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読書感想文 #35 『肩をすくめるアトラス 第一部 矛盾律』

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日は晴れていいお天気でしたが、かなり寒く12月らしい冬のような1日となりました。

今回は下記の本の感想です。

肩をすくめるアトラス 第一部 矛盾律 
アイン・ランド著 脇坂あゆみ訳

目次

第一章 主題 6 第二章 鎖 46 第三章 頂上と底辺 72 第四章不動の起動者 104  第五章 ダンゴニア家の頂点 144 第六章 非商業的 205  第七章 搾取者と被搾取者 262 第八章 ジョン・ゴールド線 353 第九章  聖人と俗物 410 第十章 ワイアットのトーチ 476


まず、この本は日本ではほとんど無名ですがアメリカでは超有名で、「聖書の次にアメリカ人が最も大きな影響を受けた本」と呼ばれているそうで、特にアメリカの富裕層のほとんど、例えばビルゲイツ氏らが読んでいる本なのだそうです。

著者のアイン・ランド氏は女性でソ連からアメリカに移住した作家で、この作品は高評価もされるが、大ブーイングも多くあり、以降SF小説を書かなくなったのだとか。

文庫化され3部になっているうちの1部目ですが、548ページあり、余白も少なく文字数もぎっしりの本になっていて、大きな書店にも置いてなく、取り寄せて購入しました。

1957年の作品ですが、物語の舞台は1920年代のアメリカで、翻訳されて日本で発売されたのは2014年とかなり新しいものとなっています。


あらすじ

タッガート大陸横断鉄道の副社長ダグニーは、政治的駆け引きに明け暮れる社長で兄のジムと対立しながら鉄道を経営している。成長著しいコロラドの路線の再建のため、彼女は起業家のリアーデンが十年をかけて開発した画期的なメタルを採用し、新線を完成させる。だが企業活動を阻む規制が強まるなか、実業家たちが次々と姿を消していく。


感想

第二部、第三部はまだ読んでおらず、どんな内容かわからないですが、一言でいいますと、舞台を日本に書き改めれば、ドラマ化して日曜劇場で放送すれば、大ヒットするのではないかと読んでいて思いました。

多くの登場人物と、政治の動きによる葛藤が描かれていて、重みがあり、深みもあるので、本で読むのもいいですが、ドラマにしても非常に面白いものだと思います。


印象に残った箇所を2点ほどご紹介

一つ目は、作中何度も「ジョン・ゴールドって誰?」というセリフがでてきますが、中盤に解答がでてきます。

アトランティスの伝説 何千年前にギリシャ人が呼んだ英雄たちが暮らす場所。それを計り知れない億万長者のジョン・ゴールドが見つけた。ヨットで大西洋の真ん中を航海して史上最悪の嵐と闘いながら、海底で輝くアトランティスの塔を見た。あまりに麗しい光景で一度見ると地上のものを見たくなるほどで、ジョン・ゴールドが船を沈めてひとり残して全員死んだ。

ニューヨークのロックフェラー・センターにはアトラス像あり、代表的なGEビルのエントランスには巨大な絵画があり、巨人のアトラスが大木を支え、周りが小さな人々が囲んでいる絵で、アトラスを大富豪で、人々が一般市民を意味するのだとか。そのアトラスがアトランティスなのか、ジョン・ゴールドなのかはよくわかりませんが、アメリカの資本主義の全盛期の構図だったのでしょう。アメリカの大富豪は多くが多額の寄付をするのもこういう精神があるのだとか。


2つ目は、後半にジェームズ・タッガードがある晩に安物雑貨店でティッシュを買おうとしたところ、彼のジョン・ゴールド線の一面新聞記事を読んだ店員の娘シェリル・ブルックスに存在を気づかれ、スターに遭ったような対応をするも、純朴さに惹かれ、一緒に酒を飲みにいき、事業に関する話をして満足感を覚え、憎らしい連中に復讐できたような喜びを覚えたという、エリートの憂鬱の表現も印象的でした。


アメリカの大富豪の人達が読んでいる理由は、おそらく事業をして巨大化するにあたり、政府、メディア、従業員や一般市民から様々な妨害や嫉妬、恨みなどをうけるというのが、このストーリーでわかるので、理解して気をつけようという気持ちになるのではないかと思います。


それではまた。


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