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【国試】令和4年度社会福祉士国家試験 ~心理学理論と心理的支援④

エリクソン(Erikson, E.)の発達段階説


エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」には、「乳児期」「幼児前期」「幼児後期」「学童期」「青年期」「成人期」「壮年期」「老年期」の8つの発達段階がありました。
この8つの発達段階にはそれぞれ「心理社会的危機」が存在し、人間はその心理社会的危機を乗り越えることで力を身につけることができるというのがエリクソンの発達理論です。


1|乳児期(生後〜)

心理社会的危機:基本的信頼vs不信
得られる要素:希望
赤ちゃんは一人では生きられないので、泣いて助けを求めます。母親や周囲の人から愛情を受け、世話をされることで生きて育つことができます。適切な世話を受けることで、赤ちゃんと関わる人の信頼感が構築されます(基本的信頼)。そして、赤ちゃんは「希望」という力を獲得することができます。
ですが、誰にも世話をされず、泣いても放置され続けた赤ちゃんは周りに不安や不信感を持ち、「希望」を獲得することができません。このような状況は健全とは言えず、人生観にも多大なる影響が出てしまうと考えられます(不信)


2|幼児前期(18ヶ月〜)

心理社会的危機:自律性vs疑惑
得られる要素:意思
幼児前期の発達において、最も特徴的なのはイヤイヤ期とも呼ばれる自我の芽生えの時期です。乳児期では、全てのことで周囲の人が世話をしてくれましたが、何でも自分でしたいという挑戦欲により、さまざまなことが自分でできるようになっていきます(自律性)適切なチャレンジの機会があれば、自信をつけて、もっといろんなことをしてみよう!と思えます。そして、自分の「意思」という力を獲得することができます。
ですが、全てのことに親や周囲の人が手を出して本人の挑戦する機会を奪ったり、挑戦して失敗したことを非難してしまうと、子どもの自律性は育つことはなく、逆に周囲が自分を信じてくれないという疑惑が生まれてしまいます(疑惑)


3|幼児後期(3歳〜)

心理社会的危機:積極性vs罪悪感
得られる要素:目的意識
同世代の子どもとの交流が増え、幼稚園や保育園での友だちと過ごす外の世界に興味を持つ時期です。知りたいという欲求「なぜ〇〇なの?」というなぜなぜ期、また、ままごとやお店ごっこなど、ごっこ遊びに夢中になります(積極性)
さまざまな事象の「なぜ=目的」を知ったり、経験することで、「目的意識」という力を獲得することができます。
これらの自発性や自主性のある積極的な活動に対して、親がめんどくさい態度を取ったり、厳しくしつけすぎると、子どもは罪悪感を覚えてしまいます(罪悪感)。もちろん、適切なしつけは必要ですが過度なしつけは、子どもの罪悪感が強くなり、自発的な活動を妨げることに繋がってしまうのでバランスが大切です。


4|学童期(5歳〜)

心理社会的危機:勤勉性vs劣等感
得られる要素:有能感
小学校に通って、学び始めさまざまなことを習得する時期です(勤勉性)。様々な課題に取り組むことで、自分に能力があることを自覚し、「有能感」を獲得することができます。
ですが、失敗したり、苦手なことでつまずいたりすることも多くあります。その際に周りの大人がフォローせずに、ただ出来ないことを咎めるだけでは、子どもは「自分には無理だ」と劣等感を抱いてしまいます(劣等感)。慢心しないよう出来たことを過度に褒め過ぎず、出来ないことを劣等感も抱かせないように適切にフォローし、本人が克服出来るよう導くことが大切です。


5|青年期(13歳〜)

心理社会的危機:自我同一性vs役割の混乱
得られる要素:忠誠心
思春期である青年期は、「自分は何者であるのか」を思い悩む時期です。「自分らしさとは」「自分は何をしたいのか」など、多くのことを考え、悩みます。「自分は〇〇だ!」と自我同一性、つまりアイデンティティーを確立することができれば、自分自身の価値観を信じ、それに対して貢献し応えようとする「忠誠心」という力を獲得することができます(自我同一性)
しかし、同一性が拡散してしまい、アイデンティティーを確立することができなければ、「自分は何者なのか」「なぜ存在しているのか」と悩み続け、モラトリアムから抜け出せなくなってしまいます(役割の混乱)。コミュニティに属し、役割を得て、社会から必要とされると実感することも、アイデンティティーを確立するための手段の一つです。


6|成人期(22歳〜)

心理社会的危機:親密性vs孤立
得られる要素:愛
成人期は、職場や家庭など現実的な役割を担い、責任を負うようになる期間である。さらに同性や異性との関係を重要視する(親密性)。親密性を獲得していくためには、アイデンティティを獲得されていなければならず、相手に受け入れられないと後ろ向きな感情が生まれる(孤立)


7|壮年期(40歳〜)

心理社会的危機:世代性vs停滞
得られる要素:世話
壮年期は、職業上の知識や技術、子育ての知識や技術を次の世代に伝達する期間である(世代性)。次世代への関心の薄さや関わりがない場合、他者と関わり合いがなくなるため、自己満足や自己陶酔に陥りやすい(停滞)


8|老年期(65歳〜)

心理社会的危機:自己統合vs絶望
得られる要素:英知
老年期は、死に対する意識が高まり、人生を回顧する時期である。大きな世の中や人類の秩序や意味の伝承と、自分自身の人生を回顧して受け入れることが課題となる(自己統合)。「死」を受け入られないと、さまざまな衰えに対しての恐怖などを抱く(絶望)




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