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#377 模擬裁判をやってみたいと思ったら

中3公民や高校の公共で一度はやってみたいと思う模擬裁判。
実践例などの情報がなかったり、時間数が足りなかったりしてできない先生も多いのではないだろうか。

本記事では、私が授業で模擬裁判をやることを検討し、実際に授業を行った上で参考にした情報を紹介します。


方法①模擬裁判教材集を活用する。

まず紹介したいのはこちらの本。
現在Amazonで手に入る市販の教材集としては、おそらく唯一の本となっている。

タイトルに「1コマでもできる」とあるように、本当に1コマで成り立つようにできている事例もあり、指導案やワークシート、台本まで手取り足取りの内容になっている。

また、模擬裁判というと有罪か無罪か問うようなイメージがある。
しかし、本書では、刑の重さを考える「SNS名誉棄損事件」や、黙秘権の意義を考えるための事例など、「有罪か無罪か」だけでなく、裁判についていろいろな視点から考えることができる事例が収録されている。

方法②ネットで公開されている教材を活用する。

ネットをくまなく探した結果、「ザ・模擬裁判」と言える事例がこちら。
公民の教科書をもとに岐阜県弁護士会が作成した教材で、題材は「コンビニ強盗致傷事件」だ。

わたしも2時間かけて授業で扱ったことがある。

裁判の構図は単純明快で、状況証拠をもとに被告人が有罪か、無罪かを考えるというもの。
指導案や台本もあり、ひじょうに再現性が高い。

そのままやると、証拠不十分で無罪が多くなりそうなので、アドリブで被告人質問をするなどアレンジの余地はありそうだと思った。

方法③「昔話法廷」を活用する。

模擬裁判の導入として最適なのが、NHK for Schoolに動画がある「昔話法廷」シリーズだ。

昔話法廷とは、昔話を題材に、登場人物が罪に問われ、裁判が行われるという番組だ。
どの動画も、15分~20分という時間でちょうどよく、先生モードにするとワークシートや指導案まで見られるという充実ぶりだ。
さすがNHKである。

中でもおすすめなのがこちら。
三匹のこぶたを題材にした裁判で、レンガの家を建てた子豚が煙突から入ってきたオオカミを殺したのは「殺人罪」か「正当防衛」かを問う裁判だ。

私も授業で扱ったことがあるが、そのままやると「正当防衛」派が多くなるので、事前に動画を視聴して正当防衛が成り立つ要件をしっかり確認しておいた方がよい。

また、YouYubeには法曹関係者による解説動画もあがっているので、教材研究に活用できる。

実際に授業でやったことはないが、こちらもいつか扱ってみたい教材。
さるかに合戦で、サルへの復讐を踏みとどまり、司法に判断をゆだねた生き残った子カニ。

カニの親子を残忍な方法で殺害したサルは死刑に処されるべきなのか。

償いとは何かを考えるきっかけになる面白いシナリオだと思う。

方法④専門家に依頼する

模擬裁判を行う上で一番手っ取り早く、かつ正確で教育効果のある方法が、弁護士会などの専門家に出前授業を依頼するという方法だ。

おそらく都道府県の弁護士会で出前授業の案内がされていると思うので、勤務校のある都道府県の弁護士会のHPを確認するのが確実だと思う。

例えば東京都だと以下のような案内が出ている。

【目次】

【参考】

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