今日も雨が降っていた
今日は雨が降っていた。
今日も雨が降っていた。
別にそれ自体は特別なことではない。
僕の住む日本海側の空は一週間のうちのほとんどが灰色の雲に覆われている。朝目覚めたときも、カーテンから感じるのは暖かい温もりではなくて、冷たく濁った光だ。
実を言うと、僕はもともと冬でも晴れが多い太平洋側の人間だった。だからこっちに来てからというもの、この雨と曇りの多さに毎日辟易している。
外に出れば体は濡れるし、濡れないためには傘を差さないといけない。どこに行くにも基本的には自転車移動なものだから、わざわざカッパを着て出かけないといけない。だから雨が降っている日はあまり外にでたくない。
その上、洗濯物はなかなか外に干せず満足には乾かないし、外で体を動かすこともなかなかできないから、気分も憂鬱になりがちなのだ。
とは言いつつも、もともと僕は運動好きなインドア派の人間であるから、本当に困っているというわけでもない。雨が嫌すぎて家に引きこもって、「あーっもうっ」とか奇声を上げるなんてこともない。むしろ、家で一人雨音に耳を澄ませて淡々と作業をしたり、本を読んだりするのは僕の中で好きなことの部類に入る。
でも、やっぱり僕は雨が嫌いだ。
なぜなら雨は冷たいから。
別に多くを語るつもりはない。語る必要はない。
雨を嫌いな理由として、それはひどく端的でわかりやすいものだと僕は思う。
もしかしたら、僕にとって雨というのはそれまでのものでしかないのかもしれない。
でも、これだけは言っておきたい。
冬の雨はひどく冷たく、僕の体の芯からその温もりを容赦なく奪っていく。
それはそれはひどいものだ。
湿った布が肌にはりつき、体の表面から熱を奪い、僕の体温を下げる。
その感覚にはいつも何とも言えない気持ち悪さを感じる。
でも、まれにその雨を体で感じたくなる時がある。
その理由を具体的に、そして論理的に説明するのは容易ではない。
でも、まれにそういう風に思う時がある。
実際、何度か雨の中を全力疾走したことがある。
いや、何度かどころではない。
もっと、もっとたくさんだ。
ただ、そういうときの雨はなんだか少し温かく感じる気がする。
最後まで読んでいただきありがとうございます。 皆様から頂いたサポートは今後の自己研鑽のために使わせて頂きます。 僕の書いた文章で何か少しでも感じていただけたら、僕にとってこれほどうれしいことはありません。