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ひきこもり経験者の方を含む働き手みんなが経営にも参加する!ワーカーズコープ(協同労働)とは?

ひきこもり当事者、家族、支援者の思いをみんなに伝えるラジオ【ひきこもりVOICE STATION】♯8、ラジオ音声を全文書き起こしました。

ワーカーズコープ(協同労働)って何?ひきこもり経験者や生きづらさを抱えた人たちが、安定した仕事につけるその組織とは?構成担当山田英治(社会の広告社)が、ひきこもり経験者であり、現在はマネージングの立場で仕事に関わる岩佐哲也さんと、ひきこもり経験があり、身体に障がいをお持ちの斉藤千恵さんにお話を伺いました。

※音声で聴きたい方は、コチから!

パーソナリティ:高橋みなみ                      ゲスト:ワーカーズコープ連合会東葛地域福祉事業所 副所長 岩佐哲也さん、  斉藤千恵さん                            取材構成:山田英治(社会の広告社)

高橋みなみさん「ひきこもりボイスステーション。パーソナリティの高橋みなみです。今回お話をうかがったのはワーカーズコープ連合会東葛地域福祉事業所 副所長の岩佐哲也さんです。ワーカーズコープは働く人々や市民がみんなで出資して経営にみんなで参加し、民主的に事業を運営し責任を分かち合って人と地域に役立つ仕事を自分たちでつくる協同組合なんです。ここでは、生きづらさを抱えたひきこもり当事者や障がいを持つ方々などが、自分たちのペースで自分たちの意思を反映した形で働けるということで、今、社会参加の一つの形として注目されています。そしてお話をうかがいました岩佐さん自身も、不登校、うつ病などで断続的にひきこもりを経験されてきましたが、現在はワーカーズコープで清掃業務などのマネージメントをされています。ここに至るまでのお話をうかがいしました。聞き手は構成担当、社会の広告社の山田英治さんです」

断続的なひきこもり状態からサポステに参加。そこで紹介されたワーカーズ(協同労働)に出会った

岩佐さん「岩佐哲也といいます。42歳で、ワーカーズコープ連合会センター事業団東葛地域福祉事業所の副所長をやらしていただいています。私自身(の仕事)は主に清掃ですが、東葛病院の清掃や設備、あとはリネンや電話交換、病院からちょっと離れたところでお弁当を作る配食などが業務としてありますね。もともと、子供の頃とか、不登校だったり結構長く休んでいたり、中学、高校も休みがちだったんですけど、大人になって仕事に就いてから、ちょっとうつ病になっちゃったりとかして、病院にも結構長く通ってという感じです。その頃多分、本などを読むと、アダルトチルドレンやひきこもりというような言葉が出てきたと思うんですが、自分は、生きづらいっていう言葉が出てきた時には正にこれだなと。そういう意味では、もう42歳ですが、生きづらいなーと思って、人間関係とかあまりうまくいかなかったり、今では少し慣れましたけれど、どうしても人の顔色を気にしちゃったりして、ずっと生きてきた感じですかね。山あり谷ありじゃないんですけど。病院に行っていたのが長かったので、正社員とか正職員につくというのは、もう怖くてというか。多分多くの若者が、みんなではないですけど、不安があったり、怖いなぁという声も実際に僕も聞きますし。怖いなぁと思いながら働いていたり、実際、怖い思いもしてたりとかしていたんですね。病院にある程度通いつつ、良くなっていくと同時に、アルバイトとか非正規でちょっと働いて体の調子が整ってきたみたいな(感じです)。それから、その途中でサポステと出会ったみたいな」

山田「リスナーの方はサポステを知らない方もいらっしゃいます。どういう場所なんですか」

岩佐さん「ちょっと働くのが怖かったり、もしくは長く続けられなかったりした時に、いろいろな相談に乗ってくれると思うんですよね。本当に、ただただひたすらネガティブな愚痴を話して聞いてくれるだけでも、なかなかそういうのはないと思うので、聞いてくれたり、あとは、グループワークみたいなのをやって、心をほぐすじゃないんですけど、僕が利用してた時は、レクリエーション的なこともできたんで、公園でちょっと体をほぐすみたいなことがあったり、ちょっと歩いていくというようなこともあったので、本当に、そこがなかったら結構厳しかったんじゃないかなと思いますね。本当に調子悪かったときは、家にずっといましたし、怖い、怖いで。それこそ死にたいって思う、本当に(状態が)悪いと思っていましたので、まあ徐々にでも、顔色を気にしながら生きてたかなーっていうのは、思いますね」

