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ただ座る~読書記録337~

2012年 元キリスト教徒で曹洞宗僧侶のネルケ無方氏の著書。

何の役にも立たないからこそ、坐禅は重要。
多くの悩みやストレスを抱える現代人は、常に思考を巡らせていて“頭でっかち”になっています。正解を追い求めることをやめ、坐禅という「考えない時間」をつくることで、一日の内容は確実に違い、そして人生そのものも変わってきます。
日本とは異なる文化圏出身の禅僧だからこそ見える仏教の意義を改めて確認し、今日から坐禅の旅へいざ出発!

ネルケ無方(ねるけむほう)
一九六八年ドイツ・ベルリン生まれ。一六歳で出会った坐禅に衝撃を受け、逆境に陥りながらもひたすら仏教の道を進む。九三年、兵庫県の日本海側の山中にある安泰寺で出家。京都や福井の禅寺での修行や、大阪城公園ではホームレスをしながら一般人向けに“辻説法”を行うなど苦行の日々を送る。二〇〇二年、師匠の突然の訃報を受け、急きょ安泰寺住職になり現在に至る。安泰寺は檀家を持たず、自給自足の生活を行っている。また、国内だけでなく世界からも参禅者が集い、仏教を通じた異文化交流を実践している。著書は、『迷える者の禅修行』(新潮新書)、『裸の坊様』(サンガ新書)。


「私たちはいつかは必ず死ぬ。この事実を直視すれば。何かを失ってしまうのではないかと不安になることはありません。私たちには最初から失うものなど何もなかったのです。自分の心に忠実に生きてはならない理由はありません。皆さんの時間は限られています。他人の人生を生きる事に時間を費やしてはなりません。他人の考えに縛られて生きてはならないのです」
ースティーブ・ジョブズー

このジョブズの考え方は禅の精神とよく似ている。それもそのはず。ジョブズは友野弘文(ちのこうぶん)老師という、アメリカで布教していた日本人の禅僧に師事していたのであった。
欧米では、禅に傾倒するフロントランナーがかなりいる。

この事は、本書で初めて知った。そうなのか。

現代日本人は忙しい事が良い事のように見られている。
スケジュール帳がいっぱいの学生に社会人。
何しろ、女性も、育児して、家事をして、仕事も税金を夫と同じくらいに納める働きをなんて求められる昨今。

本当にそれで良いのか。一度、ゆっくりと何もしないで考えた方がいいのかもしれないと思う書であった。

ただ、禅についての解説、正しい姿勢や心がまえなどは、本やYou tubeなどで知るよりも実際に座禅会を開いているお寺に行き、教えてもらったほうがいいと思うのが私個人の意見だ。
姿勢が間違っている、とかは独りでやっていたらわからないと思うのだ。

巻末に座禅が出来るお寺が紹介されていたが、永平寺や円覚寺などに行かずとも、近所の禅宗系の小さな寺でも座禅会があるかと思う。
イヤイヤ。やって頂きたい。葬式仏教のみに徹するのではなく、生きている人の為に、と思うのであった。

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