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[エッセイ]今日も。

 お昼12時。社員食堂へ直行。今日もいつもと同じ日替わり定食。社員割で328円。

わらじくらいの大きさのメンチカツにデミグラスソース
千切りキャベツと付け合わせのブロッコリー
ピリ辛の大根キムチと冷しゃぶの小鉢
麦ごはん中盛りに揚げが入ったみそ汁

 特別豪華というわけでもなく、たくさんのメニューから選べるわけでもなく、質素で不味いわけでもなく、いたって普通のどこにでもあるような定食。これが午前中からの仕事の小さな疲れと空っぽの胃袋を充たしてくれる。

 私は社会人になってからお昼ご飯というものを準備したことがない。いつもこの社員食堂でいつもの日替わり定食を食べる。お昼ご飯のメニューを考えることも作ることも片づけることもなく、お昼ご飯にありつくことができている。ザクザク衣のメンチカツを頬張りながら「ありがたいなぁ」と一重に思う。

 社員食堂で辺りを見回してみる。地上13階で見晴らしの良い場所で、仕事の憂さを忘れてホッと一息をつける時間。机も床もきれいで清潔感があり、居心地がいい。福利厚生で半額で食べることができるのだ。大根からピリッとした辛さを感じ取る。

 ご飯の量も大中小で選べて、白飯か麦飯か選ぶことができる。そういえば冷しゃぶの小鉢もオプションで付けた一品だ。平凡だと思っていたお昼の食事という作業もこの定食で活力と悦びを得られた気がした。

 ズズーっとみそ汁の残りを一気にすする。もうお腹いっぱい。
 午後からの仕事は満ち足りた気持ちでまどろみの中で迎えるけれども、そんなことはまあいいや。

 トレーを洗い場へ返す。ごちそうさま。今日もありがとうございます。

2024.02.10

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