#138 国会で一番偉いのは誰?

「国会で一番偉いのは誰?」という質問をすると、ほとんどの生徒は「総理大臣」と答える。実質的にはそうかもしれないが、制度上一番偉いのは衆議院と参議院の議長である。

総理大臣は三権分立における内閣のトップなので、国会では国会議員であるにすぎない。国会のトップは議長である。参議院と衆議院のホームページにはそれぞれ議長の挨拶が掲載されている。

では、国会のトップである衆参両議院の議長、内閣のトップである内閣総理大臣、司法のトップである最高裁判所長官の中で一番偉いのは誰か。これも総理大臣と思いきや、衆参両議院の議長である。それは、憲法第41条によって、「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と定められているからだ。
実際、3者の月給を比べてみても、総理大臣と最高裁判所長官の月給はおよそ201万円(年収はおよそ4000万円)に対して、議長の給料は約218万円である。給料の面から見ても議長が一番優遇されている。

しかし、日本の国会と内閣は互いに責任を取り合う議院内閣制で運営されている。国会における与党第一党の党首が総理大臣になるという慣例があるため、実質的には総理大臣が国会においても一番偉いという状況になる。そのため、多くの国民は総理大臣の名前は知っていても国会の議長の名前は知らないのである。


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