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大阪には、おもしろい人がたくさんいます。|『ただいまただいま』『カギョウ』

 どうも、わたくし「お笑い好き」の人間です。

 細かいけど、「お笑い好き」と言うことはあっても、「お笑いファン」と名乗ることはない。それは、ファンの称号に足るほどの知識と情熱を持ち合わせていないという、消極的な自覚故。

 普段のお笑いの摂取源は、主にテレビ(減ってきてはいる)・サブスク等の配信(Abemaはどっち?テレビ?)・YouTube(割いてる時間は1番長い)、そしてたまにライブといったようなcomposition。ごく一般的な「お笑い好き」だと思います。

 これは、吉本の劇場(NGK、マンゲキ、ルミネ、神保町)とラランドさんの単独ライブにしか行ったことがなかった「お笑い好き」の私が、にぼしいわしさんの主催ライブに初参戦し、「お笑いファン」の世界(≒沼)に踏み込みそうになるまでの記録です。

 今回参加した2つのライブは、2/11(日)の『にぼしいわしのただいまただいま』と『カギョウ』。ともに、にぼしいわしさんが東京のゲストを引き連れ、大阪に凱旋してくるライブ、らしい。

 ただの「お笑い好き」でしかない私は、2019年のThe Wでにぼしいわしさんを知り、キウイチャンネルでにぼしいわしさんの東京進出を知りました。『水族館』と『フードコート』の漫才がおもしろかったなーというふわっとした記憶。

 年明けにふと「お笑いファン」への憧れが高まり、ライブ情報を調べ漁っていました。そこで以前から気になっていたにぼしいわしさんが主催していて、最近気になっている江戸マリーさんが出演する大阪のライブがあると知り、即決断・即申込。私の周りには「お笑いファン」を目指すような志の高い友人がいなかったので、自動的に1人で行くことになりました。

 当日までの感情は、「恐怖・不安・緊張」

 衝動的な申し込みの後改めてフライヤーを見てみると、正直あまり知らなかった芸人さんも名を連ねている(その理由は後程知りました)。

 「お笑いファン」でもないのに行っても大丈夫かな。でも、「お笑いファン」もただの「お笑い好き」だった時代はあったはずやしな、と浮ついた精神状態でライブ当日迎えました。その後の話は、大阪なんばで。

 (ちなみに、今回参加したライブはいわゆる「地下ライブ」なのでしょうか?『にぼしいわしのただいまただいま』の会場は2階、『カギョウ』の会場は1階と両方しっかり地上でしたし、ネタも特段コア向けというわけでもなく楽しめました。ややこしいですが、以降は「インディーズライブ」という呼称で話を続けます。)

『にぼしいわしのただいまただいま』

 お昼過ぎ、地下鉄なんば駅に降り立ち、NGKからさらに奥の方に向かう。ライブ会場は、『なんば紅鶴』。名前からして、間違いなくただものではない。

 会場とされているところに到着し、最初に出てきた言葉は

 「え、ほんとにここ?」

 『なんば紅鶴』があるとされている場所あったのは、千と千尋を彷彿とさせる、不気味さと薄暗さとデカさを兼ね備えた「味園ビル」。噴水が空虚に舞う横の階段を上って2階へ。そこにはまさに一寸先は闇の、到底営業中とは思えない廃墟のような空間が広がっていました(暗すぎて2階の写真は断念)。まさに「インディーズライブ」。

 暗闇の中で代金を支払い中に進むと、そこには昭和レトロ感溢れる、こじんまりとした可愛い劇場がありました。中華テイストの赤い装飾や龍の置物に彩られた店内。楽屋?らしきスペースにはフラミンゴのカーテンがかかっているというカオスさに、なぜか胸が高鳴りました。

 前置きが長いですね。それだけ、『なんば紅鶴』の印象が濃かった。この空間に入りこめただけでも儲けものだな。

 さてさて、ライブスタート。

 東京から凱旋したにぼしいわしさんによる『東京バナナ』撒き(節分かと思うくらい投げていた)。いかにも東京といった空気を纏う江戸マリーさんの紹介。「なるほど、だから名前が…」とすべてを理解できるオープニングトーク。

 そして、待ちに待ったネタの時間。ただ、ここでネタについてあれこれ語るのは遠慮しておきます。批評するような資格はないですし、なにより私の文章のせいでこの日見たネタのおもしろさを減らしたくないので。ただ、間違いなく全8組おもしろかったです

 個人的には、骨付きバナナさん、にぼしいわしさん、サドルさん、江戸マリーさんのネタが特に好みでした。あくまで好み

 『なんば紅鶴』の狭さからか、今まで見たどのお笑いライブよりもネタに生っぽさを感じました。その生っぽさと周りのお客さんの感度のよさが相まって、つい大声が出るほどの爆笑に。「インディーズライブ」は玄人向けのものかと思っていましたが、この感じならライブ未経験の友達も連れてこれるかも(入口の怖ささえなければ……)

