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サイボーグ夫に「愛してるよ」と言わせる方法をめちゃくちゃ考えた

度々ネタにしていますが、私の夫は感情表出の薄いサイボーグのような男です。
10数年一緒に暮らしてそのサイボーグぶりにも慣れっこになりましたが、正直、ロマンティック夢見少女である私はその事実を完全に納得して受け入れているわけではありません。

感情なきサイボーグとは

改めて説明すると、夫は

・そもそも感情の起伏自体が少ない
・仮に感情が動かされても、(特に怒りなどのネガティブな感情を)あからさまに態度に表すことを良しとしていない

というダブル武装の、言うなれば感情表現薄すぎ界の仁王立ち弁慶みたいな人間です。(なんだそれ)

そんな夫から、ベッドで優しく髪を撫でながら「すごく綺麗だよ…愛してる…」みたいな甘々愛情表現を受け取るなんていうのは、夢のまた夢であります。

しかし、齢十四より百戦錬磨の恋愛経験を重ねてきた身として、その程度のことで簡単にめげているわけにはいきません。
むしろ「夫が感情なきサイボーグでよかった点」に最大限目を向けるように努めてきました。
とにかく滅多に怒らない夫のおかげで平和な夫婦関係を維持できましたし、
自分が落ち込んでいる時に「いつもの夫でいてくれるありがたさ」を感じたことも数知れません。

「俺なりの愛情表現」というやつ

しかしそうは言っても
「いや、今こういう時くらいはもうちょっと愛情表現してくれてもいいんじゃない?」
と詰め寄りたくなることもあります。

しかしそれを指摘すると「俺は俺なりに愛情表現をしているつもりなんだよ」と夫は言います。
じゃ、あなたにとっての愛情表現ってどんなの?と聞くと、出てくるのが、
・毎日家族との時間を確保して仕事一辺倒にならないようにする
・家事や育児にコミットする
・夫婦二人の時間を作る(二人でランチに行ったり、散歩したり)
と、とにかく行動で示すもの。

本人の口からこの答えを聞いて私は
「なるほど…そういうことなのね…」
と思いました。
これ男女のすれ違いでありがちなやつなんですよね。

こういうタイプの男性にとっては、行動こそが愛なんですよね。
私も伊達に恋愛経験積んでませんので、男性にこのタイプが多いのはよく知ってますよ。

行動に示してなんぼですよね、愛なんてね!
いくら口先で「愛してる」って言ってたって、毎日深夜まで仕事ばっかしてたり家族そっちのけで飲み歩いたりしてるような男じゃ一緒にいる意味ないですからね!
ほんとよかったです、行動で示してくれる夫で。

いやーよかったよかった。

よかったけど、でも愛の言葉も欲しいな〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
口先だけの激ッ軽のやつでいいから
「好きだよ」「可愛いね」「きれいだね」「素敵だね」「一緒にいれて楽しいよ」「幸せだよ」「今日のご飯美味しいね」「新しい髪型似合ってるよ」「さすが頼りにしてる」「いつもありがとう」
などの一言が毎日毎日365日途切れることなく欲し〜〜〜な〜〜〜!!!

なぜかって?
私はそういう「口先の愛情表現」でやすやすと満たされるタイプの人間やからや!!!!!

分かるか夫!
お前の愛は独りよがりなんや!
「お前なりの愛情表現」とやらをいくらやってても、妻が求めてるものを与えられてへんのやったら、それは十分ちゃうんやぞ!!!

愛情表現ルールの策定

…と、夫からすればスーパー理不尽な不満を、先般ついに爆発させてしまいました。

そして突如爆発した私を見て、夫は当然ながら「ハァ?いきなりどした?」という反応でした。サイボーグなので。

そう、私がいくら爆発したところで、夫にできないものはできません。
そこで夫との協議の末、ひとつのルールを設けることにしました。
(ハァ?ってなりつつもちゃんと協議に付き合ってくれる夫は本当に素晴らしい)

夫からの自発的な愛情表現は諦めるが、
私が”夫さん大好き!”と口にする時は、それを合図にとことん甘々対応すべし。

欲を言えば、妻に言わされるんじゃなくて自発的に「愛してるよ」と言ってほしいところですが、夫はサイボーグ、それはさすがに求めすぎというもの。
例えるなら、犬に卵を産めと言っているようなもんです。

そこで、「私が夫に卵を渡す→その卵を再び夫から私に渡してもらう」というシンプルなルールにしたわけです。
夫は手元に卵が飛んできた時だけその卵を私に投げ返せばいいのですから、実に単純明快です。

