読書感想文 #51 『下町ロケット』
みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
今日は土曜日ですが、1日雨で外にはクリーニングと日用品の買い物だけいきました。
今回は下記の感想です。
下町ロケット
池井戸 潤 著
第145回直木賞受賞作
概要
目次
感想
後にシリーズ化される第一作で、続編は阿部寛主演でテレビドラマ化されて大人気の作品ですが、本もドラマも観ておらず、今回が初めてでした。ちょうど出張に先日行った際に移動の飛行機の中で退屈することなく、どんどん読むことができました。
まず”下町ロケット”というタイトルが絶妙で、一度聞くと頭に残るし、舞台となる佃製作所がある東京都大田区は昔からの製造業の町工場などたくさんあり、その会社がロケットの部品を作る話というのが、イメージしやすく、ストーリーも大企業との戦いとなるので、受け入れやすい話になっています。
主人公の佃航平は宇宙研究者から打ち上げ失敗して、父の会社を引継ぎますが、大口の取引先の京浜マシナリーから取引終了されたり、競合のナカシマ工業から特許侵害で訴訟を受けたり、会社存亡の危機に陥ります。それに対するメインバンクである白水銀行の冷たい態度で資金繰りの苦労もあり、それらを社員や元妻の紹介の敏腕弁護士など協力を受けて、裁判も和解し、一方で取得した特許を買い取りたいと宇宙事業をしている超大手の帝国重工とのやりとりは大手VS中小という構図になっています。
佃製作所の中でも社長に賛同するものもいれば、反対する者もいて一枚岩になれない葛藤も組織にあるリアルで、帝国重工も佃製作所の世界トップ技術を認める者もいて、必ずしも一方が正義でもう一方が悪というものでもないとなっています。
日本企業の組織のあり方や人間関係、登場人物の家族や元同僚と世界が広がっていくので、人間模様もとても面白いです。
先日、人工衛星の打ち上げに失敗した日本ですが、この小説に出てくる”佃プライド”という言葉の元に帝国重工のサプライヤーになる努力をする社員たちの精神を持って、再び打ち上げを試みて今度こそ成功して欲しいと思いました。
それでは また。
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