 ネタ後のコーナーは、江戸マリー角井さんのトレードマークであるウインク企画が2本。絶妙にツッコミどころのあるウインク自画像もlovelyだし、ギネス認定に燃えるいわしさんも、大爆発した角井さんのウインクSEもlovelyでした。特にギネスを狙ったウインクリレーの方は、音響・大喜利・ハプニングが重なって、終始笑っていたと気がしています。

 そういえば、思いのほかウインクできない人って多いんですね。

 ライブ終わり、せっかくの記念やしと思ってチェキの列に並んでいると、普通に出演されていた芸人さんたちが近くを通る。びっくり。他のお客さんがそれにびっくりしていないことにまたびっくり。「ライブは終わってるし、あんまり芸人さんに声をかけてはいけないのかな。」と周りの反応を見て学ぶ。嬉しい気持ちを胸に抑え込んで、真顔を貫きました。

 チェキ希望者が順番に呼ばれて行って、いよいよ私の番。最大瞬間緊張の中で撮ったチェキは、スマホケースの中で大事に保管しています。

 一息ついて、次のライブ『カギョウ』へ。

『カギョウ』

 『なんば紅鶴』を後にして、なんば近辺をぶらりぶらり。『カギョウ』までは3時間くらいあったので、時間潰し目的でスタバに腰を下ろしました。一度座るとおしりから根っこが生えて、二度と立ち上がれなくなる気がします。逸る気持ちを抑えて読書に没頭した結果、加納愛子著の『行儀は悪いが天気は良い』が半分ほど読み終わりました。スタバの生産性よ。

 そろそろ移動しようかと外に出たところ、急な雨に降られ、私は二択を迫られました。即ち、傘を買うか買わないか。すぐ降り止むのではと一縷の望みをかけて買わないを選択したのですが、ライブ会場の『大阪市立中央会館』に着く頃にはすでにその選択について後悔していました。もうびしょびしょ。

 会場前に着いた途端、建物の中から江戸マリーさんが出てきました。『なんば紅鶴』で学んだ通り、声はかけずに平静を装う。他のお客さんも話しかけたりはしていなくて、「よかった、これで合ってたんだ。」と胸を撫で下ろしました。

 案内の通りに並び、代金を支払って入場。

 『大阪市立中央会館』のホールは『なんば紅鶴』と全然違うシンプルな会場で、高校の講堂のような雰囲気でした。ただ、暗い。暗さだけが共通点(とはいえ、『なんば紅鶴』の入り口の方が圧倒的に暗かったですが)。

 ほぼほぼ定刻でライブスタート。

 オープニングは骨付きバナナさん、江戸マリーさん、風穴あけるズさん、にぼしいわしさんが登場。トークを繋ぎながら、どこからか発生したノリに全員で乗っかっていく、ライブならではの即興性に趣を感じます。なんかわかんないけどずっとおもしろい時間。ちらっと時計が視界に入って「え、もうこんなに経ったんだ。」と思うほど、時間を忘れて笑っていました。

 そしてネタ。全16組と豪勢な香盤で、8組が終わった時点で中MCという心地よい構成。例によってネタの内容について語ることはしませんが、『カギョウ』はストイックネタライブと銘打っているだけあって、さすがのおもしろさでした。会場も爆笑に次ぐ爆笑。拍手笑いが何度も起こる空間は、なんか爽快です。

 『カギョウ』での個人的な好みは、変ホ長調さん、ハヤイカガヤイさん、江戸マリーさん、にぼしいわしさん、ヤングさん。先のライブと合わせて何となく好みが把握されそうですが。改めて、あくまで好み。ほんとに全16組おもしろくて、疲れるほどに笑いっぱなしでした。

 ネタだけではなく、中MCだったかエンディングだったか、変ホ長調さんのツッコミが決まった瞬間には腹抱えて大爆笑。

 『カギョウ』では、『ただいまただいま』ほど舞台との近さや生っぽさは感じなかったのですが、その代わりに繰り出されるネタのインディーズ感が強く、いい意味で何も考えずに笑えるネタが多かった気がします。周りに「お笑いファン」が多かったのも幸い。「今笑っていいのかな?」なんて邪念なくおもしろさのみに注目できるのは、ネタに失礼じゃない素直な楽しみ方だと思います。そういうライブを観に行けてラッキー。

 終演後、帰ろうかと荷物をまとめてホールから出たところ、にぼしいわしさんが投げ銭BOXを持って立っていました。こういうのも「インディーズライブ」の良さかな、と。私はこの日2本の「おもしろいライブ」と「おもしろいネタ」への感謝のつもりで、ラーメン一杯分くらいの銭を下投げで奉納してきました。大した額ではなかったけど、少しでも新しいライブへの元手になればいいな。

 外に出ると、すでに雨は止んでいました。なんば駅に向かう道すがら、人が多い通りを避け、ちょっとだけスキップしながら帰ってみました。

 そんな、ファニーでインタレスティングでハッピーな一日。



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