対人スキルが低いとか、人間関係の構築が難しいとかって生徒には、まずは「助けてください。」と言えるようにすることが何より重要だ。

所属校には、不登校経験者が多数入学してくる。対人関係が苦手で、人と話すことに抵抗がある生徒も多い。

私じしん、人と話すのは得意ではない。友人も少ない(自ら友だちを作らないようにしているところもある)。自分にとって大切な人とだけ話したい。そういう人は、そんなに多くない。数人だ。

だから、やたらと人と話す必要はないと思う。人と話すのが好きで、誰とでも気軽に話せる人もいる。明るく、誰からも好かれ、友だちが多い人もいる。

しかしそんな人になる必要はないのだ。そゆなことをしなくても、幸せに生きていける。

ただ、授業をしていると次のように思う。例えば休みがちな生徒がいる。履修は成立しそうだ。しかし、授業に出ていないことで、授業での取り組みが評価できていない。別途、課題をやるとか、作品を作るとか、そのようなことをしないと単位修得が難しい。定期テストでも、点数が取れそうにない(授業に出ていないから、指導しようがない)。だから、テストの対策としてどんなことをすべきか知る必要がある。しかしなにをすべきかわかっていないように見える。

このような生徒は、基本的に受け身だ。手を差し伸べられるのを待っている。もちろん私は教員なので、手を差し伸べる準備はある。どうしてもなにも申し出てこなければ、こちらから声をかけ、必要な指示を与える。ただ、それは最後までしたくない。

なぜか。

彼らの人生は長い。困ったときに誰か(しかるべき相手)に相談を自らしなければ、自分が損をする。そのような場面は少なくないだろう。

だから何よりも、困っていることを伝えられるようになってほしい。もっと簡潔に言えば、「助けてほしい」と言えるようになってほしい。

まずは生徒を呼ぶ。休憩中に呼んで話をする。「困ってないか。課題について聞きたいことはないか。テストの勉強で知りたいことはないか。」こんなふうに聞く。そのうえで、「こんなふうにあなた自身が聞かないといけないよ。どうすればいいですか。何をすればいいですか。単位を取るために何が必要ですか。こんなふうに、自分から聞かないといけない。」

このような指導をしても、すぐに聞けるようにはならない。しかし淡々と繰り返す。2年後、3年後に聞けるようになればいい。卒業までに、助けを自分から求められるようになればいい。

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