山田「それがサポステに行くことで、どう変化したんですか」

岩佐さん「本当にいろいろな話ができる人や仲間が増えたなっていうことと、自分だけじゃなかった、みんな大変なんだなーと。あとは、ここの仲間、サポステの利用者は、自分も含め、世の中や社会との関係で苦しんでいるので、本人のせいだけじゃないよということが話せる仲間とか、ちょっと食事に行く仲間とか、ちょっと一緒に遊べる仲間が出来ただけでも、相当心の支えになったと思いますね」

山田「今の仕事への紹介は、そこでされたのですか」

岩佐さん「そうですね。体験や実習をサポステでやっていると思うのですが、その中でワーカーズコープのデイサービスがあるという話を聞いて、じゃあ行ってみますっていうことで、ワーカーズコープの方で体験させてもらって働くことになったという感じですね」

山田「ワーカーズコープってどういうところですか?」

岩佐さん「はい。助け合いと言うか相互扶助と言うか、みんなが働いて、出資もするんですね。出資もして経営とかに参加して、皆で話し合って物事を決めていくんです。生協や農協の協同組合の一種で、助け合いとか相互扶助の形を取ってる働き方ですね。もちろん事業をやっているので、一定の利益は必要なんですけど、どんどん稼げっていうより、とにかくみんなでやっていくことや支えあってやっていくこと(を目的としています)。一緒の仲間も、僕のように当事者や元当事者だったり、今でも多くのいろいろな人達が、困難を抱えたりしている人たちも多く働いていますが、助け合いながら前に進んでいるっていう感じですかね」

山田「みんなが労働者で、みんなが投資しているというと、自分たちが資本家や経営側にいて、生きづらさを抱えた人たちが働きやすいように、自分たちで仕組みを考えて自分たちでやりくりしながらなので、やりやすいということですか」

岩佐さん「そうですね。実際に、僕が例えば、支援機関のサポステなどから、体験や実習で、この人職場を探してるんですけどって(話が)きた時に、通常は、所長さんが採用するかしないか決めると思うんですけど、(ワーカーズコープでは)仲間たちでどうするかを決めます。こんな困難を抱えているんだけど(というケースもあるんですが)、みんないろいろな経験があるので、じゃこんな配置でどうかな?とか、その辺の採用のところを一緒に考えられるというか、それが大きいかなと。みんな採用を決められるとしても、いいよじゃなくて、じゃその人と一緒にやっていくためにどうしようかと考えていく感じですかね」

山田「みんなが組合員で、上司部下という感じよりは、みんながワイワイやりながら話しながらすすめていくって感じですかね。どんな仲間たちがいるんですか」

岩佐さん「もちろんずっとやっている60代や70代の大先輩もいますし、普通に求人で入られる方もいますし、後は、僕らみたいにサポステから紹介されて、体験や実習を経て入ってきたっていう、主に30代、40代ですかね。相当若者が増えていますね。清掃の仕事で支援機関から紹介されて、長く20年間ぐらいひきこもっていた方が来て、まず統括までくるときに、自転車で何回もトレーニングとして、体力や場所が大丈夫かなって自転車で来ていました。最初に清掃の前に、マスクの自販機があるんですね。そこで、鍵を開けてマスクを補充するという仕事を、1日30分間の週2日から始めて、今は週4日で6時間ぐらい時間かけてとなったので、すごいなと。僕らもすごい、みんなすごいと言っているんですけど、やっぱり時間が大事だろうなあと思います」

山田「その方は、どのくらいひきこもられていたのですか」

岩佐さん「20年間くらいだと、確かおっしゃっていました」

山田「その方が1日30分ですか」

岩佐さん「30分の週2日から」

山田「そこに来るってことが、まず」

岩佐さん「すごいし、本当に支援機関の方など、みんな大変だったと思うんですよね。そのことが、もうすごいなぁと思うし、もちろん時間数や日数を増やすことが目的ではないんですけど、ここまで着実に、ちゃんと時間数とかをステップアップされたというのはすごいなぁって。みんなもすごく元気もらっていると思います、すごいと思うので。30分からやってみようというのは僕のアイデアではなく、誰かが言ってくれて、それいいねと、僕も嬉しかったし、じゃ、それやってみようとなって。僕らも実はその30分の業務というのは、それをやってもらって助かったりするので、そこから、みんなで大事なところじゃなくて、ちょっと隙間的なところから見つけています。いきなり清掃だったらハードル高かったりするので。そういうのは、その他にもいろいろなパターンがあるんですが、ワーカーズコープで皆で話し合って、こういう配置があるよ、こういう仕事があるんじゃないかって、皆で作っていった、考えていったというところも僕は好きなんですよね」

