見出し画像

読書感想文 #26 『東ドイツ史』

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今朝は曇っていましたが、日中は晴れていいお天気でした。

昨日少しJogを軽くしたのですが、走っている最中と直後はなんでもなかったのですが、夜になったらぜんそくがかなり苦しくなったので、今日も外での運動は控えました。

今日はひさしぶりに本の感想文です。

東ドイツ史 1945-1990

ウリルヒ・メーラート著 伊豆田俊輔訳

目次

第1章 独裁への道15 第2章 一九五〇年代の東ドイツ64 第3章 壁の影での安定化110 第4章 ホーネッカー時代128 第5章 最後の一〇年間151 第6章 ドイツ統一への道のり192

第二次世界大戦の敗戦国ドイツが分断され、ソ連の影響下で社会主義国となり、ベルリンの壁ができ、最後は壁は崩壊し、統一されるという歴史について詳細に書かれています。

最初に驚かされたのが、略語一覧というページが冒頭にありました。

CDU,CSU,DBD,DDR,FDGB,FDJ,FDP,KPD,LDPD,NDPD,PDS,SED,SMAD,SPD

何だかわかりますか?

DDR はドイツ民主共和国(東ドイツ)

SED はドイツ社会主義統一党

といった感じで政党等の団体名や国名が文中で多くでてきます。

ホーネッカーという名前も久しぶりにみかけました。

本書の構成について訳者が書かれているものを抜粋します。

第1章の冒頭では、1949年の東ドイツ国家建設直前の状況がドイツ社会主義第一党(SED)の指導者たちとスターリンを中心に描かれる....

第2章は1950年代が対象である。本書では党内粛清と社会主義建設の宣言、スターリンの死、ソ連の急な路線変更、東ドイツ史上最大の民衆反乱である1953年の「6月17日事件」.....ウルプリヒトを中心にする統治構造が描かれている。

第3章は1960年代東ドイツ社会が記述されていている。特にベルリンの壁の構築後の社会の安定化.....教育制度、文化に焦点があてられている。

第4章は1971年のウリプリフトの解任からはじまる。新たに権力の座についたホーネッカーは、東ドイツの経済の実力を無視した福祉によって国民の支持をつなぎ留ようと試みつつ......反対意見をその芽のうちに摘み取ることを目指した。

第5章は80年代の東ドイツ社会と、1989年の「平和革命」が主題である。東ドイツの崩壊は、ソ連においてゴルバチョフが書記長に就任したことで始まる。.....こうして東ドイツは国家としての消滅へと進むことになった。

第6章ではベルリンの壁崩壊後からドイツ統一までが扱われている。....東ドイツは国家として消滅し.....実質的には「拡大西ドイツ」とも言える、新しい連邦共和国が1990年10月3日に誕生する。

戦勝国がドイツをどうするか話をし、ソ連が東欧諸国を束ね、東ドイツが国家になるものの、西ドイツも西側として建国されます。ベルリンが東ドイツになるのですが、西ベルリンというのがあり、そこだけ西ドイツになる為、自由な世界があり、東と西で往来があるのを壁を作り、シャットアウトするという、そして壁を乗り越えて西側へ逃亡する人は容赦なく射殺するという非情さがあります。東側では工業等で、割と優等生でありながら、徐々に経済が立ち行かなくなり、赤字が膨れ上がり、福祉も行き届かなくなり、市民の不満も増えていきます。ソ連にゴルバチョフが就任し、方針を変えるペレストロイカを打ち出し、アメリカ等西側に近づき、その影響を東ドイツも受け、市民のデモ活動が巨大化し、国外に出る者も増えて、ついにベルリンの壁が崩壊し、その後も勢いが止まらず、最後は西ドイツの連邦に加わるという形で消滅するという歴史が描かれていました。

テレビのドキュメンタリー番組等で、特に80年代の最後は観たりしてイメージはありましたが、どのように建国に至ったのかとか、そのあたりは知らなかったので、非常に面白いです。

東西ドイツの統一に対してよく比較されるのが南北朝鮮ですが、ソ連自体も1991年に崩壊するという状況であったこと等、タイミングが非常に良かったのと、北朝鮮の金総書記のような世襲の絶対君主がいないことも幸いだったのかもしれません。

本書には残念ながら記載がありませんでしたが、ソ連と東ドイツのスポーツの取り組みも興味があり、なぜいまだに残る陸上競技の世界記録を出す選手がいたのかというのも今後知ることができたらいいなと思います。

45年のみ存在した幻の国の歴史については、あまり日本の教科書には記載がないので、こういった書物がいろいろとでてくると、日本の一般の人たちにも伝わって良いと思います。



それではまた。


この記事が参加している募集

#スキしてみて

527,285件

#読書感想文

189,568件

よろしければサポートをお願いいたします!!! 費用は活動費に充てさせていただきます。