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映画「ミッドサマー」とシェイクスピアの「ミッドサマー・ナイツ・ドリーム(夏の夜の夢)」

映画「ミッドサマー」は、言うまでもなくシェイクスピアの「夏の夜の夢」(ア・ミッドサマー・ナイツ・ドリーム)の現代版だ。テイストは全く違うけどね。

スウェーデンの森の中へはじめて行くのは、四人の学生。彼らと彼女は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」に出てくる4人の若者だ。そこに案内役の学生が一人プラスされて、さながら彼はパックというところかな。森の中に住むコミュニティの住人たちが妖精。夏至祭で、動物になったりするし、花のベットでセックスもしちゃうし、恋の浮気草も飲み物に入ってるし、最後にはヘレナの勝利・・・。説明不要なくらい映画「ミッドサマー」はシェイクスピアの「夏の夜の夢」だ。

でも後味は全く違う!僕はスプラッターは見てらんないから、映画の「ミッドサマー」はちょっとウエって感じ。実際、目を閉じてたシーンもあるしね。音楽の煽りで「そろそろエグいの来るぞー!」ってわかるから、タイミング良く視界の70%くらいを手のひらで隠すんですよね。少しでも赤いのが見えたら、目を閉じる!そして、終わったかなと思ったら薄目でゆっくりスクリーンを確認して…ホッと一安心。そう思ったら「また来るぞー!」って・・・その繰り返し。おいおい、ぼく、どんだけホラー映画苦手なんだ!

さて、肝心な内容はというと、評論家も好きそうな作品で、テーマも深く考えちゃう”べき”こといっぱいあるし、演出には美学があって、”また見たくはないけど、見てよかった映画” だった。あれもそうだったな、なんて名前だっけな、監督がミヒャエル・ハネケで・・・。あ、そうそう「ファニーゲーム」!

僕は、スプラッターは文学だと大丈夫なんだけど、映像になるとダメなんだな、こりゃ。村上春樹の小説の”皮剥ぎボリス”とか”ジョニーウォーカー”の場面に、身体的に辛い描写がヒョイと出てくるでしょ? あれがギリギリ。(ノンフィクションだけど、森村誠一の『悪魔の飽食』を赤十字病院に入院しながら高校生の時に読んだのはね、あれはね、ちょっと辛かったな。手術の前日に読んじゃってさ、「なんてこった!」だったな。もちろんスプラッターとは別の辛さだけどさ。)

それはさておき、シェイクスピアの「夏の夜の夢」は、映画「ミッドサマー」と違って面白く何度も味わえる。ファンタジーっぽくて楽しいイメージの「夏の夜の夢」。そういうハッピーオーラがこの作品の醍醐味。言葉のきらびやかなイメージ。職人たちの大衆的なユーモア。パックの取り違えが引き起こすドタバタ劇。妖精界のミステリアスな華やかさに、最後のバーレスクからの大団円!その上、言葉で観客を祝福する(=寿ぐ)から、それはやっぱり幸せだよね!

でも、ハッピーなだけじゃなくて、「夏の夜の夢」には「夢」が持つ不思議な側面がたくさん散りばめられていて、甘い夢もあれば、もちろん悪夢だってある。妖精パックの起源は悪魔だし、カーニヴァレスクな世界が広がる。アナーキーなエロスが闊歩し、何層もの深層心理が同時に存在したりする。(あ、そういう意味では、キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」もシェイクスピアの「夏の夜の夢」の現代版だよね。)

今、僕は、5月に紀伊國屋サザンシアターで発表する「ナツノヨノ夢」で、大きな挑戦をしようと準備している。どんな挑戦かって?それはまだ言えないけど、スプラッターなシーンとかはもちろん無いよ。(そもそも戯曲にそんなシーンはないし、僕は前述の通り苦手だ。)

挑戦というのは、シェイクスピアの「夏の夜の夢」の面白さを存分に詰め込んで、お届けするということ。その面白さはハッピーもあれば、ちょっとダークな部分もある。

そして、「ナツノヨノ夢」は400年前のイギリスの話ではなくて、2020年を生きる僕たちの物語でもある。

シェイクスピアが好きな人にはシェイクスピアの面白さの広がりをお届けしたい。「シェイクスピア?何それ?難しそー!」という人には、予習なしで、面白いもの観たいなって気持ちで来てもらって大丈夫です。難しくないからね、(僕らの)シェイクスピアは。人間の面白さがギュッと詰まったエンタメが、シェイクスピアだから。

ヒューマン・アンダースタンディング(人間理解)が、ググッと深まるからついつい劇場に足を運んできたんですよね、人類は。

ご興味ありましたら、下記サイトを覗いてみてくださいね。

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あ!

言い忘れてましたが、映画「ミッドサマー」を見た人は、是非シェイクスピアの「夏の夜の夢」を読んでみてください。二倍も三倍も映画を楽しめると思います。劇場で観てみたいなと思ったら、5月にサザンシアターで会いましょう!

カクシンハン第14回公演
『ナツノヨノ夢』
A “Mad”summer Night’s Dream

演出:木村龍之介 Ryunosuke Kimura
翻訳:松岡和子 Kazuko Matsuoka
作:シェイクスピア Shakespeare

2020年5月14日(木)~17日(日)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

「ナツノヨノ夢」特別先行チケット
2020年2月22日(土) よりお得な先行チケット販売中!!
予約フォームはこちらとなります。
ご興味ありましたら、ぜひご予約してみてください。
↓ ↓ ↓
https://ticket.corich.jp/apply/106271/ 

(24時間受付)

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<お問い合わせ>
メール:office@kakushinhan.org 
電話:080-4118-1564(カクシンハン 制作)12:00~18:00


カクシンハン・スタジオ(演劇研修所)
2020.4 第3期スタート!

シェイクスピアにふれてみたい。
演劇を学びたい。
舞台をつくりたい。
圧倒的な俳優になりたい。

【第3期生募集】
2月16日(日) – 3月10日(火) 必着
カクシンハン主宰・演出家の木村龍之介をはじめ、カクシンハンの俳優および現役で活躍する講師陣が教える、俳優・アーティストのための実践的な育成・研修機関です。

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