働くことが怖い人でも、自分の弱さをみんなで共有して働けるのがワーカーズのいいところ

山田「ワーカーズコープでの働き方をお勧めするとしたら、何をお勧めしますか」

岩佐さん「なかなか働くことは怖いと思うんです、多くの人は。僕もそうだったので。ワーカーズだから、もちろん完璧じゃないんですけど、一緒にやれることですかね。結構弱さを出して、面接の時とかいろんな面談で、自分の苦手なことや、これができない、これが苦手なんだよね、不安なんだよなぁということを、結構話せて、話し聞いてもらえるんじゃないかなと思います。それは多分、大きいことだと思いますよね。いいことだけアピールしなくちゃいけないって、面接の時に思われると思うんですけど、そういう話も出来るんじゃないかなと思いますよね。働くのがちょっとまだ不安だったら、サポステに行って相談して、体験とか実習とか見学で僕らのところを活用してもらえばいいのかなと。本当に、仲間で今までそういう形で来た人も多いので。サポステもワーカーズも活用してもらいたいですね。ぜひ入って欲しいですね」

山田「岩佐さんは、今組合員になってお仕事されていますけど、生活は相当安定しましたか」

岩佐さん「僕は、ずっともう非正規で終わると思っていたんですよ。非正規でずっとやっていくと思っていたので、非正規で本当に短時間でやっていたので、非正規でフルになったときも相当嬉しかったんですね。今は、その後、常勤になって副所長をやっているんですけど、ずっとワーカーズに入る前に本当に短い間、短い時間しか働けてなかったので、そこから比べると今の副所長とかでもそうなんですけど、僕は奇跡ですって言っているんですね。僕の中では奇跡でずっとやっているので、ここまで。役職とか関係ないんです。ただ、ここまで、自分の中でやれている、長く続けている、いられているということが奇跡だなぁと思っています」

山田「逆に、何か将来こうしたいなとかいろいろな夢が出てきたり、そのあたりの希望はどうなんでしょうか」

岩佐さん「僕がずっと思っているのは、やっぱり世の中や企業が、悪いわけじゃないんですけど、厳しいかなと思うので、そこのちょっとクッションになったり、通常の働き方じゃないところができたりということが成功したら、もっとどんどんワーカーズが増えていくと思いますし、きっと困難な人たちも一緒にやっていけると思います。それがもう僕の希望ですね」

高橋さん「みんなで経営して、みんなで支え合って、みんなで助け合って行くという、自分たちの働き方を自分たちで考えるってすごいですよね。なんかワーカーズコープという名前のおうちと言うか大きな家族なんじゃないかなと思いました。今、お話聞いていたらね、通常の働き方じゃないかもしれないけど、みたいな話ありましたけど、でも、こういう働き方があってもいいんじゃないかなって、お仕事の仕方をカスタムしていくというか。それぞれに合った形にするっていうのは何だろ、未来の働き方の形なのかもなぁと思いました。さぁ、岩佐さんにワーカーズコープで働く斉藤千恵さんという方をご紹介頂きました。斉藤さんはひきこもり経験者でもあり軟骨無形成症という障害をお持ちの方でもあります」

岩佐さん「今、一緒に働いてる仲間で、、僕と同じ元サポステの利用者で、今でもちょっとたまに利用している斉藤さんです。ちょっと、人がたくさんいるところだったり、男性がちょっと苦手だったりというところで、逆に最初から話せたんですけど、ちょっと不安があると。あと、実際にサポステから紹介されて、お話をうかがった時に低身長なので道具を使えるかなと。でも何とか働けないかなーというところで、当時の担当者の人とかみんなで、じゃあ道具を切っちゃえばと。長い道具を切っちゃって、足台用意すればいいじゃんっていうのが、あ、じゃそれでやってみようっていうところから始まっていったんですよね」

