)保存年限が守られているか
(2)そもそも保存すべきものか

まず、(1)については「そんなの当たり前ではないか」とお思いの方が多いと思います。ところが、書類棚を眺めてみると、保存年限を過ぎているにも関わらず、残っている書類が意外と見つかるものです。
書類を管理する担当者に理由を聞いてみると、だいたい次のような答えが帰ってきます。
①書類の存在にそもそも気づいていなかった
②捨てるのを忘れていた
③前の担当が残していて捨てる判断ができなかった
④いつか使う(かもしれない)から捨てられない
⑤使う必要があるので捨ててはいけない
⑥今はスペースが余っているので捨てる必要がない

上記のうち、①②は気づいたら直ちに捨てればよい話です。何も考える必要はありません。
③④については、具体的な使う時期・用途がないのなら直ちに捨てましょう。「使うかも」という個人の判断は、担当が変わってしまえば基準も変わるので意味がありません。
⑤については、本当に必要ならそもそも属性が違うことになります。ルールに則って、保存すべき正しい年限に書き換えてしまいましょう。

これらのことに共通して見てとれるのは、「個人の判断をルールに優先して処理している」という点です。ルールは個人判断の手間を省き効率化を図るためのツールであるはずなのに、なぜかルールに基づかない行動を取ることで、個人としてはうまくやっているつもりでも、全体のパフォーマンスを落としているという典型と言えます。
(ここで述べている主旨は、ルール盲従主義というか、何でも「ルールだから」で済ませることを良しとするということではありません。ルール盲従主義との違いについては、別に述べたいと思います)

あと、⑥が意外に放置されやすい問題なのですが、ルールに則って捨てた結果、書類棚のスペースが余るというなら、書類棚は仕事をしてくれるツールではありませんので、書類棚を処分して別の用途に振り向けましょう。

上記(2)として記載した「そもそも保存すべきものか」については、次回のテキストで述べたいと思います。

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