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ここにあったはずのシェイクスピア「ロミオとジュリエット」

今、作品を作っています。カクシンハンPOCKETシリーズ。

ここにあったはずのシェイクスピア。

「カクシンハンPOCKETシリーズとは何でしょうか?」
以前、インタビューで質問された時にこう答えました。

「本公演とPOCKET公演の違いは長編小説と短編小説の違いと同じです。POCKET公演は、作品の切り口、コンセプトを明確にして、シェイクスピアの戯曲の構成をコンセプトに応じて大胆に変えて、演劇的実験精神のもとに上演しようという試みです。
職人全員がボトムと呼ばれる夢の住人たちの噂話の『夏の夜の夢』。
脳の皮膜のベールに包まれた電子レンジの中の幻想的な『冬物語』。
馬たちが馬鹿な男を調教して最後には射殺する『じゃじゃ馬ならし』。云々。」

長編小説とは、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』やメルヴィルの『白鯨』や村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』や大江健三郎さんの『万延元年のフットボール』、そして村上春樹さんの『1Q84』みたいな大きな作品です。ちなみに今、僕が読んでいる長編小説は、マーロン ジェイムズ『七つの殺人に関する簡潔な記録』。これらは、本の中からあぶり出されてくる人間関係と小説の中の描写の積み重ねが途方もなく、もう一つ地球が生まれてしまったかのような、あたかもそこにもう一つの世界を作っている。そんな強烈な読書体験を残します。

短編小説は、切り口そのものやアイディアを手軽に楽しめる作品です。
ジェムズ・ジョイス『ダブリナーズ』、エドガー・アラン・ポー『アッシャー家の崩壊』、ボルヘス『伝奇集』、芥川龍之介の作品群、梶井基次郎『檸檬』、村上春樹やチェーホフの短編小説・・・。あげたらきりがありません。最近読んで僕が気に入ったのは、マヌエル・ゴンザレス『ミニチュアの妻』です。これらの短編小説は、コンセプトがはっきりしていて、短いけれど、それゆえに完成されていて、ずっと遊べる「自由な、おもしろい視点」をプレゼントしてくれます。

長編小説と短編小説では、同じ題材でもその描き方とテーマが大きく異なってきます。POCKET公演は、短編小説の方法でシェイクスピアを楽しもうという試みです。

今作っているのは、二人の少年の「ロミオとジュリエット」です。さて、どんなシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」になるのか。二人というのは、お芝居において特殊な意味を持ちます。明日も稽古です。創作の旅はまだ始まったばかりです。ぜひ劇場まで遊びにきてください。五日間限定ですが、東京公演もできそうです。詳細決まりましたらお知らせいたします!

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カクシンハン POCKET10
木村龍之介×オペラ歌手 大山大輔
ここにあったはずのシェイクスピア2019
『ロミオとジュリエット in Oita』
作:シェイクスピア
構成:カクシンハン
演出:木村龍之介

2人の少年、ロミオとジュリエット。2人の魂が、生きているうちに心の底から話をすることは可能だろうか?

出演者:岩崎MARK雄大、渡部哲成、吉沢ともえ (以上カクシンハン)、大山大輔

日時: 9月28日(土)16:00 9月29日(日)11:00 15:00

場所:わらべの館 (大分県玖珠町)

童話の里、大分県玖珠町で、お年寄りから子どもまで楽しめる『ロミオとジュリエット』 をお届けします!

チケット 小中高生500円、一般1500円、65才以上1000円 (予約不要)


カクシンハンスタジオ二期生も若干名追加募集しております。
奮ってご応募ください!詳細はこちら


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