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学童落ちた いい加減にしろよ。問題を考える

社会教育士の堀田奈津子です。共働き家庭の小学生が放課後の時間帯を過ごす居場所である「学童保育」。両親に代わって子供の面倒を見てくれる施設です。簡単にいえば保育園の小学生バージョン。
この学童を巡り、今年3月上旬頃からTwitterを中心に「#学童落ちた」が話題となり、メディアでも多く取り上げられるのを見た方もいるでしょう。
子育て世代の1人として、いま起きていることの問題について考えていければと思います。お付き合いください。

#保育園落ちた 日本死ね

皆様の記憶にもぼんやり残っているかと思いますが、保育園の待機児童問題は、2016年に匿名ブログ「保育園落ちた 日本死ね!!」から端を発し、注目されました。
もちろん、2016年それ以前からも待機児童という問題は存在していました。私自身も、長女が保育園に入園したのは2014年ですが、名古屋市の申込で第一希望の保育園に落ち、距離の離れた保育園に入園した経験があります。

今までは各家庭の中、ワーママの仲間内でのみ悲鳴としてあがっていた声が、攻撃的な言葉となり世に出て大きな共感を得たことで、まるっと子育て世代の意見として国会でも取り上げられ、社会全体の問題という認識が進んでいきました。
毎年2月下旬になると、SNSでは「#保育園落ちた」がトレンド入りするなど、今なお待機児童に困っている家庭が注目されます。

それから7年経った2023年、今度は学童保育に対してSNSで「学童落ちた。いい加減にしろよ」といった批判の声が相次いでいます。

#学童落ちた のは誰なのか

そもそも学童保育は、1940年代後半から民間保育園などで始まったとされています。その後の核家族化の進行、共働き家庭の増加などで、学童保育を必要とする家庭が年々増えると、厚生省(現在の厚生労働省)や自治体からの補助金が出る様になり、ニーズに応える形で学童が設置されていくという背景があります。
2015年4月の制度改正では、学童保育の対象児童が小学校3年生から小学校6年生までに拡大されましたが、自治体によっては従来通り、小学校3年生までしか預かってくれない場所も存在してるのが今の状況です。

そして、今年トレンド入りした「#学童落ちた」
自分の周りや知人の話を聞いた限りでは、地域差によるものが大きく、傾向を断言できる訳ではありませんが、小学校1年生で断られる場合より、3,4年生(中学年)に上がって断られたと聞く場合が多いです。
(もちろん、小学校1年生のタイミングで入所を断られた知人が、マンションを売ってまで学童に空きのある学区へ引っ越したというケースもあります。)

保育園を卒園し、小学校に入学して学童保育に数年間入ることはできても、まさかのもう少し先で壁にあたるというのです。

小学校1年生は最も優先度が高く、教室・受け入れに余裕があるならば、出来る限り全員のニーズに応えようと自治体は励んでくれています。でも、それは同時に中学年以降は優先度を下げざると得ないということであり、低学年の間に慣れ親しんだ学童から、急にNOを突き付けられるのです。

小学校〇年生からは定員オーバーです!

小学校4年生の壁

また、同時に企業側の制度上の制約もあります。
小学校4年生から時短が完全になくなるという場合も多く、小学校4年生の壁とも一緒になって、問題をより深刻化させています。
年々、時短・フレックス勤務の対象年齢は上がってきていますが、小学校6年間認めてくれるという場合は、よほどの大企業でなければ適用されず、多くは
・小学校入学
・小学校4年生進級

のタイミングで打ち切りとなり、母親側の働き方を問われることになります。まさに壁が何層にも重なっている状態、、ですよね。

どうすれば良いのか

では、どうすれば良いのかというと、考えられるのはこの辺りです。

  1. 受け入れ場所が満員で余裕がないならば、とにかく急ピッチでハード面を整備する。

  2. 受け入れ場所に余裕があり、人手が足りてない場合なら、放課後児童支援員を増やす。何なら待遇を上げて人工を増やす。

  3. 地域連携をして、スポーツや料理等の文化活動を教える放課後授業・放課後子ども教室として補完する。

3番目の地域連携の部分では、社会教育の一環として広げ、つなげることが出来るので、ここで関わるのもとても面白そうです。

また、小学校で起きている問題だからといって、学校側・学校の先生がどうにか出来るという訳ではありません(小学校の管轄は文部科学省)。対する学童保育は厚生労働省。本件はこの2つの縦割り事業を横断する、2023年4月に発足するこれからの子ども家庭庁の動き次第ともいえるでしょう。

今年、学童に落ちた子どもを持つ家庭が、これを期に退職するしかなくなってしまうことのない様、受け入れの土壌が整っていくことを心から望んでいます。

では、また次回。


学童に入れた場合も、4月は環境変化のため大混乱します。




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