贈り物に悩む
卒論指導でこの上なくお世話になった先生に何をプレゼントするかで2週間ほど悩み続けている。今年度先生の下で卒論を書いて卒業することになっている学生は私一人。どこかひねくれた感じのあるその先生に卒論指導をお願いしたのは、一年生の頃に受けた授業で唯一「社会学は面白い」と何度も口にしていたからだ。「授業が苦手、学生が嫌い」と言いながらもものすごい時間を割いて指導してくださった。
今までだって十分すぎるくらいに忙しかったはずなのに来年度からさらに重要な仕事が増えるらしい。とても憂鬱そうに、でもどこか誇らしげに話していた。そういうところだ。普段から自虐ばかりで自己肯定感なんて低いどころかもはやないのではと思ってしまうくらいだけれど、実は自分のやっていることや生き方にちゃんと自信を持っている。だから先生を慕う人間は絶対に数えきれないくらいいる。「友達なんかいません」なんていうけれど、先生だって本当は知っているんだろう。
口を開けばボヤキか自虐の変な人だけれど信頼してしまう。なんだかんだ言ってユーモアに溢れているし粋なところもある。そんな変な先生だからこそ、何か変ないいものをプレゼントしたいんだが。なんせ一人なので予算も決まらなければピンとくるものも思いつかない。
もともとプレゼントを考えるのは嫌いじゃない。恋人の誕生日やクリスマスなんかは何がいいかなと連想ゲームのように考えながらあっちこっちし、大体その日のうちに「これしかない」と思えるものを用意する。でも先生は本当に難しい。なんでだろう。中途半端に先生のことを知っているのに具体的な探りを入れられなかったからだろうか。いや、「変ないいもの」にしたいからか。先生にぴったりで、「今までこんなものくれた学生いないよ」と言ってもらえそうな変ないいもの。改めて考えると結構な難題だ。結局ありきたりなものになってしまうかもしれない。とにかくこの土日のうちに手に入れないとスケジュール的にかなり危険だ。本気を出して考えなければ。誰も止めなければ身を粉にして働いてしまう先生が本当に粉々にならないで済むような、何かいいものないかな。
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