山田「あぁ、すごいですね。なるほど、斉藤さん、こんにちは」

斉藤さん「はい、こんにちは。斉藤千恵です。32歳です。清掃の仕事です。前はひきこもりでした。専門学校から出て、内定切りをされまして、そこから嫌になっちゃって、そこからひきこもり始めました。約8年か9年ぐらいです。外に出るのは大丈夫なんですけど、ただ仕事というと、なんかまだわかってなかったみたいで、家にいた方が楽しいというか。その間は、20後半に私の祖父が亡くなって、それでちょっと心が閉ざされた瞬間に、親のこともちょっと考え始めて、ちょっと就職をしないといけないかなって思いが強くなって、そこからちょっと仕事をやってみようっていう思いが強くなります。それで、サポステの担当から、今の東葛病院に行ってみない?という紹介がありました。やっぱり不安はありますね。人が多いし男がいるし、もう嫌だと思いましたね。一日体験で職場を見るところがあったんですが、見たら結構、先輩たちが優しい方が多くて、あ、私もやってみようっていう思いが入りました。最初は午後出勤。1時から3時まで働いて」

山田「2時間から。それで現在では?」

斉藤さん「現在は、8時5分から15時上がりと、9時から16時45分あがりと。週4日ですね。はい」

山田「今のお仕事、おもしろいというか」

斉藤さん「やっぱり、清掃をやって、患者さんとかから、ありがとうっていう言葉をいただいたり、看護婦さんからもお掃除ありがとうっていう言葉をいただいて、本当にやってよかったという思いが。はい」

岩佐さん「やっぱり今でも相談受けます。ただ、だいぶ男性にも人にも慣れていますし、今では、新しい人に教えたりとかサポートというか、支えられながら支えているみたいな、逆に教える立場になったりしてるので、そこら辺はもうすごいなぁと思いますね」

山田「なるほど。その障害があって自分ちゃんと働けるかって最初は思っていたわけですよね。だけどワーカーズに入って、その辺も全部お話をして、じゃあ、できることはないかって皆さんで話されたってことですよね。斉藤さん、それはどうでしたか」

斉藤さん「とっても嬉しかったです。いや、まさかと思って。受け入れてくれると思ってなかったので」

山田「先ほどなんか、掃除の道具を全部切っちゃえって」

岩佐さん「短くしちゃえと、足台用意しようよっていうのがまだまだ足りてない部分あるんですよ。そこから、その発想が僕も、あ、それいいなーと思って、そう言ってくれた人も嬉しかった。ここだったら、そういう発想が出るんだなぁっていうのが。他のところだったら、もうちょっと厳しかったかなと思いますが、ここだったら、やっちゃえっていうのが嬉しいなって思いますよ。こういう職場でいいなぁって思いますね」

支えて、支えられてという、その循環が素晴らしい

高橋さん「ワーカーズコープで清掃の仕事をする斉藤さんのお話をおうかがいしました。生きづらさであったり仕事のしにくさって、周りの工夫だったり思いやりで変えることができるんだなって思いましたね。支えられ、そして支えてという、その循環も素晴らしいなというふうに思いました。今、現場のお写真を拝見しているんですけど、斉藤さん用に掃除道具がアレンジされているんですよ。これ、モップですかね。確かに通常の長さだとかなり長いですけど、それをね本当に切っちゃえっていうことで、結構短くされていて、これなら使いやすいですよね。でもなんでしょ、あるものをそのまま使わなきゃいけないっていう謎の常識ってたくさんあるじゃないですか。そういうのって、場面で変えていいんですよね。そうなんだよな、このワーカーズコープという働き方いいですね。本当に生きづらさを抱えた当事者の方や、斉藤さんのように障害を持つ方たちに合わせた働き方を、みんなで考え支えたり支えられたりしてやっていく職場、本当に素晴らしいなと思いました。ひきこもり当時者にとっての社会参加の選択肢として、もっともっと知られていくといいなと思いました。
ひきこもりボイスステーション。今回はワーカーズコープ連合会東葛地域福祉事業所副所長の岩佐哲也さんと斉藤千恵さんにお話をおうかいしました」

◆ワーカーズコープ新しい働き方図鑑
https://workstyle.roukyou.gr.jp/

◆イベント開催 2021年1月16日13時スタート!
『ひきこもりVOICE STATION』公開生配信! (パーソナリティ高橋みなみ)
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◆『ひきこもりVOICE STATION』 公式WEBサイト

◆TOKYO FMサンデースペシャル『ひきこもりVOICE STATION』放送決定! (2022年2月13日19:00~19:55)


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