根暗なアラサーボーイは如何にしてファッションに興味を持ったか?③

当時、私は全国出張の仕事をしていました。数週間〜数ヶ月単位で現場のある場所に滞在し、現場が終わればまた次の現場へ移動するという生活です。こういう仕事をしていると休日の遊びというのは、余程熱中している趣味がない限りはだいたい似通ってきます。そう、女・酒・ギャンブルです。私は元々どれにも興味はなかったのですが、業界に染まっていくうちに、これらの娯楽に手を出す機会が増えました。

ある晩、職場の同僚と連れ立ってガールズバーに向かいました。時間は前後するのですが、前回お話ししたオフ会より前のことです。そのときはラフな服装で遊びに行き、女の子とたわいもない話をして、LINEを交換し店を出て解散しました。

しばらくしてその女の子からLINEが来ました。曰く、「店を引退して地元に帰ることになったから最後に来て欲しい」と。特別深い思い入れがあった訳ではありません。ですが、あのオフ会の直後ということもあり、それなりにきちんとした服装で対面したときに何か変化はあるのだろうかと気になり、承諾の旨を返信しました。

そして店に着くなり女の子に
「えー、イメチェンしてるやん!?めっちゃイケメンになってる!絶対こっちの方がいいよ!」
との言葉をもらいました。
人間単純なもので、社交辞令と分かっていても、況してやお金を払ってチヤホヤしてもらうお店での会話であっても、異性からストレートに褒められるとこんなにも舞い上がってしまうものかと可笑しく思いました。特に容姿について褒められた経験に乏しいものですから、その衝撃たるやです。

同時に、見た目にほんの少し気を使うだけで、他人からの印象は大きく変わるという学びはこの経験を通じより強固なものとなりました。
これらの経験をもってアラサーボーイは遅ればせながらもファッションに興味を持つに至り、そのセンスを少しずつですが磨いてゆくこととなりました。

最後に、ファッションとはそもそも一体何なのでしょうか?その答えは人によって違うことでしょう。ストリーファッションに精通している私の友人曰く「ファッションとはトレンドである。」そうです。実際、彼の選んだ服で大阪ミナミの街を歩いたときは街の雰囲気に溶け込んでいる気がして心地よかったのを覚えています。関西発のファッションの震源地のひとつであるミナミには、まさしくトレンドを取り入れたファッションが馴染むことでしょう。

では今の私なりにファッションを定義するなら、それは「TPO」「自信」「自己演出」の3つになります。
まず、TPOについて。時と場合と状況に合わせて着る服をチョイスするということです。極端な例を出せば、フォーマルなパーティーの席にジーンズにパーカーのカジュアルな服装は似つかわしくないでしょう。
次に自信について。要は「この服は自分に似合っている」と自信を持って言える服を身につけることです。必ずしも高価な服を身につける必要はありません(それはそれとして高価な服を身につけるとテンションは上がります)。
最後に自己演出について。他人に対してどのような印象を与えたいのか。私はなるべくニュートラルでフラットな印象を与えたいと考えています。故に「キレカジ」と呼ばれるザ・無難なスタイルが最も気に入っています。

以上が根暗なアラサーボーイがファッションに興味を持った過程と、現時点での私のファッションに対する考え方です。元々ファッションに興味があった人にも、かつての私のようにファッションに興味がない人にも新しい視点を提供できたのなら幸いです。
今後もいろいろなテーマでエッセイを書いていこうと考えています。またお読みいただければ幸いです。


Fin.

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