この画期的なルール策定により、我々夫婦には束の間平和が戻った…かのように思われました。

ルールを守れない時はどうするか

ルール策定から数ヶ月が経ったある日のこと。
ちょうど生理前かなんかでイライラが募っていた私は、愛情という名の栄養補給をしようと、唐突に夫にすり寄り「夫さん大好き!」と言いました。
しかしその日の夫は機嫌があまり芳しくなく、返ってきたリアクションがまぁまぁな塩対応でした。

普段の私ならば夫のメンタル状態を察してそっとしておくのです。
でもその日はこちらも絶賛メンタル不安定で、「ちょっと何よその態度!あの約束忘れたの?」と噛み付いてしまったのでした。

もちろん夫は夫で「なんやねんこいつ…ただでさえ今日はイライラしてんのにめんどくさいな…」となるわけで、感情の蓋をばたんと閉めて完全なサイボーグと化します。
もうギッスギスです、夫婦仲。

それでもなんとか落ち着いて話し合う場を持ちました。

私の言い分は
「あなたからの自発的な愛情表現は諦めている。今のルールで最大限譲歩してるつもり。なのにそのルールすら守らないっていうのは流石にパートナーとして責務放棄ではないか?」

対する夫の言い分は
「1. どうしても機嫌が優れない時などにはルール通りのリアクションを取れないこともある  2. そもそも愛情表現をルールで決めるっていうこと自体どうなのか」

1.に関しては、それはまぁその通りだと思ったので、そういう時はそうと伝えるようにお願いしました。「今ちょっとイライラしてるから優しくできない、ごめんね」とかね。

2.に関しては、
ハァーーーー?どの口が言うか!!??お前の自発的な「愛してるよ」を待ってたら年単位で時間かかりますけど???そういうのはそもそも自発的にできてる人だけが言っていいセリフですけど??!!???!!!!
とまくし立てて却下しました。

分かってるで、ウチもルールなんかで縛りたないわ…。
自由に生きるアンタを…ウチの愛の鎖で繋ぎ止めようなんていうのが間違いなんや…。
それでもウチは、甘い言葉がないと生きていかれへん女やさかい…。
からっぽの愛でもかまへん…!
ウチは…「言葉」なんていう不確かなものにすがってしまう、哀しい女やさかい…!
(BGM:やしきたかじん)

と思わず通天閣の下で雨に打たれながら叫びそうになりましたが、私は全然そんなしおらしい女じゃないです、むしろ夫に「Shaniさんはほっといたらどっか行きそう」と言われてます。愛の鎖を引きちぎりそうなのは私の方です。申し訳ございません。(たかじんのくだり完全に不要)

義務ではなくベネフィットで推せ

さて、この一連の話を、似た属性の夫(=感情表出薄系男子)を持つ姉に話したところ、姉から非常に有益なアドバイスをいただきました。

姉曰く、夫の教育は営業と一緒なのだと。

・営業の基本は「ベネフィットの訴求」である
・それをすることでいかに彼にベネフィットがあるのかを伝えねばならない
・つまりこういうことである
・「愛してる」と言葉に発すればあなたの妻は即座にご機嫌になる。一方その言葉を発することを拒めば、あなたの妻は向こう2時間は不機嫌になる。
・一切の労力は要らない。気持ちもこもってなくてもいい。一言「愛してる」と言うだけで夫婦間の円満な空気が2時間約束される。ならばそれをやらない理由がどこにある?

実際に姉はこの教育を夫さんに行い続けた結果、「自分の話に永遠に相槌を打ち続けてくれるマシーン」が完成したそうです。
「共感とか意見とか一切なくていい、ただ話を聞いて相槌を打つ、それだけで妻のメンタル安定が約束されてあなたも幸せよ」というわけですね。すばらしい。誰も傷つかないしハッピーです。

なのに私なんて、「こういう愛情表現するのは夫の義務だ」と夫を責め立てるような言い方ばかりで、反省しきりでした。
何が正しい・間違ってるなんて人それぞれではないか。
大切なのは、お互いがWin-Winを感じられる関係性であることではないか。

関係性が近くなればなるほど冷静な視点を失ってしまうもので、私はもっともっと夫のことを汎用的に捉えていかなきゃいけないと思うのでした。

というわけで、もっと顧客(夫)の真の要望を理解して、マーケティングを学んで、営業トークを磨いて、サイボーグとの付き合い方をバージョンアップさせていきたいと思います。
毎日たくさん「愛してる」と言ってもらえるように。

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