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低血糖と私 No.7              糖尿病患者IDカード

「低血糖と私 No.4」で、初めて救急車で運ばれたときのことを書いた。
実は、そのあとも2回、救急車に乗ったことがある。
最初は自宅で低血糖になったので、家族は私の病気のことを承知していた。
だが、2回目のときはちがった。

それは京都だった。久しぶりに親戚の家族と会い、
一日観光して、外で食事をすることになっていた。
食前にちゃんと血糖値を測ればよかったのだが、
それほど血糖値が低いとは思えなかったので、
食事が来る直前にインスリンを打ったツモリだった……。
ところが、トイレでインスリンを打って戻ってきて
しばらくして私は倒れてしまったらしい。
その親戚の家族に会うのは久しぶりだったので、
私は誰にも病気のことを知らせていなかった。
だから、突然のことで本当に驚かせてしまい、迷惑をかけてしまった。

従兄弟にあとからこう言われた。
「急に静かになってあんまりしゃべらんようになって
 様子おかしいなあと思うてたら、
 いきなり倒れてびっくりしたよ。
 なんで病気のこと言わへんの」

血糖コントロールがうまくいっていれば、
1型糖尿病でも健常者と同じように生活できる。
いつもどおりの生活ならば、である。
旅行中はいつもどおりではない。
それでも私は海外旅行の経験もあるし、仕事の出張などもこなしてきた。
でも、長年の糖尿病生活で「慣れ」が油断を呼んだのだろう。
もっと気をつけなければいけなかった。
そう思ってみたところで後の祭りである。
たぶん私の持ち物検査でインスリンを見つけ、
糖尿病患者であることがわかったようだ。
親戚がつきそってくれたので、一応手続きやらなんやら、
自分でやらずにすんだし、
そもそも朦朧としていて、私にはできなかったし、
その日のことは今でもあまり思い出せない。

病気が判明したばかりの頃は
「糖尿病患者IDカード」を持ち歩くように言われていた。
そこにはこう書かれていた。

わたしは糖尿病です。
意識不明になったり、異常な行動が見られたら、
わたしが携帯している砂糖(ブドウ糖)、または
ジュースか砂糖水を飲ませてください。
それでも回復しない時は、裏面の医療機関に
電話して指示を受けてください。

糖尿病患者IDカード

でも、この日はそのIDカードを持っていなかった。
いや、私はもう何年もカードを持ち歩いていなかったのだ。
自分でうまくやっていけてると思っていた。
でも、そうではなかった。
やはりこの病気は侮ってはいけないのだ。
だから、もしものときのために、
私自身のためにも、まわりの人のためにも
情報共有をしておくことが大切だと考えるようになった。



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