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読書感想文 #46 『現代フランス社会を知るための62章』

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日は天気が昨日とはうって変わって、パッとしない一日でした。

下記の本の感想文になります。

現代フランス社会を知るための62章
三浦信孝 西山教之 編著

概要

今もEUの中心国として、英米とは一線を画しつつ、独自の存在感を放つフランス。グローバリゼーションの潮流の中でどこに向かおうとしているのか。現代フランスの政治、社会、文化を62のキーワードから読み解く。

目次


Ⅰ社会19 Ⅱ教育・文化・スポーツ93 Ⅲ経済・産業157 Ⅳ法・法律219 Ⅴ政治と外交273

感想


62のキーワードを36人の研究者が分担執筆している本であり、ストーリーよりも辞書を読んでいるかのような印象があります。
好きな分野はサクサク読めるけれど、そうでないところは忍耐力がいるかもしれません。

いくつかのキーワードをピックアップしてみます。

3 移民
フランスは移民を積極的に受け入れ,、2007年総人口6200万人のうち1500万人の出自がフランスでないとされる。19世紀以降、移民対策は「同化」のもとに実施されたが、80年代後半には多文化主義を背景にした「編入」、1990年代になって「統合」が主潮をなすに至った。

問題がおこるたびに様々な法律ができ、成熟していったようですね。その後高学歴留学生や芸術家、スポーツ選手などの受け入れが促進されているようです。サッカーのワールドカップのフランス代表選手は出自が様々で象徴的ともいえるでしょう。失業率の高さや、労働者の割合がブルーカラーが多いのは改善が難しいからなのでしょう。

23 文学
フランス語を「モリエールの言語」と呼称する。この背景には言語の精華はすぐれた文学なのであり、同時にすぐれた文学こそが、その表現のために用いられる言語を耕すのだという考え方がある。文学賞の選考が行われる秋には毎年膨大な数の新刊小説が刊行されるし、中堅作家の本の売れ行きは、日本の出版界における同格の作家の本のそれを確実に上回る。世界の古典や名作はほとんどすべて文庫本の叢書に入っていて、品切れになることがない。また、フランス各地の町や村ではしばしば文学フェスティバルが催され、それがそのまま町おこし、村おこしになっている。

言語に対する考え方も尊厳があり、文学の本場というか、想像がつかないほど盛んだということがよくわかります。フランスではいまだに電子書籍よりも紙のほうが人気があるらしく、理由としては、紙のにおいやぬくもりが好きなのだとか。ノーベル文学賞の受賞者数世界最多を誇るのもよくわかります。

39 憲法
1958年に制定された現行の第五共和国憲法典には人権規定が存在しないが、その前文で1946年第四共和国憲法典前文、さらに1789年人権宣言で言及しており、結果的に先の憲法を満たすものとなっている。近年のフランスではかなり頻繁に憲法改正が行われている。1999年までの41年間で14回に対し、2000年までの8年間で実に10回である。その多くは統治機構の技術的なレベルに関わるもので、他の国ならば下位の法令あるいは政治レベルで決定されることが多い。

憲法が万全ではなく、第二次大戦後、さほど重要事項ではないとはいえ、20回以上も改正されているのは驚きです。日本は一度も改正していないですし、国会の議決プラス国民投票という二重の投票で改正のハードルが究極に高いようになってしまっているところから見ると、改正してはいけないものではないのだと思えます。時代の流れもありますので、明治憲法を都合のいいように利用して太平洋戦争で焦土化した苦い記憶もあるからといって、ガチガチすぎるのもどうかと思います。

とこのようにキーワードから、いろいろ気づいたり、考察できるという意味では興味深い本であり、シリーズになっているので、今後も他の国のも読んでいきたいと思います。

それではまた。




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