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ミスってなんだろう?

揚げ足を取られたり、隙を見せたら炎上するなど、「ミスは許されない」風潮が世の中を席巻してますが、個人的にはあんまりしっくり来ていません。とかいうと炎上しそうですが。
だって「誰もミスしたくてしてるわけじゃない」のに、「ミスをしないぞという志が大事」みたいなこと言われても、100%全方位にミスしないよう注意を払うのは限界があるというもの。

と言っていても仕方ないので、ミスってなんだろう?と改めて考えてみました。

「この人がああ言っていた」という論調は、自分を偉く見せたがる人がよく使う手なので大嫌いですが、それも承知で、私は青山学院大学陸上部の原監督のこの解釈が腑に落ちたので紹介します。
https://mainichi.jp/articles/20240212/spp/000/006/089000c

ミスには3パターンあるという主張です。

  1. シンプルミス:横着、勉強不足、準備不足で起こり、防ぐことができる

  2. システムミス:メカニズムの影響による失敗、目標設定の誤りで起こる

  3. チャレンジミス:チャレンジなので当然起きる。原因を把握して褒める

シンプルミスは、誰しもやらかすうっかり系。基本的に準備不足が原因なので「ミスをしない志が大事」という主張は一理ある気はします。ただ、こういうのも今や「気合で乗り切る」系ではなくて、技術(エラーチェッカーとか検算とか)や組織(Wチェックとか)でカバーできるものだと思います。

システムミスは、主にマネージャーや品質をチェックする側に責任があるもの。仕組みに問題があるのだから、「再発防止策」の考えどころはこういうミスであると思っていて、対話も必要だし、なんなら誰のミスということはさておき、原因を正確に追及して分析することが重要なものだと思います。

チャレンジミスは「誰もやったことないから」起きるのであって、本質的にはみんなどんどん起こすべきもの。でも「ミスを許すな」と言われると、人はこのミスから起こさなくなると思います。チャレンジしなければ起きないミスなので、一番簡単に制御できるから。でもそれじゃ成長できませんよね。

で、巷で言われる「ミスを起こさないための策」って1.シンプルミスを防ぐためだけになってないかな?と思うんです。
例えば、手順を守る、違和感に気づく、余裕を持つ。どれもシンプルミスの防止策。だから私はしっくり来てないんじゃないかなと思ってます。

そして1.のミスって、再発防止策は基本的に「これからはちゃんとします」なんですよね。それを長文で丁寧に報告する意味は余りない。説明じゃなく行動で示すべきもの。
2.のミスを防ぐためには、シンプルやスピードを時には捨てなきゃいけないと思うんです。時間をかけて、みんなが納得して改善しないと、穴を塞いでもミスは別のところでいずれ起きる。こういうミスはマネージャーが本腰を入れてちゃんとフォローしていかないといけない。文章にして、知見を蓄積していくべきもの。
そして3.のミスは、「防ごうと思わせない」ことが大切。こういうミスは、起きた後のフォローで回収できていれば、殊更にミスとして取り扱うべきものではないと思います。

さらに言えば、人はミスして誰かから怒られたり注意された時、全部シンプルミスだと受け止めがちじゃないかと思うんです。
「自分が悪い」という反省は一見謙虚な対応で、シンプルミスには効果があるかもしれませんが、システムミスに対しては問題の原因を矮小化させるだけだし、チャレンジミスに対しては意欲の妨げにしかならない。
だから、注意する側も、注意される側も「このミスはどれなのか」を考えながら受け止めないといけないですよね。
感情的に怒ったり注意する人は、相手に「私のシンプルミスだったんだ」と思いこませてしまう影響を深刻に考えないといけない。
あと、指導する人って原因は「シンプルミス」だと思い込みがちな気もします。シンプルミスが重なってる時は、そこには根本的な「システムミス」が絶対ある。そのシステムミスを把握するためには感情的になったり思考停止や諦めた態度になってはいけない。

ということで、いっぱしの組織でマネージャー職を営む私としては、

・まず、どのタイプのミスなのかを立ち止まって考える。
→シンプルミスに思えるけど、実はシステムミスやチャレンジミスだったとしたら、指導は悪手。選択を誤るとミスの拡大・放置・萎縮にしかならない

・シンプルミスは、2回目を起こさないように気をつけるもの

→技術でカバーできる方策はないか考える。気合で対策という選択はしない

・システムミスは、めちゃくちゃ頭を使ってフォローするもの
→他人ごとにせず、とことん向き合う。抜本的なところから再発防止を考えて、解決に時間がかかることを覚悟する

・チャレンジミスは、委縮させてはいけないもの
→チャレンジするときは「ミス防止」ということは一旦忘れる。周りにも「最後は私が責任取るからチャレンジして」という空気をつくることが大事

 みたいなことが重要なんじゃないかなと思いました。偉そうなこと言って、あんまりできてないけど。
ということで愚痴かボヤキかよくわかりませんけど、最近思ったことをつらつらと書いてみました。あー、とりあえず誰からも怒られたくないですね。そして、すぐに自分を責めることは、すぐに他人のせいにすることと同じくらいミスの本質を見失う可能性があることに気をつけようと思います。

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