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私がしたことは殺人ですか?~読書記録72~

1998年、入院していた患者を殺意を持って死なせた、と殺人罪と裁判でも断定された須田先生による著書。
医療関係者と司法との考え方の違いを広く訴えておられる。

最高裁上告に臨むに当たり、矢澤弁護士がかなりの覚悟で、地裁、高裁の違法性を訴えたのだが、最高裁でも棄却されてしまっている。


医療の発達により、人工呼吸器など、人工的な延命が可能になってきた。それにより、植物状態でずっと生きておられる方は多い。
けれども、それは果たして、全ての人間によい事なのだろうか?
個人(家族)の経済的な事情もあり、国の医療費増大にもつながる。
須田先生が言われるように、簡単に「白か黒」、全てのケースに当てはまるものではなく、その時、その個人らのケースがあるのではないだろうか。
以前は、「何もしないで自然に任せて」と言った人が、「まだ生きたい」などと言うなど、同じ人が違う事を言うのを責められないのではないだろうか。

マスコミによる報道にも、第三者である私たちは、信じ込む、という事をしてはならないな、と思わされた。
患者の遺族、須田先生への取材はなしで、保身目的の病院、有罪に持ち込みたい警察から聞いた情報しか報道されていなかったのだ。
病院側は、須田医師1人に罪を押し付けたい。それによって、患者遺族への補償を医療保険から取れる。又、遺族側も、補償金が欲しいからか、掌を返したような証言。これをされたら、怖くて医療を続けられない医師は多くなるのではないか?須田先生は本当に強いなと思った。

今後、日本では超高齢化社会となる。健康で介護の必要がない高齢者ばかりではない。多くは寝たきりで、病気によるものではなく、「老化」という、病名がつかないものが多い。胃ろうなどもあるし、認知症の状態で寝たきりの方も増えていく。
このような社会になっていくのに、日本の司法制度は、余にも立ち遅れているのではないか?

私は、患者の事を考えてくれる、須田先生のような先生に世話になりたい、と個人的に思った。

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