むかしむかしのその昔③ ソニア・リキエルが教えてくれたこと
集英社のファッション誌『MORE』の採用ページにある、現編集長の記事を読んだ。
1978年、私はホテルオークラで開催されたMORE国際文化セミナーに参加した。登壇者はバーバラ・アダチ、ウェンディ・ホールデンソン、イレーネ・イアロッチ、シャーリー・テュダー、桐島洋子、ソニア・リキエル、中村紘子、清家清、並河萬里、アーリン・ダール、グロリア・スタイナムなど。
そこでソニア・リキエルはこんな話をしてくれた。
「ファッションとは今を生きることだと思う。私はファッションを乗り越え
たかった。デ・モードとは個人主義である。野心といつもいっしょにいる
ようなもので、肉体のためにファッションをつくるのである。他と区別す
るため、自分を示すためである」
「どうしてファッションをつくるのかといえば、それは子どもを産むような
もので、コレクションが生まれるのは子どもが生まれるのと同じこと。そ
して、生まれたあとも子どもと同じ扱いをする。服のあちこちに私が顔を
出す。服が私をつくっているのだ。服をつくるのは手段だと始めは考えて
いた。けれども今は、服は私の人生で、私を表現するものになった」
「それはヒッピー運動と空間の捉え方が同じだった。自由な服、服がしぐさ
なのである。服はいつも違っていて、いつも表情をもっている。服は決し
て鋳型ではなく、鋳型になるのは女性のほうで服に着られてはならない」
「私はファッションを定義しないよう訴えたい。どうか、自分の好みや望み
に合わせた服を着てほしい。だから、それは自分を理解することから始ま
る。スタイリストの型ではなくて、自分らしい型をみつけてほしい。それ
はきっと自分自身を研究することでもある。自分自身のことについて考え
ることが大切なのだ。服に対して自分を解放してほしい。服に自分を合わ
せるのではなく、何を着ても素敵であるような女性になってほしい」
「ブティックの売り子の『お似合いですよ』という言葉にのせられるのでは
なく、自分自身で鏡を見て判断することが大切だということ。それが私か
らのアドバイス。自分自身のことがわかっていれば、その服を自分が着こ
なせているか、似合っているかどうかはわかるはず。だって、何をどんな
ふうに着てもいいんだから。それはあなたがあなたの価値を表現すること
なんだからね」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?