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SHADOWTIMES

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港千尋+勝又公仁彦フォトメールマガジン
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#港千尋

SHADOWTIMES 2013/12/12 Vol.54

SHADOWTIMES 2013/12/12 Vol.54

《shadowtimes》 Post.27
「絵馬の起源」港千尋恵比寿にあるG/P Galleryで先週から始まっている個展は、今年制作した新作もふくめ、未発表の作品で構成している。STにも登場していただいた天野裕子さん、オーナーの後藤繁雄さんとのトークがきっかけになって実現した、しばらくぶりの個展である。

企画段階でATLASというタイトルはどうですか、と後藤さんから聞かれた。旅の多い身には、

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SHADOWTIMES 2013/11/28 Vol.52

SHADOWTIMES 2013/11/28 Vol.52

《shadowtimes》 Post.26
「パラジャーノフの家」港千尋黒海とカスピ海の間、いわゆるコーカサス地方にあるアルメニアは、日本と同じく地震国である。1988年12月の大地震では2万5千人もの犠牲者とともに、多くの町が全壊したが、それでもなお古い文化を色濃く残している魅力的な国である。

その国名をはじめて耳にしたのは、学生時代に見た一本の映画『ざくろの色』だった。

六本木のWAVEだ

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SHADOWTIMES 2013/11/14 Vol.50

SHADOWTIMES 2013/11/14 Vol.50

《shadowtimes》 Post.25
「写真の秋」港千尋11月のローマは霜が降りてもおかしくない時期なのに、今年は半袖姿も目に付くほど暖かい。ちょうどローマ国際映画祭が始まったところで、なんとなく華やいだ雰囲気。

ローマの休日と行きたいところだが、来年1月に予定しているコンベンションの準備で、ゆっくり映画館に入る余裕がない。フェリーニ、ベルトルッチ、パゾリーニ、ナンニ・モレッティ…とローマ

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SHADOWTIMES 2013/10/24 Vol.48

SHADOWTIMES 2013/10/24 Vol.48

《shadowtimes》 Post.24
「文字と写真」港千尋今月、『100年目の書体づくり』という本が出た。大日本印刷のオリジナル書体である、秀英体がその誕生から100年目に改刻された記念出版である。

改刻とは、あまり聞きなれない言葉かもしれないが、ひとつの書体のデザインを全面的に改めることを意味する。「刻」が示すのは、もともと活字は金属に刻まれて作られたという歴史だ。「平成の大改刻」と呼ば

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SHADOWTIMES 2013/09/26 Vol.44

SHADOWTIMES 2013/09/26 Vol.44

《shadowtimes》 Post.22
「時代とモノサシ」港千尋先日東京で、インド、韓国、中国などのキュレーターを対象にレクチャーをする機会があった。国際交流基金の招きで日本を訪れている、ギャラリーや美術館の若手キュレーターたちである。美術に触れるにはいちばんいい季節だ、きっと多くの発見があるだろう。

ひとしきり写真について話をした後、「漠然としていますが」と前置きして、誰かが撮影した写真を

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SHADOWTIMES 2013/08/22 Vol.40

SHADOWTIMES 2013/08/22 Vol.40

《shadowtimes》 Post.20
「夏の子午線」港千尋夏至の祭りは世界中にあるが、8月の太陽を愛でる地域はどれだけあるのだろう。猛暑の続く日本では北海道くらいだろうか。だが今月の太陽は写真の始まりにすこし関係がある。写真術は、1839年にフランスのアカデミーがその発明を公式に認めた日を、誕生の日としている。8月19日のことである。

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