#105 日本製品は粗悪品?
一昔前まで、中国製品は「安かろう、悪かろう」の代名詞だった。それに対して日本製品は高品質で安全・安心というイメージを持っている人が多い。しかし、かつては日本製品が「安かろう、悪かろう」という時代があったのだ。
第一次世界大戦において戦場にならなかった日本は、生産力が著しく低下してしまったヨーロッパ諸国へさまざまなものを輸出していた。その中には、粗悪品も混ざっていた。ボタンがシャツに糸で縫い付けられておらず、糊付けされていただけで、ボタンをつけようとするとポロポロと落ちてしまう・・・そんなシャツが輸出されていた。また、日本の海産物の重さを水増しするために魚の腹に釘や鉄くずが入れられていた。芯が両端しかないキセル乗車のようなえんぴつもあったそうだ。メイドインジャパンは「安かろう、悪かろう」の代名詞だった。
第二次世界大戦後、日本の工場はアメリカなどの衣料製品や電気製品の下請けとなり、品質の良い製品の作り方を必死で学んでいった。その結果、今ではアメリカをも上回るような安全・安心・高品質の代名詞となっていったのである。
近年の中国も、当時の日本と同じ道をたどっている。中国は賃金が安いため、先進国の企業が続々と進出していった。その結果、中国は海外メーカーのさまざまな製品を作る中で、品質の高い製品の作り方を学んでいった。今では先進国の企業や企業の一部を買収して、その資本をもとに中国独自のブランドを作り上げるまでになった。
例えば、パソコンの世界シェアナンバーワンとなっているレノボは、買収したIBMのパソコン部門がもとになっている。白物家電で有名なハイアールは、日本の三洋電機の白物家電事業と、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)の家電事業を買収してつくられたものである。
現在では中国製品も高品質が当たり前となっている。中国製品は「安かろう、悪かろう」というのは一昔前の話になりつつある。
【参考】
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