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SHADOWTIMES

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港千尋+勝又公仁彦フォトメールマガジン
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2015年6月の記事一覧

SHADOWTIMES 2013/11/07 Vol.49

SHADOWTIMES 2013/11/07 Vol.49



Post.24
「スタンフォードの馬」 勝又公仁彦モンゴルから日本に帰り、その余韻も覚めぬ内に、私はサンフランシスコへと飛んだ。空港には昼過ぎに着いた。光の強さはモンゴルによく似ている。空気が乾燥しているのだ。お世話になるシリコンバレーのNさんのお宅への途中、スタンフォード大学を見学した。

(ゴールドラッシュで移住し集まった鉱夫を相手とした雑貨商で成功し、カリフォルニア州知事から鉄道王となっ

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SHADOWTIMES 2013/10/24 Vol.48

SHADOWTIMES 2013/10/24 Vol.48

《shadowtimes》 Post.24
「文字と写真」港千尋今月、『100年目の書体づくり』という本が出た。大日本印刷のオリジナル書体である、秀英体がその誕生から100年目に改刻された記念出版である。

改刻とは、あまり聞きなれない言葉かもしれないが、ひとつの書体のデザインを全面的に改めることを意味する。「刻」が示すのは、もともと活字は金属に刻まれて作られたという歴史だ。「平成の大改刻」と呼ば

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SHADOWTIMES 2013/10/03 Vol.45

SHADOWTIMES 2013/10/03 Vol.45



Post.22
「二つのアート」 勝又公仁彦「風景考 モンゴル展」のレセプションを終えた翌日、我々はまだ日も上がらない早朝、ウランバートルのチンギスハーン空港へ向かった。南ゴビへと飛ぶためである。

プロペラ機はウルム(南)ゴビ県の県都ダランザドガドの空港に到る。正面には駱駝の狛犬が置かれ、中華圏とは多少違うエリアであることを思わせる。空港から少し離れてダランザドガドの街がある。人口は 1~2

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SHADOWTIMES 2013/09/26 Vol.44

SHADOWTIMES 2013/09/26 Vol.44

《shadowtimes》 Post.22
「時代とモノサシ」港千尋先日東京で、インド、韓国、中国などのキュレーターを対象にレクチャーをする機会があった。国際交流基金の招きで日本を訪れている、ギャラリーや美術館の若手キュレーターたちである。美術に触れるにはいちばんいい季節だ、きっと多くの発見があるだろう。

ひとしきり写真について話をした後、「漠然としていますが」と前置きして、誰かが撮影した写真を

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SHADOWTIMES 2013/09/19 Vol.43

SHADOWTIMES 2013/09/19 Vol.43



Post.21
「2つのフォーカス」 勝又公仁彦前回、ピントなどが後から自在に変えられる新時代のカメラとしてライトフィールドカメラの仕組みをご紹介した。紹介しておいて何だが、このような発明と実用化は素晴らしいと思う反面、長年写真を撮ってきた者としてはいささか居心地が悪いというか、違和感を拭い切れない。

“触知論” 「2013年8月25日神奈川県横浜市」
(暗い、というだけでピントが合っている

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SHADOWTIMES 2013/09/05 Vol.41

SHADOWTIMES 2013/09/05 Vol.41



Post.20
「既にある未知のフィールドへ」 勝又公仁彦このところ呪術的な話が続いた。そろそろ科学の話題を入れてバランスをとろうと思っていたところ、港さんがアラゴのことを書いて下さった。ダゲールが発明し、アラゴが発表したダゲレオタイプは、光学的な現象を化学的な処理により定着する技術だった。これは現在のフィルムカメラに受け継がれている。

一方デジタルカメラでは、光学的な入力は変わらないものの

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