アイドルの育て方/自分の戦う相手は自分しかいない

「自分の戦う相手は自分しかいない」

よく言われることですが、これが結構難しいんですよ。
要は「ライバルは自分だけ」であり、「他人と比べてはいけない」。
欅坂46のドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』の中でも振付・演出のTAKAHIROさんがくじけそうになったメンバーに対してこの言葉をやさしく伝えるシーンがあった。

でもね、意外とこれが難しいんですよ。
どうしても他の誰かと比べちゃうもんなんです。
メンバーの気持ちもよーく本当わかります。
でもね、これができるようになることで精神的にも次へのステージに上がれるんです。

誰かと比べたりするから余計に精神的な負担が大きくなってくる。
それは現実的には他人と比べても全く意味がないことが多いから。

また、タレントの仕事って比べることは実は不可能で無意味。
アイドルの場合は特にそう。

なぜかと言えば、「アイドルとしての良さ」っていうのは一概に何が良いというのが難しいから。
歌が上手いからでもなく、可愛いからでもなく、演技が上手いだけでもなく、トークが上手いとかでもなく、色々な要素の集合体。
場合によっては歌もトークも下手な方が良かったりする…
もちろん、歌がうまくて可愛くて演技もトークも上手いのは大きな武器になる。
だからそれに対して甲乙つけるのはムリ…。

タレントって言うのは自分が一番輝くための輝き方、そしてタレントとしての自分らしさを手に入れることが重要なのです。


良くあるケースとして例えば…

タレントAちゃんとBちゃんがいたとして、Aちゃんはレッスンもまじめに取り組んでいて歌が上手いのに、あんまりレッスンで成果が出ないBちゃんのドジっぷりがファンに受けてBちゃんの人気が上がったりする。
そうするとBちゃんと自分を比べてしまってるAちゃんは「なんで自分はこんなに頑張ってるのに」とか「なんでBちゃんは歌がヘタなのに!」とか考え込んじゃって自分を見失っちゃたり、やりがいを失ったりする。
そして、まじめな子ほどこうなる傾向がある。

自分を見失ってしまうことは芸能界では致命的。

タレントが10人いたら最低10個の輝き方がある。
早咲きの子もいれば遅咲きの子もいる。
みんなひとりひとり違うんです。
アイドルは盆栽ですからね。

だから、他人と比べるのはまったく無意味。
そんなことより常に自分と向き合い、自分と見つめ合って、自分と戦い、昨日の自分に負けない明日の自分を作り上げていくことが大事。
そしてそれをきちんと大人がフォローしていくこと。
大人がそのタレントの価値を理解しておくことが大事。
そのタレントが持つ個性を伸ばし、そして更に隠れた個性や才能を見つけて覚醒させ、育てていかなければならない。

そんな訳で自分以外の誰かと戦うタレント教育を僕はしない

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