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【ホテルシャルマン】昭和ラブホ🏩初♡体験談

※2021年末に書いた文章なので情報の相違や変更がある場合があります※

 昭和ラブホ。この文字列を見るだけで、その艶めかしさ、覗いてはいけない大人の世界への興味が湧いてくる。昭和ラブホとは、その名の通り昭和に誕生したラブホテルのことである。大抵の場合、当時の豪勢な時流にのっとった夢のあるデザインの部屋のあるラブホテルのことを昭和ラブホという。当時のインテリアデザイナーが本気で腕によりをかけてデザインした一部屋一部屋趣向の異なる仮初めの御殿。入ってみたくなるのが人の子というものではないか。

 今回訪れたラブホテルは京都は伏見、その名もホテルシャルマンである。洛中からは少し離れたところにあるが、それでもこのホテルを目的として訪れるには十二分に価値のある昭和ラブホである。このホテル、最近リニューアルオープンしたばかりで、公式サイトも整っている。

 リンク先に飛んでみると広がる極彩色の部屋の数々に思わず感嘆せずにはいられない。これが郊外の一ホテルなのか。これが昭和ラブホなるものなのか。

 そもそも我々がホテルシャルマンを訪ねることになった理由は、純粋な昭和ラブホへの関心に加えて、作品撮り、巷で流行っているところのラブホ女子会、ブッダマシーン会の開催など様々である。しかし、この様々な目的を一度に叶えさせてくれるのが、そう、昭和ラブホなのである。昭和ラブホ昭和ラブホとはいうものの、つまるところ昭和ラブホとは場所の提供といえる。場所の提供。なんと素敵な言葉だろう。我々が最も欲しているものではないか?終電も、人目も気にする必要がない。何をしてもよい空間。その場所に、昭和の趣を付与したものが昭和ラブホなのである。これよりほかに優れた空間があるだろうか。

 今回の昭和ラブホ探訪・ホテルシャルマン編で宿泊した部屋は【325号室】、鏡張りが特徴的な部屋だ。

 前述した通り、ブッダマシーン会をしたいという願望があったので、ブッダマシーンが映えるような中華な感じか、そうでなくとも赤っぽい部屋がいいだろうと考えていた。325号室も赤を基調としているのでこの考えには沿っているのだが、325号室の決め手はやはり鏡張りな点である。何を隠そう、鏡張りであるということはすなわち、ブッダマシーンが鏡に映って何個もあるように見えるのである。この理由が最たるものではあるが、加えて、鏡がブッダマシーンから発光する極彩色な光を反射し、至高の合法トリップ空間になるだろうとも思われた。

 以上のように部屋を決めた。全部屋の説明は上に挙げたリンク先に記載されている。特別設備や料金設定から、支払い方法まで詳細に説明があるので大変わかりやすい。予約もウェブ上の【電話で予約する】をタップすることでできる。ただし、予約をする際に部屋設定をすると追加で料金が発生してしまうので注意が必要だ。ちなみに325号室の場合は3000円の追加であった。人気の部屋(メリーゴーランド部屋)などはともかく、そのほかの部屋であれば、平日の夜や昼間を狙えば予約しなくとも大丈夫だろうと電話口の彼は話していた。

 ウェブページを見る際、ページ右上のクーポンのバナーに留意されたい。休憩500円off・宿泊1000円offというものだ。割とお得なんでは?ラブホはただでさえ安い。この画面をフロントにお見せください、入室前にフロントに提示などといった文言が並ぶが、このホテルにフロントなどというものは存在しない。ではどうするか。部屋の電話を使ってウェブクーポンの旨を説明するだけだ。当日フロントを探しても見つからず、割とドキドキしながら説明したのだが(貧乏学生には一銭とて惜しい)、すんなり了承してもらえ、支払いの時にはきちんと1000円offがなされていた。

 遂に当日。最寄りは京阪電鉄の伏見桃山駅または中書島駅である。距離としてはどちらも同じくらいなのだが、伏見桃山駅からはまっすぐ進むだけなのでこちらの方が便利かもしれない。

 伏見桃山駅を降りるとそこはもうすでに商店街が広がっており、西へと続くアーケードに導かれるようにして我々は歩いていく。丁度夜の帳も降りてきた頃合い、商店街のなかにあるこじんまりとした中華料理屋で腹ごしらえをすることにした。

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 シャッターの閉まりゆく大手筋の商店街のなか、怪しく灯る3つの提灯が印象的な「ぎょうざの店 富士」。入口が狭く、本当にやっているのか?中に人がいるのか?と不安になるようなアングラ感だが、本当にやっている。

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 入口が狭いだけでなく、店内もこじんまりとしているのだが、常連客は一定数いる模様。しかしこの店内、構造がよく分からない。ジグザグに間取りが組まれているのだが、こんな間取りがなぜ存在するのだろうか。

 価格は安く、ラブホ会が本当の目的である我々にはとても助かった。伏見に来たからと日本酒を頼むことも忘れなかったが、1人1000円ちょっとであった気がする。こんな店になぜ若いふたりが、と思われたのか、店主のおじいさんにはどこに行くのかと尋ねられた。シャルマンへと答えると、あそこはモーテルじゃないかと少し驚いていた。シャルマンは地元の人からすると有名らしい。私の周りでは趣味の合う人しか知らなかったのに。気をつけろよとおじいさんに手を振られながら、私たちは店を後にした。

