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おしりの悩み ~痔ろうとボク~ vol.4

<あらすじ>

ついに大腸内視鏡検査の侵入を許してしまった。
今までに味わったことのない感覚が
身体の内側を駆け抜けた。
ついでにポリープも切除された。
ボクのおしりの行く末は如何にー。

第四章:痔ろうと入院

カメラの価値は

大腸内視鏡検査を終えた。
事前に説明を受けているが、この病院では
痔ろうの手術を行う設備がなく、今後の治療は
大病院へ行かなくてはならない。

内視鏡検査で撮影された写真と映像を元に
今の腸内環境の状態を説明されるも、
特に怪しいところはなし”という結論だった。

じゃあ今回の内視鏡検査の結果も含め、紹介状を書いておきますね。
と、先生。
受付で紹介状やこれまでのカルテ、今回の内視鏡検査の画像と
かさばるほどの関係書類を、大きな袋で受け取った。

料金は”二万円”を超えた‥。

一週間後、紹介状を携えボクは大きな病院(生協病院)へいた。
ちなみに、この時のボクはまだ「手術をする」という気持ちではなかった。
改めて大きな病院できちんと調べてもらえれば
手術を回避できるかもしれない、という淡い期待を抱いてた。

なんなら、痔ろうそのものの存在を否定して欲しかった。

診察室に呼ばれたボクは先生からの説明を受ける。
先生はこれまでのカルテや画像なんかをチラ見し、ボクに言った。

手術日いつにする?

わずか5分でボクの淡い期待は裏切られた。

「とりあえず手術の前にMRA検査するね。」
「MRAで痔ろうを見つけるから」

気持ちの整理をすることなく、矢継ぎ早に答える先生。
トントン拍子で日程が抑えられていく。

とりあえず手術が避けられないのは分かったんだけど、
1つだけ分からないことがあった。

結局、MRAで痔ろうを見つけるのなら
ボクが大腸内視鏡検査を受けた意味ってあったの…?
ってこと。。

未だにこの疑問は解消されていない。←


閉所

あんだけ苦しい思いをして、身体の中を丸裸にされたのに
さほど意味をなさなかった大腸内視鏡検査は
完全になかったことにされ、
MRAの受診日を迎えた。

MRAは強烈な磁気を放つ、筒状のマシンの中に横になって入り
胴体を輪切りにした断面図を元に、診察をしていく検査だ。

閉所恐怖症の人は筒の中に入っただけで
耐え切れなくなってしまうらしい。
自覚がない人は、MRAの検査で初めて
発覚する人もいるそうだ。

また、MRAを受ける前に、
造影剤の点滴を受けることになるんだけど
妙なものを注入されることで、気分が悪くなったりしないだろうかと
ボクは一抹の不安を抱えいた。

ボクの番だ。点滴を刺したままMRAへ向かう。
言われるがまま、台の上に仰向けで寝転がる。
ちょっと緊張するな。。

身体をガッチリベルトで固定され
手足の自由は利かなくなった。
そのまま筒状の中に吸い込まれると、辺りは眩い
薄い青色の光に包まれていた。

狭い空間を感じさせないように、寝転がる。
仰向けの視線の先には、ひまわり畑が広がっていた。

これは鏡が頭上に設置してあり、鏡は頭の後ろに
描かれた背景を映しているという寸法だ。
鏡の反射はさらに空間を広く見せ、
そこが狭い場所と感じさせない工夫がされていた。

また磁気を浴びているときは、かなり大きな音が響くため
ヘッドフォンを付けている。
ヘッドフォンからはヒーリングミュージックが流れており
身動きはとれないが、全体的にリラックスできるようになっていた。

仰々しい検査とは裏腹に、これまでの検査のように
特に痛みや恐怖心を感じる必要がないと悟ったボクは
そのまま浅い眠りへとつくのだったー。


入居

MRA検査から数日、とうとうボクは入院日を迎えた。
これまで入院というものをしたことがなかったので、
とりあえず、五日分くらいのお泊りセットを持って
病院へ向かったんだ。

この病院は、大きい病院ではあるが
市立病院などと比べると、少し(かなり)老朽化の進んでいる
薄暗い(汚い)感じの病院だった。

見た目と同様、外来に通う患者さんは
お年寄りが圧倒的メインのため、若者の姿を見かけない。

つまり、よく病院ドラマで見かけるような、
患者さん同士で交流が芽生えるような
ドラマティックな展開はまるで望めそうもなかった。

患者さんだけではなく、働いているスタッフや看護士さん、
先生も含め、それなりにお年を召された方が多く
うっかり入院を小旅行と勘違いさせるような
わくわく感や高揚感などを煽られることもなかった。

ボクは入院病棟のある別館の二階へ向かった。
エレベーターを出て東へ歩くと、詰所が見えた。

入院手続きを済ませると、ボクはある違和感を覚えた。

すれ違う患者さんは、相変わらずお年寄りばかりだったんだけど
入院病棟で働く看護士さんは、

みんな若くてキレイな女性ばかりだったんだ。

もちろん建物はボロい。エレベーターや廊下も薄暗い。
しかし、この入院病棟だけは
これまで通過してきた院内とまるで様子が違う。
一気に平均年齢を下げにきた感じだ。

みんなが思い描く、婦長さんのような人ばかりが
ごった返す雰囲気を予想していただけに、
この展開はいい意味で裏切られた気がした。

そして、ボクを病室までエスコートしてくれた看護士さんも
新卒から2、3年を思わせるような雰囲気と若さをまとい、
説明の仕方1つをとっても、ちょっとたどたどしく
とってもフレッシュだった。
はにかんだ笑顔もとても可愛らしかった。

チラッと見えたネームプレートに
青山」の名前が見えた。

‥ボクはちょっと(かなり)だけ、癒されたんだー。


このお話は、次回へ続きます。
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