#210 シラス台地の「シラス」って何?

鹿児島県には、火山の噴出物で覆われたシラス台地が広がっている。
「シラス」の語源は、鹿児島の方言で「白い砂」をあらわす「白砂」や「白州」からきており、シラス台地は学術用語であることから漢字やひらがなではなくカタカナ表記がされている。

鹿児島県の火山と言えば桜島なので、桜島の噴火によってできた火山灰が降り積もってシラス台地を形成したのかと思われがちだが、実は違う。

薩摩半島と大隅半島に囲まれた鹿児島湾のことを、鹿児島では錦江湾(きんこうわん)と呼んでいる。錦江湾の桜島より奥の内海はただの海のように見えるが、実は姶良(あいら)カルデラと呼ばれる巨大なカルデラで、約2万9千年前に噴火が起こった跡である。
噴火の規模は現在の桜島の噴火の100万倍、噴出したマグマの量は、鹿児島県を60mの厚さで埋め尽くすほどで、現在のシラス台地を形成した。
ちなみに錦江湾の中部や入り口付近にも阿多(あた)カルデラとよばれる2つの巨大なカルデラがある。

シラス台地は水はけが良いため米の栽培には適さない。また、崖崩れが起きやすいことからシラスの斜面がある場所は災害リスクが高いと言われている。

しかし、シラス台地に暮らす人々はシラスを利用してさまざまな産業を発展させてきた。
鹿児島県の代名詞とも言えるサツマイモや、サツマイモを生かした酪農や焼酎はもちろん、シラスからつくられるシラスバルーンとよばれる素材は洗顔料や洗剤・塗料として利用されている。
近年では歩道のブロックや緑化基盤(芝生の下の素材)としても注目され、まちづくりにも利用されている。

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【参考】


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