 ぎょうざの富士を出たら、シャルマンまでは西へとズンズン歩いていくのみだ。途中、酒屋が軒を連ねており、ああここは伏見だと思った。国道を越えると、セブンイレブンがあった。私たちはここでラブホ会のためのおやつや飲み物を買うことにした。


 ラブホの部屋の中にももちろん飲み物があり、ほかにもご飯など電話で注文することができるのだが、なにぶん高いのでコンビニで買うことした。ホテルシャルマンの最寄りのコンビニはここなので、シャルマンを目的として伏見に来る人は皆ここで色々買っていくのだろうなと思うと、少しどぎまぎするような気分にもなった。

 セブンイレブンからも西へ少し歩くと、喫茶店が見える。ここを左に曲がれば、ついにシャルマンのお出ましだ。

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 緑のライトで煌々と光るシャルマン。暗闇の中でなんと幻想的なことか。前述した通り、このホテルにはフロントがない。したがって私たちはホテルにチェックインする際、難儀した。どこから入ればいいのか分からなかったのである。1階は駐車場のようになっており、徒歩の客はどこから入ればよいのか分からない。しかし、フロントもない。仕方なしに私たちは駐車場を散策することにした。

 駐車場は一部屋ごとに一台の車が止められるようになっていた。つまり、駐車場がそのまま部屋への入口になっていたのである。人を介さずチェックインするなんてちょっと悪いことをしているみたいだと背徳感を感じつつ、いざ入室する。ドアの前に電話があり、ここで初めてホテルの受付とコンタクトを取る。部屋のドアには18歳未満お断りの文字があった。もう自分たちは18歳では無い。

 扉を開けると、精算機と朝食用の配膳口が見えた。決して客が顔を合わせることが無いよう配慮がなされている。禁断の愛し放題だねと笑いあった。さらに扉を開けると、鏡張りの部屋が私たちを出迎えた。

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 なにがなんだかよく分からない。部屋の真ん中から赤い光が刺している。加えてその赤は熱を帯びていて、近寄ると熱い。赤い照明1つとっても艶っぽいぜ。得体の知れぬ夢幻のなか、戯れる2人はどんな気分なのだろう。

 トイレに鍵はなく、お風呂は鏡で外から丸見え。ラブホとはこんなものなのかと思うことしかできない。アメニティは充実していて、タオルや歯ブラシ、ドライヤーなど一般のホテルとは変わらないレベルで驚いた。料金が安いので大したことはないだろうと思っていたのである。

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 とりあえず(とりあえずとは?)ブッダマシーンを配置した。もうこんなにも集まってしまった。赤い光に包まれながら、鈴木清順が喜んでくれそうだ、、と謎に思った。


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 宿泊で利用したものの、興奮に時間を取られてしたいことが何も出来ないと困るので晩酌じみたことをしつつ、チェックアウトまでの作戦会議をした。マジでシャルマンは興奮しっぱなしなので作戦会議を相手の人とよくした方がいいです。


 結局以下の2点のお題で写真を撮った。

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❶自分たちのお気に入りの服を散りばめ、その中心でセーラー服を着た自分が服を眺めている。セーラー服を着ていた高校生の頃は、お金が足りず好きな服も着れなかったし、こんな楽しいことも出来なかったので、高校生の頃の自分に夢を見させてあげるつもりの写真でした。

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❷どうも自分には娼婦的なところがあるらしい。見せかけとか虚構とかそういったもので本来の自分を隠蔽するところに共感しているきらいがある。しかし、本来の自分を手繰り寄せてみると、そこには先天的なもので固められた自分であったはずの化け物のようななにかしか存在しないのだが…

 以上のように夢のような時間を楽しませてもらうことができた。自分には娼婦めいたところがあると言ったが、娼婦なのはシャルマンの方だったかもしれない。鏡張りの嘘みたいな部屋だったが、ひとつ引戸を引いてみれば伏見の殺伐とした風景が広がっていた。見える範囲の夢なのである。


 さて今回の反省点は、忘れ物が多かったところである。というか何が必要かどうか検討もつかなかった。次回必須だと思われるものをここに記したい。

❋延長コード

絶対いります。ラブホにはコンセントが少ないのでブッダマシーンを全部光らせようと思うと限界がある。

❋ミラーボール

絶対いるのに何故か忘れていた。

❋煙草

ラブホの灰皿とラブホのロゴ入りライターで是非一服したい。

❋ヘアアイロン

ヘアアイロンがあるラブホもあるとは思うのですが、シャルマンにはありませんでした。


 今回のラブホ会は割と二人で何をしようかとかいろいろ事前に相談していたつもりだったが、実際行ってみるともう興奮でなにもできない!なにもせず二人終始無言で部屋を眺めている時間としみじみ感想を言い合う時間が多かった。それはそれで全然かまわないのだが、やりたいことが山ほどあった。嬉しい困りごとである。

 今回訪れたホテルシャルマンはリニューアルオープンした訳だが、シャトーすがものようにアスベストなどの問題で取り壊しを余儀なくされている昭和ラブホも多い。昭和ラブホ巡りを踏みとどまっているくらいならむしろ1人でも当たって砕けろで行ってみるのが良いのではないか。



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