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【国試】令和4年度社会福祉士国家試験 ~心理学理論と心理的支援⑤

ストレスについて


汎適応症候群(一般適応症候群)

カナダの生理学者セリエ(Selye,H.)は、多様なストレッサーによって起こる身体的な非特異的反応を汎適応症候群と定義しました。
ストレッサーとはストレス反応を引き起こす刺激のことです。
汎適応症候群は次の3段階で進むとされています。

1|警告反応期
ストレッサーが加えられた直後の時期で、ストレッサーに対する警告を発して、ストレスに耐えるために内部環境を急速に準備する緊急反応の時期です。闘争・逃走反応とも呼ばれています。
最初に抵抗力が低下するショック相を経て、抵抗力が高まる抗ショック相へと移行します。
ショック相では体温低下、血圧低下、血糖値の低下、筋緊張の弛緩などの症状が見られます。
抗ショック相では抵抗力が強まり、ストレッサーへの適応が本格化し始めます。

2|抵抗期
ストレッサーに対し活動性を高めてバランスを保っている状態です。
心身の活動が活発になるため、休息とのバランスが崩れやすくなります。
症状が治まり、抵抗力が増して、一見、正常な機能を取り戻したように見えますが、ストレスに抵抗し続けるためにはエネルギーが必要なので、そのエネルギーを消費し過ぎて枯渇すると「疲弊期」に移行してしまいます。

3|疲弊期
長時間継続するストレッサーに心身が対抗できなくなり、抵抗力が衰え、うつ病などの病気になる時期です。
警告反応期のショック相に見られるような症状や、不安や抑うつといった精神症状、胃潰瘍などの消化器障害などの身体症状も引き起こします。


ホメオスタシス(生体恒常性)

気温や気圧など、場所・時間によってさまざまに変化する体外環境。
その影響は、私たちの体の細胞レベルにまで及びます。
しかし、私たちの体には、体外環境が変化しても体内の環境を一定に保とうとするしくみがあります。
例えば、
暑い時は、体温を下げるために汗をかきます。
寒い時は、体温を上げるために体を震えさせます。
これらは全て「ホメオスタシス」の働きです。


タイプA行動パターン

フリードマン, Mと.ローゼンマン, R.H.は、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患になりやすい性格傾向を明らかにし、それをタイプA行動パターンと名づけた。
性格面では、競争的、野心的、精力的、何事に対しても挑戦的で出世欲が強い、常に時間に追われている、攻撃的で敵意を抱きやすい。
行動面では、機敏、せっかち、多くの仕事に巻き込まれており、
身体面では、高血圧、高脂血症が特徴である。
自らストレスの多い生活を選び、ストレスに対しての自覚があまりないままに生活する傾向がある。
血圧が上がる、脈拍が増えるなどのストレスに対しての反応によって循環器系に負担がかかり、心臓疾患の発症に関係してくると考えられている。

タイプB行動パターン
タイプAとは反対の性格傾向を持つ人のことを言う。
あくせくせずにマイペースに行動し、リラックスしており、非攻撃的などの性格傾向を持つ人である。
フリードマンによると、タイプAの方が大きな成功を収めるように見受けられるが、実際のところはタイプBの方が成功しやすいそうでもある。
それは、タイプAの人はストレスによって疾患を患う確率が高く、仕事に支障をきたす場合が多くなるからである。

タイプC行動パターン
いわゆる「いい子」で自己犠牲的であり、周囲に気を遣い譲歩的、我慢強くて怒りなどの否定的な感情を表現せずに押し殺す、真面目で几帳面といった特徴を持っている。
がんになりやすい性格傾向がある。


心理社会的ストレスモデル

心理学者であるLazarusとFolkman(1984)は、ストレッサーが直接ストレス反応やその後の疾病を引き起こすのではなく、認知的評価コーピングといった心理的な要因によって、心身に生じる変化も異なるという「心理学的ストレスモデル」を提唱しました。

1|認知的評価
ストレスの原因となりそうな刺激(潜在的ストレッサー)に対する個人の主観的な評価のことを指します。たとえば、「不要不急の外出を控えて、一日中自宅にいなければならない」という状況に対して、退屈で仕方がないとネガティブに捉える人もいれば、家でもできる新しい趣味を探す機会だとポジティブに捉える人もいます。すなわち、出来事に対する意味づけによってその後の感情やストレス反応の生じ方が異なります。

2|コーピング(coping)
ストレス対処」と訳され、日常生活の中で私たちに負荷をもたらすと判断された外的・内的な刺激(ストレッサー)やそれによって生じるストレス反応を減らしたり、受け入れたりするために個人が行う認知的、もしくは行動的な努力のことを指します。




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